屋根葺き替えで野地板・下地交換は必要?ルーフィング(防水シート)まで含めた注意点

こんにちは、株式会社アップリメイク代表取締役の齋藤直樹です。

「屋根の葺き替えを検討しているけれど、見積もりを見たら野地板の交換という項目が入っていた…これって本当に必要なの?」と、屋根の下地や防水シートの費用について不安に思っていませんか?

屋根材の奥にある「野地板(下地)」や「ルーフィング(防水シート)」は、普段目にすることがないため、どのような役割があり、なぜ交換や追加費用が発生するのか、なかなかイメージしにくいものです。

しかし、この見えない部分こそが、お住まいの寿命を数十年にわたって左右する生命線となります。

本記事では、屋根葺き替え時における野地板やルーフィング交換の必要性から、費用トラブルを防ぐための注意点まで、外装リフォームの専門家として分かりやすく解説いたします。

記事のポイント

  • 屋根の下地(野地板)と防水シートが果たす重要な役割
  • 野地板の交換(張り替え・重ね張り)が必要になる判断基準とリスク
  • 防水シートの寿命と、後悔しない選び方のポイント
  • 見積もり段階で確認すべき、追加費用が出やすい下地の傷みやアスベスト処理費

屋根葺き替えで野地板の交換は必要?

屋根の修理において、見えない部分である野地板や防水シートの交換が重要であることを伝える導入スライド

屋根の葺き替え工事を行う際、表面の屋根材を新しくするだけでなく、その下にある野地板(のじいた)の扱いが建物の寿命を大きく左右します。

ここでは、屋根下地の役割と、交換が必要になるサインについて詳しく解説します。

野地板(屋根下地)の重要な役割とは

屋根材、防水シート、野地板の3層が重なって家を守る仕組みを図解したスライド

日本の過酷な気候条件下において、屋根は降雨、積雪、紫外線、風圧、そして地震による揺れという多様な外力に絶えず耐え続けなければなりません。

現代の住宅建築において、屋根は単なる上部の蓋ではなく、何層にも重なった「多層的防御」のシステムとして機能しています。

最上層の瓦やスレート、金属といった「屋根材」が一次防水として雨水の大部分を弾き返します。

その下に敷き詰められる「ルーフィング(防水シート)」が二次防水として、屋根材の隙間から強風などで入り込んだ微量の雨水を野地板へ到達させずに軒先へと誘導する役割を担っています。

