こんにちは! 静岡の塗装・リフォーム専門店、アップリメイク代表取締役の齋藤直樹です。

用宗や清水の海岸沿いを散歩していると、潮風が本当に心地よいですよね。しかし、あなた様の大切なお住まいは、その心地よいはずの潮風と、夏の厳しい日差しに、毎日少しずつ悲鳴を上げているかもしれない、ということをご存じでしょうか?

「海に近い家の塗装は、街中とは違うって本当?」
「すぐにサビが出たり、色褪せたりしないか心配…」
「訪問販売の業者に『このままだと危ない』と煽られたけど、本当なの?」
「見積もりを取ったけど、聞いたこともない塗料を勧められて不安…」

これまで、1973年の創業以来、この愛すべき静岡の地で4140棟以上のお住まいを守り、特に沿岸部の過酷な環境と向き合ってきた私のもとには、このような切実なご相談が後を絶ちません。

長年の経験から断言します。沿岸部のお住まいの塗装は、街中の住宅と同じ考え方で進めると、10年も経たずに後悔する可能性が非常に高いです。特別な知識と、正しい塗料選びが絶対に不可欠です。

この記事は、単なる塗料の紹介ページではありません。

あなたの大切な資産であり、ご家族との思い出が詰まったお住まいを、この先15年、20年と、美しく、そして力強く守り抜くための、いわば「紙の上のプロフェッショナル・コンサルティング」です。私が持つ知識と経験のすべてを、包み隠さずお話しすることをお約束します。ぜひ、最後までお付き合いください。

静岡の海岸沿いに建つ、外壁塗装を終えた美しい住宅。沿岸部の厳しい日差しや潮風対策の重要性を示すイメージ。

第一章:静岡沿岸部の住宅が持つ、避けては通れない「2つの大敵」

まず、なぜ沿岸部の塗装が特別なのか。その理由である「2つの大敵」の正体と、それらがどのようにお住まいを蝕んでいくのか、そのメカニズムから詳しく見ていきましょう。

大敵①:塩害という「見えない刃」

潮風には、目に見えない微細な塩分(塩化物イオン)が含まれています。この塩分が風に乗って運ばれ、お住まいの外壁や屋根、そして雨樋や手すりといったあらゆる場所に付着します。この塩分が非常に厄介なのは、空気中の水分を磁石のように引き寄せて、常に表面を湿った状態にしてしまうことです。

それはまるで、建物の「生活習慣病」のようなもの。ゆっくりと、しかし確実に進行し、気づいた時には深刻な症状を引き起こします。常に湿気を帯びた状態になった金属部分、例えば雨戸の戸袋、換気フード、ベランダの手すりの支柱、給湯器の固定金具、そしてサイディングを留めている釘の頭などが、内陸部の住宅とは比較にならないスピードで錆びていくのです。

錆は鉄が膨張する現象ですから、内側から塗膜を「ぷくっ」と風船のように押し上げ、最終的にはその塗膜を破り、剥がれさせてしまいます。壁に茶色いサビ汁の跡が見られたら、それは内部で「生活習慣病」がかなり進行している証拠なのです。

外壁の塩害による劣化症状のクローズアップ。サビた釘から茶色い汁が流れ、塗膜が風船のように膨れている様子。

大敵②:紫外線という「無慈悲な攻撃者」

ご存じの通り、静岡県は全国トップクラスの日照時間を誇ります。その恵まれた気候は、建物にとっては「四六時中、攻撃にさらされている」のと同じこと。特に、太陽を遮るビルなどが少ない海岸沿いでは、紫外線が無慈悲に、そしてダイレクトに降り注ぎます。

塗料は、色の元である「顔料」と、それを接着剤のように繋ぎとめている「樹脂」でできています。強力な紫外線は、この樹脂の「手と手の繋がり(分子結合)」を、毎日少しずつ、容赦なく引き剥がしていくのです。この繋がりが失われた結果、表面に残った顔料が、外壁を触ると指に付着する白い粉、すなわち「チョーキング現象」となります。

この白い粉は、大げさに言えば、かつてあなたのお住まいを守っていた塗膜の“遺骸”です。このサインが現れた時、塗料は本来の防水性能を完全に失い、色褪せも加速度的に進行していきます。

この「塩害」と「紫外線」という、静岡沿岸部特有の二大攻撃からお住まいを守るには、「普通の塗料」ではあまりにも力不足なのです。


第二章:「普通の塗料」ではダメ!プロが絶対条件とする「沿岸部必須の塗料性能」

では、この過酷な環境で、どのような性能を持つ塗料を選べば良いのでしょうか?私たちプロが、業者からの提案や見積もりをチェックする際に、最低でもクリアすべきだと考える「3つの必須性能」を具体的にお教えします。

