ガルバリウム鋼板で屋根カバー工法:費用相場・種類・デメリットまで一気に解説

屋根のメンテナンスは塗装だけで大丈夫?塗装かカバー工法か、後悔しないための正しい判断基準。

こんにちは、株式会社アップリメイク代表取締役の齋藤直樹です。

「そろそろ屋根のメンテナンス時期かな?」と思い始めて情報を集めると、必ず目にするのが「カバー工法」や「ガルバリウム鋼板」という言葉ではないでしょうか。

塗装で済ませたいけれど、「もう塗装では持ちませんよ」と業者に言われて不安になったり、逆に「カバー工法は高いから」と塗装を勧められて迷ったり…。

屋根は普段見えない場所だからこそ、本当に正しい選択ができているのか、失敗したらどうしようという恐怖も大きいかと思います。

私は元塗装職人として、そして現在はリフォーム専門店の代表として、数多くの屋根を見てきました。

その経験から断言できるのは、「築年数や劣化状況によっては、塗装よりもカバー工法が圧倒的にコストパフォーマンスが良い」という事実です。

この記事では、専門用語を並べるのではなく、私が普段お客様にお話ししているように、ガルバリウム鋼板を使ったカバー工法の「本当のところ」を、費用からデメリットまで包み隠さずお伝えします。

記事のポイント

  • ガルバリウム鋼板カバー工法の適正な費用相場と内訳
  • 塗装では対応できない屋根の劣化症状と判断基準
  • 後悔しないために知っておくべきデメリットとリスク
  • プロが推奨する屋根材の種類と選び方のポイント

塗装では守れない?カバー工法が選ばれる理由

近年、日本の屋根リフォーム市場において、従来の「塗り替え(塗装)」や「葺き替え(全交換)」に代わり、カバー工法が爆発的に普及しているのには、明確かつ切実な理由があります。

単なる流行ではなく、建物の構造的な寿命と、過去に製造された建材の特殊な事情が深く関係しているのです。

かつて日本の住宅の屋根は、陶器でできた「日本瓦」が主流でしたが、1990年代後半から2000年代にかけては、「スレート(コロニアル、カラーベストなど)」と呼ばれるセメント由来の薄い板状の屋根材が標準的に採用されました。

このスレート屋根は、新築から10年〜15年程度であれば、表面の塗装メンテナンスを行うことで防水機能を維持することが可能です。

しかし、築20年、30年と経過してくると、スレート基材そのものが経年劣化により水分を含みやすくなり、脆くなっていきます。

こうなると、いくら表面に高価な塗料を塗ったところで、下地である屋根材自体が崩れてしまうため、雨漏りを根本から防ぐことが難しくなります。

さらに深刻なのが、「2004年問題」とも呼ばれるアスベスト(石綿)の規制強化です。

2004年以前に製造されたスレート屋根には、強度を保つためにアスベストが含まれている可能性が極めて高いのです。

アスベストは飛散すると健康被害を引き起こすため、現在では解体・撤去に対して非常に厳しい法規制が敷かれています。

もし、このアスベスト含有スレート屋根を「葺き替え」で撤去しようとすると、特別な養生や処理が必要となり、処分費用だけで数十万円単位のコストアップになってしまいます。

築20年以上のスレート屋根は塗装しても内部劣化で崩れる可能性があり、アスベスト撤去費用が高額になる2004年問題がある。

そこで選ばれているのが、既存の屋根を壊さずに、上から新しい屋根材ですっぽりと覆ってしまう「カバー工法」です。

この工法であれば、アスベストを飛散させることなく封じ込めることができ、撤去・処分費用も大幅にカットできます。

環境への配慮と経済的な合理性を兼ね備えた、まさに現代の住宅事情における最適解と言えるでしょう。

古い屋根を壊さず新しい屋根材と防水シートで覆うカバー工法。廃材処分費をカットしアスベストを封じ込めるメリットがある。

ガルバリウム鋼板とカバー工法の基礎知識

カバー工法とは、その名の通り、古い屋根の上に新しい防水シート(ルーフィング)を敷き込み、その上から新しい屋根材をビスで固定する工法です。

「重ね葺き工法」とも呼ばれます。

この新しい屋根材として、現在圧倒的なシェアを誇っているのが「ガルバリウム鋼板」です。

ガルバリウム鋼板は、アルミニウム(55%)、亜鉛(43.4%)、シリコン(1.6%)からなる合金メッキ鋼板で、「とにかく軽くて、圧倒的に錆びに強い」のが最大の特徴です。

なぜガルバリウムが選ばれるのか?