そして、これらすべての屋根システムを物理的に下から支える、まさに屋根の骨格となる基盤が「野地板(のじいた)」です。

野地板は、厚さ12mm程度の構造用合板や、昔ながらの日本の家屋で使われていたバラ板(杉板)などで作られています。

それらが、屋根の骨組みである「垂木(たるき)」の上にしっかりと固定されます。

野地板が果たす3つの重要な役割

1. 屋根材や防水シートを固定する釘・ビスの強固な保持力となる

2. 屋根全体の剛性(変形しにくさ)を高め、建物の耐震性や耐風性に直接寄与する

3. 外部からの飛来物の衝撃や積雪の重みに耐えるための構造的な土台となる

これでお分かりいただけるように、野地板は単なる「屋根材を乗せるための板」ではありません。

もし野地板が劣化して脆くなっていると、いくら高価で立派な最新の屋根材を被せたとしても、それを固定する釘がスポンジに刺さっているような状態になります。

結果として、台風などの強風が吹いた際に、屋根材ごと一気に吹き飛ばされてしまう大惨事を招く恐れがあります。

さらに、屋根全体の剛性が失われることで、建物全体の耐震性能まで低下してしまう原因にもなり得ます。

野地板は、住まう家族を雨風から守り続ける、まさに「見えない屋根の命」と言えるほど重要なパーツなのです。

野地板の劣化サインと交換の判断基準

天井のシミ、屋根の波打ち、築30年以上経過という、屋根下地の交換を検討すべき3つの症状を紹介するスライド

では、具体的にどのような状態になれば野地板の交換が必要になるのでしょうか。

野地板の寿命は、使用されている素材の品質や、小屋裏(屋根裏)の換気状態、そしてこれまでの雨漏りの履歴の有無によって大きく異なります。

一般的に、構造用合板の寿命は約30年〜40年程度、昔ながらの通気性が良いバラ板であれば40年〜50年程度が一つの目安とされています。

しかし、これはあくまで「全く問題なく健康な状態が保たれていた場合」の理想的な年数に過ぎません。

実際の現場では、以下の3つのような物理的な劣化の兆候が見られた場合、私たちは直ちに野地板の交換(張り替え、または重ね張り)を判断します。

1. 木材の腐朽(ふきゅう)と強度の消失

過去に雨漏りを起こして放置していたり、長期間の内部結露によって木材が水分を吸い続けていたりすると、野地板に「木材腐朽菌」が繁殖してしまいます。

既存の屋根材を剥がした際、木材が真っ黒に変色してカビが生えていたり、指で強く押しただけでボロボロと崩れてしまったりするような状態であれば、もはや木材としての構造的な機能は完全に消失しています。

釘を保持する力はゼロに等しく、これは最も危険なサインであり即座に張り替え交換が必要です。

2. 合板の剥離(デラミネーション)

現代の住宅で広く使われている構造用合板は、薄い木の板を接着剤で何層にも貼り合わせて一枚の板にしたものです。

しかし、長年の屋根の灼熱や湿気の影響により、この接着剤が劣化して層がペラペラと剥がれてしまう「デラミネーション(層間剥離)」という現象が起きます。

屋根の上を歩いた時に「フカフカ」と不自然に沈み込むような感触がある場合、内部の接着層が剥がれて強度が失われている明確な証拠です。

3. 小屋裏換気の不備による「内側」からの劣化

最近の住宅は高気密・高断熱化が進んでいますが、小屋裏の換気(空気の通り道)が適切に設計・施工されていないと、冬場に室内の暖かく湿った空気が屋根裏に滞留します。

そして、冷たい外気に冷やされた野地板の裏側で激しい結露を起こします。

これにより、雨漏りを一切していないのにも関わらず、野地板が「室内側から」じわじわと腐敗してしまうケースが急増しています。

◆斎藤のワンポイントアドバイス

お見積もりを取る際、「屋根に上らずに地上から見上げただけで判断する業者」には十分に注意してください。

野地板の本当の状態は、屋根に上って実際に職人が足で踏み心地を確かめたり、小屋裏に入って雨染みやカビの臭いを確認したりしなければ、正確な診断は絶対に不可能です。

見えない部分を妥協なく点検してくれる業者を選ぶことが、長持ちするリフォームの第一歩です。

もし、今ご自宅の屋根の状態で葺き替え工事を行うべきかどうか迷われている場合は、弊社がまとめた屋根葺き替えのメリット・デメリット:必要なケース/不要なケースとおすすめ判断基準 の記事も併せてお読みいただくと、より具体的な判断基準をご理解いただけるかと思います。

野地板補修:張り替えと重ね張りの違い

事前の点検で既存の野地板が劣化していると判断された場合、下地を新しく補強する工法には、大きく分けて「張り替え」と「重ね張り(増し張り)」の2種類が存在します。

それぞれの工法には明確なメリットとデメリットがあり、屋根の状態によって最適な選択肢が変わります。

張り替え工法が推奨されるケース

重ね張りと張り替えの工法について、費用、耐久性、適した家の状態を比較した表のスライド

「張り替え」とは、その名の通り、現在ある古い野地板を一枚残らず完全に撤去・処分し、全く新しい構造用合板などの下地材をゼロから施工し直す根本的な補修工法です。

野地板が広範囲にわたって激しく腐朽している場合や、過去の長期間にわたる雨漏りによるダメージが深い場合には、安全上の理由から必ずこの張り替え工法を選択しなければなりません。

張り替え工法における最大のメリットは、古い野地板を剥がすことで、その下にある「垂木(たるき)」と呼ばれる屋根の最も重要な骨組みの状態を、隅々まで目視で直接確認できる点にあります。