高機能塗料のバリア機能を表現した図。紫外線や塩分などの劣化要因を、特殊な塗膜が完全にブロックして家を守っている様子。

性能①:高い「付着性」~ すべての基本は“接着剤”である下塗りにあり ~

どんなに屈強な鎧も、体に固定されていなければ意味がありません。塗装における「下塗り(プライマーやシーラー)」は、まさにその固定具の役割を果たします。特に、古い塗膜や塩分が残る可能性がある沿岸部の外壁には、下地と上塗り塗料を強力に接着させる、浸透力と付着性に優れた下塗り塗料が不可欠です。

また、金属部分には、強力な防錆効果を併せ持つ専用の下塗り材を選ぶ必要があります。この下塗り選びを疎かにする業者は、プロとは言えません。

性能②:非常に緻密な「塗膜」~ 塩害への鉄壁の“バリア機能” ~

塩害による金属のサビを防ぐには、その原因である「水分」と「酸素」を金属面に到達させないことが絶対条件です。そのために必要なのが、水や空気を通さない、非常に緻密で強靭な塗膜(バリア)を形成する性能です。塗料のグレードが上がるほど、塗料の樹脂同士の結びつき(架橋構造)が密になり、このバリア機能は強力になります。

特に、原子の結びつきが非常に強い「フッ素樹脂」や、ガラス質に近い構造を持つ「無機塗料」は、塩害に対して優れた性能を発揮します。

性能③:紫外線に負けない「高耐候性」~ 美しさを長く保つ“アンチエイジング技術” ~

紫外線による色褪せや劣化を防ぐには、高い「耐候性」が求められます。近年、この耐候性を飛躍的に向上させたのが「ラジカル制御技術」です。塗料に含まれる白色の顔料(酸化チタン)は、紫外線に当たると塗膜を破壊する活性酸素(ラジカル)を発生させてしまうのですが、このラジカルを特殊なバリアで封じ込めたり、捕まえて無力化したりするのが、この技術です。

この「ラジカル制御」機能を持つ塗料を選ぶことが、今や沿岸部の塗装の常識となっています。


第三章:プロが本音で語る、静岡沿岸部向け「おすすめ塗料グレード」

「必須性能は分かったけど、じゃあ具体的にどの塗料がいいの?」…その疑問にお答えします。私自身も職人からこの道をスタートした人間として、もし自宅が静岡の海岸沿いにあり、今塗り替えるとしたら、という“自分ごと”の視点で、3つのグレードに分けて本音でご紹介します。

塗装ショールームで比較検討できる3つの塗料グレード。光沢のあるもの、マットなものなど、質感の違う大きな塗り板見本。

選択肢①【バランス重視派】ラジカル制御型シリコン塗料

「コストは抑えたい。でも、しっかり10年以上は持たせたい」という、最も多くの方が望むであろうご要望にお応えできる、バランスの取れた選択肢です。

従来のシリコン塗料の弱点だった紫外線への耐性を「ラジカル制御技術」で克服しており、コストパフォーマンスに非常に優れています。「まずは基本をしっかり押さえたい」という方におすすめです。
期待耐久年数:10~15年

選択肢②【長期安心派】フッ素樹脂塗料

「次の塗り替えは15年以上先で考えたい」「せっかくなら、より長く新築のような輝きを保ちたい」という方におすすめの、ハイグレードなプランです。フッ素樹脂は、その非常に強い原子の結合力により、紫外線に強く、酸性雨などにも優れた耐性を発揮します。

光沢が長持ちし、汚れもつきにくい「低汚染性」を併せ持つ製品が多いため、交通量の多い道路沿いのお住まいにも最適です。長期的に見れば塗り替え回数が減るため、トータルコストでお得になる「賢い選択」と言えるでしょう。
期待耐久年数:15~20年

選択肢③【絶対長持ち派】無機塗料

「費用はかかっても良いから、とにかく一番良いもので、20年以上、最高の状態を維持したい」という、耐久性を極めたい方に向けた、現在の最高峰プランです。主成分がガラスや石などの無機物であるため、紫外線で劣化する有機物の含有量が極端に少なく、理論上は半永久的に劣化しません。圧倒的な耐候性と、雨で汚れが流れ落ちるセルフクリーニング効果を誇ります。

ただし、その硬さゆえに、地震などで建物が動いた際にひび割れしやすいという特性も。そのため、下塗りや中塗りで柔軟性のある塗料を選ぶなど、職人の高度な知識と技術力が、塗料の性能を最大限に引き出す鍵となります。
期待耐久年数:20年以上