  • 圧倒的な軽量性:日本瓦の約1/10、スレート屋根の約1/4という軽さ。既存屋根の上に重ねても建物への重量負担が少なく、耐震性への影響が極めて少ないのが特徴です。
  • 高い耐久性:アルミニウムの「不動態皮膜」による保護作用と、亜鉛の「犠牲防食作用」を併せ持ち、トタン屋根の3〜6倍の耐久性を実現しています。
  • デザイン性:シンプルでモダンなフラットデザインが多く、和風・洋風問わずどんな住宅にも調和し、外観を一新して資産価値を高めます。

さらに現在は、従来のガルバリウム鋼板に「マグネシウム(Mg)」を2%添加することで、防錆性能をさらに3倍以上に高めた「SGL(エスジーエル)鋼板」が標準になりつつあります。

これまで「金属屋根は潮風に弱いから」と敬遠されていた沿岸地域(海岸から500m〜5km圏内など)においても、メーカー保証が出る製品が増えており、静岡県のような海沿いのエリアでも安心して採用できるようになったのは、私たち施工店にとっても革命的な進歩でした。

最新のSGL鋼板はサビに強く、耐久性はトタンの3倍以上。重さは日本瓦の約1/10と軽量で、穴あき保証なども充実。

包み隠さず伝えるメリットとデメリット

どんなに優れた工法にも、メリットだけでなくデメリットが存在します。

ここを理解せずに契約してしまうと、工事後に「こんなはずじゃなかった」と後悔することになりかねません。

断熱性と高耐久がもたらす安心感

屋根カバー工法を導入することで得られる最大のメリットは、単なる雨漏り防止にとどまらず、住環境そのものを劇的に改善できる点にあります。

その鍵となるのが、「屋根の二重構造化」と「断熱材一体型製品」の採用です。

まず、既存の屋根の上に新しい屋根を載せることで、屋根と屋根の間に空気の層が生まれます。

ペアガラスの窓が断熱効果を持つのと同じ原理で、この空気層が外気温の影響を和らげる役割を果たします。

さらに、私が強く推奨している「スーパーガルテクト(アイジー工業)」などの最新のガルバリウム鋼板製品は、金属板の裏側に「ポリイソシアヌレートフォーム」などの高性能な断熱材が最初から分厚く貼り付けられています。

この「空気層」+「断熱材」のダブル効果は絶大です。

実際に施工されたお客様からは、「夏場、2階の寝室に入った瞬間の『モワッ』とする熱気が明らかに減った」「エアコンの設定温度を下げなくても涼しく感じるようになった」という喜びの声を頻繁にいただきます。

塗装工事には「遮熱塗料」という選択肢もありますが、物理的に屋根材そのものが熱を遮断するカバー工法の断熱性能には及びません。

屋根が二重になることで空気層ができ、ペアガラスと同じ断熱効果を発揮。夏場の2階の暑さを軽減する。

また、耐久性の面でも圧倒的な安心感があります。

前述した「SGL鋼板」は、過酷な複合サイクル試験(塩水噴霧や乾燥を繰り返す実験)において、従来のガルバリウム鋼板の3倍超の寿命を持つことが実証されています。

これにより、多くのメーカーが「塗膜変色・赤錆20年保証」「穴あき25年保証」といった、長期的なメーカー保証を付けています。

これはつまり、一度施工すれば四半世紀近くは、屋根の腐食や雨漏りの心配から解放されることを意味します。

10年〜15年ごとに足場を組んで塗装を繰り返すランニングコストと比較すると、初期費用こそカバー工法の方が高くなりますが、30年スパンで見ればトータルのメンテナンスコストは間違いなく安く抑えられます。