もし、雨漏りの被害が進行して垂木まで腐っていたり、湿った木材を好むシロアリの被害に遭っていたりする場合、表面の野地板だけを新しくしても全く意味がありません。

張り替え工法であれば、傷んだ垂木の補強や交換、さらには徹底した防腐・防蟻処理といった、建物の寿命を延ばすための抜本的な構造改善を同時に行うことが可能になります。

また、日本瓦やセメント瓦といった重い屋根材から、ガルバリウム鋼板などの軽量な金属屋根へ葺き替えることで耐震性を向上させたい場合にもメリットがあります。

古い野地板を撤去することで屋根全体の重量を確実に軽く保つことができます。

これは、家屋の重心を下げることにつながり、地震の揺れを大幅に軽減する効果をもたらします。

評価項目

張り替え工事

重ね張り(増し張り)工事

施工概要

既存の野地板を完全に撤去し、新材を施工する

既存の野地板の上に新しい合板を被せて固定する

構造的メリット

垂木の状態を目視確認でき、抜本的な補修が可能。

屋根の軽量化に大きく寄与する。

屋根の厚みが増すことで剛性が向上し、断熱性や遮音性が高まる場合がある。

コストと工期

撤去・処分費用が発生し、工期も2〜3日程度長くなる。

(1㎡あたり5,000円〜12,000円程度)

撤去不要のため、比較的安価で短期間の施工が可能。

(1㎡あたり2,000円〜5,000円程度)

技術的制約

屋根が丸裸になるため、作業中の突然の降雨リスクに対し、ブルーシート等での厳重な養生を要する。

既存板が腐朽している場合は絶対に適用不可。

重量増加に伴う耐震性の考慮が必要。

野地板の重ね張りにおける注意点とリスク

一方の「重ね張り(増し張り)」とは、既存の古い野地板を撤去することなく、その上から直接新しい構造用合板を被せて、長い釘やビスで下地の垂木ごと固定する工法です。

張り替えと比較して、古い板の撤去費用やトラックでの運搬費用、高騰している産業廃棄物の処分費用が一切かかりません。

工期も大幅に短縮できるため、コストパフォーマンスに優れた非常に一般的な補修方法として広く採用されています。

しかし、重ね張り工法を安全に行うためには「既存の野地板や、その下の垂木が、新しい板を打ち付けるための釘の保持力を十分に保っていること」という絶対条件をクリアしている必要があります。

もし、古い板が雨漏りで腐ってスカスカな状態のまま、臭い物に蓋をするように新しい板を乗せたとしても、それを固定する釘が全く効きません。

その結果、数年後に強烈な台風が直撃した際、新しい野地板ごと高価な金属屋根がごっそりと吹き飛ばされてしまう大惨事に繋がりかねないのです。

これは、将来へのトラブルの種をただ見えないように先送りしているだけであり、プロの仕事とは呼べません。

重ね張りの見過ごされがちなリスク:屋根の重量増加問題

重ね張りのもう一つの中長期的な注意点は、「屋根全体の重量が確実に重くなる」という事実です。

古い野地板を残したまま新しい板(合板)を張り付けるため、単純計算で野地板の重量が約2倍になります。

例えば、耐震性を向上させる目的で軽い金属屋根を選んだとしても、古い野地板(約8kg/㎡)を残したまま増し張りを行うと、野地板だけで約16kg/㎡の重量となり、せっかくの軽量化のメリットが大きく相殺されてしまいます。

建物の築年数や耐力壁のバランスなどを総合的に考慮した上で、重ね張りが本当に適切か判断する必要があります。

どちらの工法を選ぶべきかは、既存の屋根の劣化具合によって厳密に判断されなければなりません。

「安く済むから重ね張りでやっておきますよ」と安易に提案してくる業者ではなく、プロの厳しい目線で下地の健全性を見極めてくれる専門家にご相談ください。

さらに詳しい工法の違いや、撤去費用を含めた総合的な比較については、屋根の『葺き替え』と『カバー工法』はどっちが良い?費用・耐久・工期で徹底比較 の記事でも詳細に解説しておりますので、ぜひ参考にしてください。