第四章:塗料だけじゃない!本当のプロが見極める「寿命を左右する隠れた一手間」

最高の塗料を選んでも、それだけでは完璧な塗装は実現しません。料理人が素材の良さを活かすも殺すも腕次第であるように、塗装もまた、職人の「一手間」がすべてを決めます。特に沿岸部では、以下の「隠れた工程」こそが、塗装の寿命を大きく左右するのです。

外壁塗装の重要な下地処理である高圧洗浄の様子。アップリメイクの専門スタッフが、強力な洗浄機で丁寧に汚れを落とす。

1. 塩分を根こそぎ落とす「洗浄」の執念
私たちは、ただ高圧洗浄機で水をかけるだけではありません。必要に応じてバイオ洗浄剤を使い、こびりついたカビや藻を分解。さらに、目に見えない塩分を中和させ、根こそぎ洗い流します。この最初の工程を疎かにすれば、どんな高級な塗料も数年で剥がれてしまいます。

2. サビの再発を許さない「ケレン」の徹底
金属部のサビは、表面だけを落としても意味がありません。ワイヤーブラシやサンドペーパーで、深く進行したサビまで完全に除去する「ケレン」という地道な作業を徹底します。そして、強力な防錆プライマーを塗布する。この一手間が、数年後の美観を決定づけます。

3. “第2の防水層”「シーリング」へのこだわり
外壁材のつなぎ目を埋めるシーリングは、揺れを吸収し、水の浸入を防ぐ重要な部分。「塗装の寿命はシーリングの寿命で決まる」と言っても過言ではありません。私たちは、塗料の耐久年数に合わせて、高耐久なシーリング材への打ち替えを必ずご提案します。

静岡沿岸部の塗装に関するよくあるご質問

Q.

海から少し離れていますが、塩害対策は必要ですか?

A.

はい、必要です。一般的に海岸から2km以内は塩害地域とされますが、台風などの強風時には5km以上内陸まで塩分が運ばれることもあります。特に静岡は海に面しているため、多くの地域で塩害対策を考慮した塗料選びをおすすめします。ご自宅が塩害地域に該当するかどうかは、私たちが診断の際に正確にお伝えします。

Q.

自分でできる塩害対策はありますか?

A.

最も効果的なのは、年に1〜2回、外壁をホースの水で洗い流してあげることです。これにより、付着した塩分を洗い流し、劣化の進行を遅らせることができます。ただし、高圧洗浄機を自分で使うのは外壁を傷める危険があるため避けてください。あくまでホースの水で優しく洗い流す程度に留めましょう。

Q.

沿岸部だと、塗装工事の費用は高くなりますか?

A.

使用する塗料のグレードを上げる場合、その分費用は高くなります。しかし、これは長期的に見て塗り替え回数を減らし、結果的にトータルのメンテナンスコスト(ライフサイクルコスト)を抑えるための「賢い投資」です。一般的な塗料で頻繁に塗り替えるよりも、高耐久な塗料で一度しっかり塗装する方が、最終的にはお得になるケースがほとんどです。

Q.

付帯部(雨樋や雨戸など)だけサビがひどいのですが、部分的な塗装も可能ですか?

A.

はい、もちろんです。付帯部は塩害や紫外線の影響を受けやすく、壁より先に劣化することがよくあります。部分的なサビ落とし(ケレン)や塗装も承っております。ただし、高所の作業には足場が必要となり、足場代が割高になる可能性があります。外壁全体のメンテナンス時期が近い場合は、同時に施工する方が経済的です。まずは無料診断で、お住まい全体の状況を把握することをお勧めします。

まとめ:静岡の家を守る、あなたの“主治医”として

ここまでお読みいただき、本当にありがとうございます。

この記事を読んで、静岡の沿岸部での塗装がいかに専門的な知識を要するか、そして多くの考慮すべき点があるかを知り、かえってご不安になってしまったかもしれません。ですが、それで良いのです。この記事の本当の目的は、お客様自身が塗装の専門家になることではなく、「専門家による正しい診断がいかに重要か」を知っていただくことでした。

これらの複雑な要素をすべて考慮し、何十種類もの塗料の中から、あなたのお住まいのためだけの「唯一無二の最適な処方箋」を導き出すのが、私たち地域専門店の使命です。

「じゃあ、うちの家にはどのグレードの塗料が最適なの?」
「今の劣化状況は、どのくらい深刻なんだろう?」

その答えを、今度は私たちが、あなたのお住まいの前で、直接お話しさせてください。

しつこい営業は一切しないことを固くお約束します。どうぞ、お住まいの「主治医」に相談するような気持ちで、安心してお問い合わせください。あなたの大切な住まいを守るための、最高のパートナーとなることをお約束します。