これが、「高耐久がもたらす経済的な安心感」の正体です。

◆斎藤のワンポイントアドバイス

最新のSGL鋼板を使用した屋根材は、メーカー保証も充実しています。「穴あき保証25年」などが付いている製品も多く、一度施工すれば長期間メンテナンスフリーに近い状態を維持できます。長い目で見れば、10年ごとに塗装を繰り返すより経済的ですよ。

雨音や将来のメンテナンス費用への注意点

一方で、プロとして正直にお伝えしなければならないデメリットやリスクも存在します。

これらを知らずに工事を行うことは、将来的な後悔に直結するため、必ず事前に把握しておいてください。

雨音、将来の全撤去費用、結露のリスクなど、カバー工法のデメリットと対策。断熱材付き製品や通気計算の重要性。

まず、最も多くの方が懸念されるのが「雨音」の問題です。

金属屋根は薄い鉄板であるため、原理的には雨粒が当たった時の衝撃音が響きやすい性質を持っています。

もし、コストを極限まで抑えるために「断熱材が付いていない安価な金属屋根(単なるトタンに近い製品)」を選んでしまった場合、激しい雨の日にはバラバラという音が室内に響き渡り、会話やテレビの音が聞こえにくくなるほどの騒音問題に発展するリスクがあります。

ただし、この問題は前述した「断熱材一体型」の製品を選ぶことでほぼ解決できます。

断熱材が吸音材の役割も果たすため、既存のスレート屋根と同等か、それ以上の静粛性を確保することが可能です。

次に、将来的なリフォームに関する制約です。

カバー工法は「既存の屋根の上に新しい屋根を被せる」工法ですが、これを無限に繰り返すことはできません。

屋根の重量過多を防ぐため、カバー工法を行った屋根の上に、さらにカバー工法を行う(三層にする)ことは構造的に不可能です。

つまり、今回カバー工法を行った場合、次のメンテナンス時期(30年〜40年後)が来た際には、必ず「屋根材の全撤去(葺き替え)」が必要になります。

その時は、既存の屋根とカバーした屋根の二重分の廃材が出るため、処分費用が高額になることは避けられません。

さらに見落としがちなのが、「熱伝導と結露」のリスクです。

金属は熱しやすく冷めやすい性質があります。

適切な小屋裏換気(換気棟の設置など)が確保されていないと、冬場などに野地板の裏側で温度差による結露(すが漏れ)が発生し、知らず知らずのうちに屋根の下地である合板を腐らせてしまう恐れがあります。

これを防ぐためには、単に屋根を貼るだけでなく、空気の流れを計算した施工ができる知識と技術を持った業者選びが不可欠です。

将来のリスクと注意点まとめ

  • 次のリフォームは大掛かりになる:
    カバー工法をした屋根の上に、さらにカバー工法をすることはできません。数十年後の次のメンテナンス時は、二重になった屋根をすべて撤去する必要があるため、処分費用が高額になります。
  • 熱伝導の問題(結露リスク):
    金属は熱しやすく冷めやすい性質があります。適切な通気確保や断熱材付きの製品を選ばないと、小屋裏で結露(すが漏れ)が発生し、野地板を腐らせてしまうリスクがあります。
  • 雨音のリスク:
    断熱材のない安価な製品を選ぶと、雨音がうるさくなる可能性があります。必ず断熱材一体型か、石粒付きの製品を選びましょう。

屋根カバー工法の失敗例やデメリットについては、以下の記事でも詳しく解説していますので、合わせてご確認ください。

屋根カバー工法で後悔・失敗しない!よくある落とし穴と対策まとめ

30坪の事例で見る費用相場と内訳

皆さんが一番気になるのは「結局いくらかかるの?」という点でしょう。

一般的な30坪(屋根面積80㎡〜100㎡程度)の2階建て住宅を例に、適正な費用相場をご紹介します。

結論から言うと、足場代や諸経費まですべて含めた総額で80万円〜150万円程度が目安となります。

幅があるのは、使用する屋根材のグレード(断熱材の有無やフッ素塗装かなど)や、屋根の形状(寄棟か切妻か、複雑な形状か)によって手間賃や役物の数が変動するためです。

逆に言えば、この相場からかけ離れて安い(60万円以下など)場合は必要な工程が省かれている可能性が高く、高すぎる(200万円以上など)場合は不当な利益が乗せられている可能性があります。