防水シート(ルーフィング)選びの重要性

多くのお客様は、新しくする「屋根材」の色やデザイン、材質にばかり注目しがちです。

しかし、実は屋根材や野地板と同じか、それ以上に屋根の寿命に直結する極めて重要な部材が「ルーフィング(防水シート)」です。

葺き替え工事を行う際、この防水シートは例外なく新品に交換されるべき工程です。

ここでは、シートの選択が将来のメンテナンス費用をいかに劇的に変えるかという事実をお伝えします。

ルーフィングの寿命と種類による違い

ルーフィングは、屋根材の継ぎ目や釘穴などの僅かな隙間から浸入した雨水が、野地板や室内へと到達するのを防ぐ「最後の砦」です。

現在、住宅市場には単なる「水を弾く紙」から、高度な化学技術を用いた「防水システム」へと進化を遂げた様々なルーフィングが存在します。

大きく分けると期待される耐用年数と価格帯に明確な差があります。

ルーフィングの種類

耐用年数(目安)

1㎡あたりの単価

特徴と技術的意義

アスファルトルーフィング

10年 〜 15年

200円 〜 300円

芯材に紙を用いアスファルトを染み込ませた最も安価な製品。

経年で硬化しやすく、破断して雨漏りの原因になりやすい。

改質アスファルト(ゴムアス)

20年 〜 30年

600円 〜 900円

合成ゴムや樹脂を配合。

伸縮性に優れ、タッカーや釘が刺さった穴に絡みついて止水性を発揮。

現在の標準的な選択肢。

粘着層付きアスファルト

約30年

1,000円 〜 1,500円

裏面が強力なシール状になっており、野地板に密着。

釘打ちを極限まで減らせるため防水性が極めて高い。

透湿防水ルーフィング

50年以上

500円 〜 1,500円

雨水は防ぎつつ、室内の湿気は外に逃がす高機能シート。

野地板の腐食を防ぐため高耐久・高気密住宅に最適。

ここで皆様に最も警戒していただきたいのが、「屋根材自体の寿命」と「ルーフィングの寿命」の不一致という罠です。

例えば、メーカーが「耐用年数50年以上」と謳う最高級のSGL鋼板や自然石粒付きの金属屋根を選んだとします。

しかし、その屋根材の下に敷く防水シートが、見積もりを安く見せるために15年で寿命を迎える安価な「アスファルトルーフィング」だった場合、一体どうなるでしょうか。

答えは残酷です。

15年後、屋根材自体はまだピカピカで問題がないのにも関わらず、下の防水シートが硬化してバリバリに破れ、雨漏りが発生します。

これを直すためには、結局また高額な足場を組み、立派な金属屋根を一度すべて剥がしてシートを交換するという、数百万円規模の大規模な葺き替え工事が再び必要になってしまうのです。

これは非常にもったいないことであり、エンジニアリング上の欠陥と言わざるを得ません。

透湿防水シートがおすすめの理由

これからの時代の資産形成や、家の一生にかかるトータルコスト(ライフサイクルコスト=LCC)を真剣に考えると、初期費用を数万円〜十数万円追加してでも「改質アスファルトルーフィング」へのアップグレードをおすすめします。

あるいはさらに高性能な「透湿防水ルーフィング」へのアップグレードを検討することが、極めて合理的な経済判断となります。

特に特筆すべきは「透湿防水ルーフィング」が持つ圧倒的な機能性です。

その最大の強みは、文字通り「湿気を透かす(通す)」という点にあります。

従来のアスファルト系の防水シートは、外部からの雨水を通さない代わりに、内部からの湿気も完全に閉じ込めてしまうという欠点がありました。

これにより、冬場の暖房などで発生した小屋裏の湿気が野地板の裏側に滞留し、木材をじわじわと腐敗させる原因を作っていたのです。

しかし、透湿防水シートは、外部からの雨水は完璧にシャットアウトしつつ、内部の湿気(水蒸気)だけを分子レベルで外へ逃がすという、まるでゴアテックスのレインウェアのような働きをします。