30坪の目安は80〜150万円。見積もりでは防水シートが「改質アスファルト(ゴムアス)」になっているか確認が必要。

足場代やルーフィングなど見積もりの重要項目

見積もりを見る際は、総額だけでなく「内訳」がしっかり記載されているかを確認してください。

悪質な業者は「屋根工事一式」とまとめて記載し、詳細を隠そうとします。

以下は、信頼できる業者が提示する標準的な工事の内訳と、それぞれの項目の重要性です。

工事項目 費用の目安 プロの視点・備考
仮設足場工事 15万〜30万円 安全性確保のため必須。労働安全衛生規則の改正により、足場なしでの施工は違法かつ危険です。メッシュシート込みの価格か確認しましょう。
既存屋根下地処理 5万〜10万円 既存の棟板金や雪止めの撤去、屋根面の清掃費です。この段階で下地の腐食がないか最終確認を行います。
防水シート(ルーフィング) 5万〜10万円 最重要項目です。必ず高耐久な「改質アスファルトルーフィング(ゴムアス)」を指定してください。安い紙のルーフィングは寿命が短く危険です。
屋根本体工事 60万〜100万円 材料費+施工費です。平米単価は7,000円〜12,000円程度。断熱材一体型SGLか、断熱材なしかで大きく変わります。
役物工事(棟・軒など) 15万〜25万円 雨仕舞いの要となる板金加工費です。棟、軒先、ケラバ、谷樋などの部材費と加工手間賃が含まれます。
諸経費・廃材処分費 5万〜10万円 現場管理費、撤去した板金の処分費、運搬費などです。

この中で、私が特に声を大にしてお伝えしたいのが「ルーフィング(防水シート)」のグレードです。

屋根材の下に隠れて見えなくなりますが、最終的に雨漏りを防いでいる「最後の砦」は、実は屋根材ではなく、この防水シートなのです。

安価な「アスファルトルーフィング940」などの寿命は約10年程度と言われていますが、高耐久な「改質アスファルトルーフィング(通称:ゴムアス)」の寿命は20年以上あります。

その差額は、家一軒分でわずか数万円です。

屋根材本体には30年持つガルバリウム鋼板を使っているのに、その下の防水シートが10年で劣化してしまったら、カバー工法の意味が全くありません。

見積もりに「ルーフィング」としか書かれていない場合は、「これはゴムアス(改質アスファルト)ですか?」と必ず質問してください。

また、「役物(やくもの)」と呼ばれる屋根の端部を納める板金工事も重要です。

特に屋根の頂点にある「棟板金」の中に入れる下地材(貫板)には、従来は木材が使われてきましたが、腐食を防ぐために現在は「樹脂製(タフモックなど)」を使用するのがスタンダードになりつつあります。

ここも業者選びの重要なチェックポイントです。

より詳しい坪数別の費用シミュレーションについては、こちらの記事も参考にしてください。

屋根カバー工法の費用相場はいくら?平米単価・内訳・安くするコツ

プロが推奨するガルバリウム屋根の種類

「ガルバリウム鋼板」と一口に言っても、メーカーによって様々な製品が販売されています。

カタログを見ても似たような製品ばかりで迷ってしまうかもしれませんが、私たちプロが実際に現場で施工して、「施工性が良く、不良が少なく、お客様の満足度が高い」と確信している製品は限られています。

ここでは、自信を持っておすすめできる代表的な製品を厳選してご紹介します。

アイジー工業「スーパーガルテクト」の実力

現在、日本国内の屋根カバー工法において、プロの間で最も評価が高く、代名詞とも言える存在になっているのが、金属サイディングのトップメーカー・アイジー工業が製造する「スーパーガルテクト」です。