これにより、野地板を常に乾燥した健康な状態に保つことが可能となり、建物の寿命を劇的に延ばすことができるのです。

リフォームが完成してしまえば永遠に見えなくなる部分ですが、この「目に見えない部分」へのこだわりと投資こそが、数十年後の無駄な再工事を防ぐことにつながります。

結果としてご家族の将来の可処分所得を守ることにつながるのです。

屋根葺き替えで発生しやすい追加費用

屋根を剥がした際に見つかる木材の腐食が、工事の追加費用が発生する主な原因であることを説明するスライド

屋根の葺き替え工事において、お施主様が最も不安に感じ、業者とのトラブルの原因になりやすいのが「工事が始まってから、想定外の追加費用を請求されないか」ということでしょう。

実は、屋根の葺き替えにおいては、既存の屋根を完全に解体し、下地が露出して初めて正確な状態が確定する項目が多いため、どうしても追加費用が発生しやすい構造的なリスクが存在します。

事前に知っておくべきポイントを解説します。

下地の傷みや垂木の腐朽による補修費用

先述した通り、既存の屋根材と古い防水シートを剥がした結果、野地板のさらに下にある「垂木」と呼ばれる重要な構造材にまで、長年の雨漏りの被害や木材腐朽が及んでいる場合があります。

あるいは湿った木材を好むシロアリの食害が深く及んでいた場合、そのまま見て見ぬふりをして屋根を塞ぐわけにはいきません。

建物の構造的安全性を確保し、台風や地震に耐えうる家にするため、急遽、大工職人による木工事(垂木の補強、部分的な交換、防腐処理など)が必要不可欠となります。

この垂木の交換や補強費用は、部分的な当て木補強であれば数万円程度の追加で済むこともあります。

しかし、被害が屋根全体に及んでいる場合や、建物の主要な梁(はり)にまでダメージがある場合は、別途十数万円〜数十万円といった大掛かりな補修費用が掛かることも覚悟しなければなりません。

◆斎藤のワンポイントアドバイス

私たちアップリメイクでは、現地調査の段階で必ず小屋裏(屋根裏)に進入し、可能な限り垂木や野地板の裏側を確認して、こうした「見えないリスク」を事前に察知し、お見積もりに含める努力を徹底しています。

それでも、実際に解体して全貌を見るまでは100%の断言はプロでも不可能です。

そのため、屋根の葺き替え工事をご計画の際は、見積もり金額ギリギリではなく、あらかじめ総予算の10%程度の「予備費」を確保しておくことを強くお勧めしています。

これにより、万が一修繕が必要になった際にも、慌てずに的確な判断を下すことができます。

アスベスト処理や足場代の追加コスト

もう一つ、葺き替え工事の予算を大きく狂わせる最大の要因が「アスベスト(石綿)含有建材」の問題です。

日本国内において、2004年にアスベストの製造・使用が全面的に禁止される以前に建てられた住宅のスレート屋根(カラーベストやコロニアル)には、強度を高める目的でアスベストが混入されている可能性が極めて高いです。

このアスベスト含有建材を葺き替え工事で撤去・処分する場合、大気汚染防止法などの厳格な法令に基づき、周囲へのアスベスト繊維の飛散を防ぐための厳重な隔離養生が必要になります。

さらに作業員の特別防護服の着用、そして専門業者による「特別管理産業廃棄物」としての高額な運搬・処分費用が義務付けられています。

一般的な30坪程度の住宅でも、屋根材にアスベストが含まれているというだけで、通常の廃材処分費に加えて30万円〜100万円ほど費用が跳ね上がるケースが一般的です。

この高額な処分費を回避するために、既存の屋根を撤去せずに上から被せて封じ込める「カバー工法」を選ぶ方が急増しています。

カバー工法の詳細な費用相場や仕組みについては、【坪数別】屋根カバー工法の費用相場(20坪・30坪・50坪)と内訳 の記事で詳しく解説していますので、必ずご確認ください。

また、屋根の勾配(傾斜角度)にも注意が必要です。

一般的に6寸勾配(約31度)を超えるような急勾配の屋根では、職人が通常の足場だけでは滑ってしまい安全に作業できません。

そのため、屋根の上に専用の「屋根足場」を組み立てる必要があります。

なお、一般的な住宅の足場代は「15万円~30万円程度」が相場となります。

もし屋根足場が必要な場合は、この通常の足場費用とは別に、さらに費用が加算される要因となりますので、見積もり時にしっかり確認が必要です。

失敗しない見積もり確認と業者の選び方

では、これまでお話ししてきた野地板の重要性や追加費用のリスクを踏まえ、リフォームで後悔しないためには、どのように業者を選び、提出された見積もりを確認すればよいのでしょうか。

外装リフォーム専門店としての見解をお伝えします。

見積書で下地や防水シートの項目を確認

下地の確認状況、防水シートの種類、追加費用の事前説明の3点を確認することを推奨するスライド

本当に信頼できる優良な業者の見積書は、専門用語で煙に巻くことなく、誰が見ても分かりやすく、詳細な内訳が記載されています。

見積書を受け取ったら、金額の安さだけに飛びつくのではなく、必ず以下のポイントを厳しくチェックしてください。

失敗を防ぐ!見積書の必須チェックポイント

1. 野地板の処理内容:単に「屋根工事一式」や「下地処理」といった曖昧な記載ではなく、「野地板増し張り(12mm構造用合板)」や「野地板張り替え」など、どのような処理を何平米行うのかが明記されているか。

2. ルーフィング(防水シート)の種類:「防水シート」「ルーフィング」というぼかした表現ではなく、「改質アスファルトルーフィング」や「透湿防水シート」、あるいはメーカーの具体的な製品名がしっかりと書かれているか。

3. 縁切り(スレート屋根塗装の場合):「タスペーサー取り付け」などの、雨漏りを防ぐための必須工程がしっかり含まれているか。

4. アスベスト処分費:ご自宅が該当年代の場合、事前調査の有無や、アスベスト特別処分費が明確に計上、または説明されているか。

また、見積もりの提出前に「小屋裏(屋根裏)の点検をしっかり行ってくれたか」「アスベスト含有の有無について、リスクを含めた事前調査と誠実な説明があったか」も確認しましょう。

このような対応は、その業者のコンプライアンス意識と技術力を測る上で非常に重要なバロメーターになります。

建物の本質を理解せず、表面を綺麗にするだけの業者ではなく、見えない部分にこそ情熱を持って誠実な施工をしてくれる、地元で長く愛されている専門店を選びましょう。

※記事内でご紹介した金額や費用相場は、あくまで一般的な住宅を想定した目安の金額です。

屋根の形状、勾配、劣化具合、そして地域によって大きく変動しますので、最終的な判断は必ず専門家による現地調査を経てからご判断ください。

屋根葺き替えの下地・防水シートに関するよくある質問(FAQ)

Q1. 現在まったく雨漏りしていなければ、野地板や防水シートは既存のものをそのまま使い回しても大丈夫ですか?

A. いいえ、使い回しは絶対に推奨できませんし、プロの業者であればお断りするレベルです。

屋根材を剥がす時点で、長年夏の猛烈な熱や冬の寒さ、圧力に耐え続けてきた既存の防水シートは、硬化してバリバリに破れたりボロボロになったりしていることがほとんどです。

また、野地板も長年の湿気で釘を保持する強度が著しく落ちています。

葺き替えのタイミングで必ず防水シートは新品の高性能なものに交換し、野地板は最低でも増し張り(重ね張り)による補強を行うのが、家を守るための絶対的な基本です。

ここで数万円の費用をケチると、数年後に雨漏りが発生し、数百万円の再工事で必ず後悔することになります。

Q2. 野地板の「張り替え」と「重ね張り」で、建物の耐震性にどれくらい違いが出ますか?