この製品の最大の特徴は、SGL鋼板(次世代ガルバリウム)と、断熱材(ポリイソシアヌレートフォーム)が完全に一体化されたサンドイッチ構造になっている点です。

非常に軽量でありながら、断熱性能と遮音性能が極めて高く、カバー工法のメリットを最大限に引き出すことができます。

表面には「ちぢみ塗装」と呼ばれる独特のテクスチャ加工が施されており、これが単なるデザインだけでなく、機能的なメリットも生み出しています。

光の反射を抑えて高級感のあるマットな質感を実現すると同時に、施工中や飛来物による引っかき傷を目立ちにくくする効果があるのです。

さらに、「スーパーガルテクト フッ素」という上位モデルでは、変色・褪色に対して20年という長期保証が付いています。

また、以前は金属屋根の弱点とされていた「塩害」についても、SGL鋼板の採用により保証対象エリアが大幅に拡大されました。

海岸線から500m以遠であれば保証対象となるケースが多く(※地域や条件によります)、静岡県のような沿岸部が多い地域でも安心して推奨できる「鉄板」の製品です。

私たちが施工するカバー工法の案件の多くで、このスーパーガルテクトが選ばれています。
性能、実績、保証のバランスが最も良く、迷ったらこれを選んでおけば間違いないと言える製品です。

スーパーガルテクトの詳細な特徴については、以下の記事で深掘りしています。

ガルテクトの屋根カバー工法とは?費用相場・メリット/デメリット・失敗しない選び方

デザイン性で選ぶニチハ「横暖ルーフ」

もう一つの有力候補として挙げられるのが、窯業系サイディング(外壁材)で国内最大手のニチハが展開する「横暖ルーフ」シリーズです。

こちらもスーパーガルテクト同様、断熱材一体型のSGL鋼板製品であり、性能面では甲乙つけがたい高いレベルを誇っています。

横暖ルーフの最大の魅力は、外壁メーカーならではの視点で作られた「デザインの豊富さ」にあります。

スタンダードな「横暖ルーフS」に加え、上位モデルの「プレミアムS」や「αS(アルファエス)」など、ラインナップが非常に充実しています。

特に、表面に深みのあるエンボス加工を施して「石積み調」や「レンガ調」の風合いを再現したモデルや、洋風住宅にマッチする独特の形状をしたモデルなど、意匠性に富んだ製品が揃っています。

「屋根の性能はもちろん大事だけど、外観の雰囲気も大切にしたい」「外壁の色と合わせてトータルコーディネートしたい」というこだわり派のお客様には、横暖ルーフをご提案することが多いです。

また、製品によっては断熱材の厚みが最大17mmと非常に厚く、遮音性においてさらに高いスペックを持つものもあります。

ご予算や好みのデザインに合わせて、スーパーガルテクトと比較検討されることをおすすめします。

塗装不可?ノンアスベスト屋根の真実

ここで、屋根リフォームを検討するすべての方に、非常に重要かつ衝撃的なお話をさせていただきます。

実は、2000年前後に製造された一部のスレート屋根(ノンアスベストへの切り替え過渡期の製品)には、「塗装をしてはいけない屋根」が存在するのです。

代表的なのが、ニチハの「パミール」、クボタ(現ケイミュー)の「コロニアルNEO(初期型)」、「レサス」などです。

これらの屋根材は、アスベストを抜いた新しい配合で製造されましたが、当時の技術では強度が十分に確保できず、経年劣化によって深刻な不具合を引き起こすことが後に判明しました。

最も有名な症状が、「層間剥離(そうかんはくり)」、通称「ミルフィーユ現象」です。

パミールやコロニアルNEOなどの屋根は、塗装しても層間剥離(ミルフィーユ現象)でボロボロになるため塗装厳禁。

屋根材がまるでパイ生地のように層状にペラペラと剥がれ落ちてしまう現象です。

また、コロニアルNEOのように、不規則で大きなひび割れが無数に発生し、屋根材が欠落してしまうケースもあります。

もし、ご自宅の屋根がこれらの製品であることを知らずに、安易に塗装リフォームをしてしまうとどうなるでしょうか?

答えは、「お金をドブに捨てる」ことになります。

なぜなら、塗装というのはあくまで「基材(屋根材)の表面に膜を作る」作業だからです。

下地である基材そのものが崩壊している状態では、いくら高価なフッ素塗料や無機塗料を塗って固めようとしても、塗膜ごとボロボロと剥がれ落ちてしまいます。

実際に、知識のない塗装業者に塗装を勧められ、施工からわずか1〜2年で屋根がボロボロになり、結局カバー工法でやり直すことになった悲惨な現場を、私は数多く見てきました。

このような「塗装不可の屋根」の場合は、塗装による延命は物理的に不可能です。

カバー工法(または葺き替え)が唯一の選択肢となります。

だからこそ、契約を結ぶ前に、ご自宅の屋根材の種類をメーカーや品番レベルで正しく特定し、診断できる専門知識を持った業者に見てもらうことが、最大のリスクヘッジとなるのです。

失敗しないための業者選びと診断の重要性

屋根のリフォームは、100万円単位の費用がかかる、決して安くない買い物です。

しかし、完成してしまえば中身が見えなくなる工事だけに、手抜きや不適切な施工が行われやすい分野でもあります。

業者選びで失敗しないためのポイントを、同業者の視点から正直にお伝えします。

「工事一式」見積もりには要注意

まず、見積書を受け取った際に最も警戒すべきなのが、「一式」という言葉の乱用です。

例えば、「屋根カバー工事一式 100万円」としか書かれていない見積書は、プロから見れば論外です。

これでは、具体的に「何」にいくらかかっているのかが全く分かりません。

契約前に必ず以下のポイントが見積書に明記されているか確認してください。

  • 使用する屋根材の具体的な製品名:(例:「アイジー工業 スーパーガルテクト フッ素」など。「金属屋根材」等の曖昧な表記はNG)
  • ルーフィングの種類とメーカー名:(例:「田島ルーフィング PカラーEX+(改質アスファルト)」など。ここが安物だと致命的です)
  • 施工面積(㎡数):(「一式」ではなく、正確な平米数が算出されているか)
  • 役物板金の仕様:(棟板金の下地には樹脂製タフモックを使用するか、など)

「細かいことはお任せください」「一式で安くしますよ」という言葉は、裏を返せば「安い材料を使って利益を確保します」と言っているのと同じかもしれません。

詳細な内訳を提示し、なぜその部材を選んだのかを論理的に説明できる業者を選んでください。

また、「足場代無料」や「モニター価格で半額」といった極端な値引きを謳う業者も、別の項目に費用を上乗せしているか、手抜き工事をする可能性が高いため、避けた方が賢明です。

職人直営店だからできる適正価格と品質

リフォーム業界には、大手ハウスメーカー、家電量販店のリフォーム部門、訪問販売のリフォーム営業会社など、様々な業態が存在します。

しかし、実際に屋根の上で金槌を振るい、工事を行うのは、私たちのような地元の「建築板金職人」や「塗装職人」です。

営業会社などに依頼した場合、お客様が支払う工事代金には、営業マンの人件費や広告宣伝費、そして元請け会社の利益として、約20%〜30%以上の「中間マージン」が含まれています。

つまり、100万円払っても、実際の工事に使われる費用は70万円程度になってしまうのです。

予算が削られれば、当然、使う材料のグレードを下げたり、工期を短縮して手間を省いたりせざるを得なくなります。

私たちのような「職人直営店(自社施工店)」にご依頼いただく最大のメリットは、この中間マージンをカットできることにあります。

浮いた費用を安易な値引きにするのではなく、屋根材のグレードをSGLに上げたり、より高耐久なルーフィングを使ったり、見えない下地補強に時間をかけたりと、工事の「質」に還元することができます。

職人直営店は中間マージンがないため、同じ費用でも高品質な材料(SGLやゴムアス)と技術に投資できる。

◆斎藤のワンポイントアドバイス

私たちアップリメイクの職人は、ただ作業をするだけでなく、「自分の家ならどうするか」を常に考えて施工しています。見えない部分の釘一本、シーリング一筋にまで魂を込める。それが職人のプライドであり、お客様への誠意だと信じています。工事が終わってからも、地元で逃げも隠れもせず、責任を持って守り続ける覚悟があります。

屋根カバー工法に関するよくある質問(FAQ)

Q1. 工事期間はどのくらいかかりますか?普段通り生活できますか?