A. 重ね張り(増し張り)の場合、古い板の上に新しい板を乗せるため、単純に屋根の重量が増加します。

屋根が重くなると建物の重心が高くなり、振り子の原理で地震時の揺れ幅が大きくなるという懸念があります。

一方、張り替え工法は不要な古い板を撤去するため重量の増加がなく、さらに劣化した垂木などを根本から補強できるため、屋根の剛性が飛躍的に高まります。

したがって、耐震性の観点からは「張り替え」の方が圧倒的に有利であり、将来にわたって建物の安全性を高めることができます。

Q3. ハウスメーカーから出された見積もりに「アスファルトルーフィング」とだけ書いてあるのですが、このままで大丈夫でしょうか?

A. 注意が必要です。

「アスファルトルーフィング」は防水シートの中で最も安価なグレードであり、耐用年数が10年〜15年と短いです。

せっかく30年〜50年持つ高級な屋根材を選んでも、下のシートの寿命が先に来てしまい、結局雨漏りの原因になります。

担当者に「改質アスファルトルーフィング(ゴムアス)」や、結露を防ぐ「透湿防水シート」に変更した場合の差額見積もりを依頼し、長期的な視点でのグレードアップを検討することを強くおすすめします。

初期費用は少し上がりますが、必ず元が取れる投資です。

Q4. アスベストが含まれている屋根かどうかの判断は、素人でも見た目で判断できますか?

A. 目視だけで正確に判断するのはプロでも非常に困難です。

2004年以前に施工されたスレート屋根材には含まれている可能性が高いですが、確実なことはご自宅の図面(設計図書)に記載されている建材の製品名やメーカー名を確認する必要があります。

もしくは、専門機関による成分分析検査を行う必要があります。

絶対に自分で屋根を割ったり削ったりして確認しようとしないでください。

アスベスト繊維を吸い込む危険がありますので、必ず専門業者に事前調査をご依頼ください。

まずはアップリメイクの無料屋根点検を

家族が団らんする様子と、見えない部分を丁寧に補修することの大切さを伝える結びのスライド

屋根の葺き替えにおける「野地板」と「ルーフィング」は、住まう家族を過酷な雨風や自然災害から文字通り身を挺して守り続ける「沈黙の守護者」です。

この見えない部分への正しい知識を持ち、目先の安さに惑わされずに適切な投資を行うことが、次世代へと受け継がれる質の高い住まいを実現する唯一の鍵となります。

私たちアップリメイクでは、お住まいを一通り外から見せていただくだけでなく、屋根裏にも進入して30倍の専用スコープを使用するなど、国家資格者による徹底的な「お住まいの健康診断」を完全無料で実施しております。

現在の屋根下地がどのような健康状態なのか、本当に数百万円をかけて葺き替えが必要なのか、それともカバー工法で対応可能なのか。

専門家の厳しい目でしっかりと見極め、お客様のライフプランにとって最善のプランをご提案いたします。

私たちは職人直営の専門店であり、強引な訪問販売や無理な営業は一切行いません。

屋根のことで少しでも不安がある方、他社の見積もりに疑問をお持ちの方は、ぜひお気軽に地元静岡のアップリメイクまでご相談ください。

お客様の不安を安心に、そして感動へと変えるお手伝いをさせていただきます。

  • この記事を書いた人

齋藤直樹

(株)アップリメイク代表取締役で元職人、塗装という仕事が大好きです。人生の大きな挫折と数多くの出会いを経て今は大好きな地元・静岡で、お客様の笑顔のために仕事ができることに何よりの誇りを感じています。

▼保有資格▼
1級建築塗装技能士・2級建築施工管理技士・有機溶剤作業主任者・高所作業主任者・2級カラーコーディネーター・光触媒施工技能士・乙4類危険物取扱者・ゴンドラ特別教育・職長・安全衛生責任者・第2種酸素欠乏危険作業主任者・宅地建物取引主任者・2級ファイナンシャルプランニング技能士・AFP