A. 一般的な30坪程度の住宅で、実質的な屋根工事期間は5日〜1週間程度です。足場の設置・解体を含めても2週間前後とお考えください。
工事はすべて屋外で行いますので、職人が家の中に入ることはありません。普段通り生活していただけますし、お仕事などでご不在でも全く問題なく施工可能です。進捗状況は交換日記やLINE、写真付きの報告書などで随時ご報告いたします。

Q2. 太陽光パネルが載っていますが、カバー工法はできますか?

A. 技術的には可能ですが、一度太陽光パネルを取り外して、新しい屋根に再設置する必要があります。
その脱着費用(足場代とは別に20万〜30万円以上かかることが多いです)が発生するため、売電収入やパネルの残り寿命を考慮して、コストメリットが出るかを慎重にシミュレーションする必要があります。場合によっては、パネル部分は塗装で済ませる、あるいはパネル交換の時期まで待つといった選択肢も含めてご提案します。

Q3. ガルバリウム鋼板の色選びで失敗しないコツはありますか?

A. 金属屋根は表面が滑らかで日光を反射しやすいため、小さな色見本で見るよりも、実際に屋根に施工されると「かなり明るく・薄く」見えます。
「ちょっと暗すぎるかな?」と思うくらいのブラックやダークブラウン、モスグリーンなどの落ち着いた濃いめの色を選ぶと、仕上がった時に建物全体が引き締まって高級感が出ますし、土埃などの汚れも目立ちにくいのでおすすめです。

Q4. 保証はどうなっていますか?

A. メーカーによる手厚い製品保証(塗膜変色・赤錆・穴あき等で15年〜25年)が付帯します。それに加え、アップリメイクでは独自の「自社施工保証」もお付けしています。
工事が終わってからも、定期的な点検やメンテナンスでサポートさせていただきます。「塗って終わり」ではなく、そこからが本当のお付き合いだと考えていますので、ご安心ください。

家族の幸せを守るための最適な屋根リフォームを

屋根のリフォームは、単に建物の寿命を延ばすためだけのものではありません。

雨漏りの心配をなくし、夏場の暑さを和らげ、そこで暮らす家族の安心と快適な生活を守るための大切な投資です。

最後に、今回の記事のポイントを改めて整理しておきます。

築20年以上のスレート屋根やアスベスト含有屋根には、塗装より「カバー工法」が長期的に見てお得

「SGL鋼板」かつ「断熱材一体型」の屋根材を選ぶことで、夏の暑さと雨音の問題を解決できる

「パミール」などの塗装不可の屋根材には、絶対にお金をかけて塗装してはいけない

中間マージンのない「職人直営店」を選ぶことで、同じ予算でもワンランク上の工事が可能になる

目先の費用の安さだけに惹かれて塗装を選んでしまい、数年後に雨漏りして結局高くついた…というケースや、知識不足の業者に依頼してしまい、塗装不可の屋根を塗ってボロボロになってしまった…という悲しい事例を、私はこれ以上見たくありません。

築15年〜20年という時期は、家のメンテナンスにおける重要な分岐点です。

現状の屋根の状態を正しく診断し、将来のライフプランに合わせて「塗装」か「カバー工法」か、最適な選択をすることが重要です。

私たちアップリメイクは、静岡で創業し、地域の皆様に支えられてきた職人直営店です。

無理な契約を迫るようなしつこい営業は一切いたしません。

「うちの屋根は塗装でいいの?それともカバー工法が必要?」「他社の見積もりが適正か見てほしい」など、少しでも気になることがあれば、お気軽にご相談ください。

経験豊富なプロが、あなたのお住まいを親身になって「健康診断」させていただきます。

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  • この記事を書いた人

齋藤直樹

(株)アップリメイク代表取締役で元職人、塗装という仕事が大好きです。人生の大きな挫折と数多くの出会いを経て今は大好きな地元・静岡で、お客様の笑顔のために仕事ができることに何よりの誇りを感じています。

▼保有資格▼
1級建築塗装技能士・2級建築施工管理技士・有機溶剤作業主任者・高所作業主任者・2級カラーコーディネーター・光触媒施工技能士・乙4類危険物取扱者・ゴンドラ特別教育・職長・安全衛生責任者・第2種酸素欠乏危険作業主任者・宅地建物取引主任者・2級ファイナンシャルプランニング技能士・AFP