こんにちは、株式会社アップリメイク代表取締役の齋藤直樹です。
「屋根の劣化が進んでいるけれど、葺き替えは高すぎるし、塗装だけで本当に大丈夫なのかな…」
そんなお悩みを持つお客様から、最近よくご相談いただくのが「屋根カバー工法(重ね葺き)」です。
インターネットで調べると「費用が安い」「断熱性が上がる」といったメリットばかりが目につきます。
しかし一方で、「結露する」「地震に弱くなる」といった怖い情報も見かけ、余計に迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。
私は職人として、そしてリフォーム会社の代表として、これまで数多くの屋根を見てきました。
その経験から正直にお伝えすると、屋根カバー工法は非常に優れた工法ですが、決して「万能」ではありません。
向いている家と、絶対にやってはいけない家が明確に存在します。
この記事では、プロの視点でメリットとデメリットを包み隠さず整理し、あなたのお住まいにとって最適な選択ができるよう、誠実にお話しさせていただきます。
記事のポイント
- 屋根カバー工法で後悔しないために知っておくべき4つのデメリット
- コストと性能面で葺き替えよりも選ばれる具体的な3つのメリット
- あなたの家がカバー工法に向いているか判断できるセルフチェック基準
- 見積もり段階で見抜く、失敗しない優良業者の選び方と必須項目
屋根カバー工法(重ね葺き)とは?
屋根カバー工法(重ね葺き)とは、文字通り「既存の屋根材を撤去せず、その上から新しい屋根材を被せる」リフォーム手法です。
一般的な「葺き替え(ふきかえ)」工事では、古い屋根材をすべて剥がして処分する必要がありますが、カバー工法ではその手間と費用をカットできます。
主にスレート屋根(コロニアル、カラーベスト)のリフォームで採用されることが多く、現在では屋根リフォームの主流になりつつあります。
構造としては、古い屋根の上に新しい「防水シート(ルーフィング)」を敷き、さらにその上に軽量な「金属屋根(ガルバリウム鋼板など)」を固定します。
つまり、屋根が二重構造になるわけです。
簡単なイメージ
・葺き替え = 古い服を脱いで、新しい服に着替える
・カバー工法 = 古い服の上から、高機能なコートを羽織る(重ね着)
この「重ね着」という特性が、メリットを生むと同時に、無視できないデメリットも生み出します。
まずは、業者があまり積極的に語りたがらない「デメリット」から詳しく見ていきましょう。
後悔しないために知るべきデメリット
どんなに優れた工法にもリスクはあります。
特にカバー工法の場合、一度施工すると「元に戻す」ことが非常に困難です。
契約前に以下の4つのデメリットを必ず理解しておいてください。
屋根が重くなり耐震性が下がる懸念
「屋根を重ねる」ということは、既存の屋根材の重量にプラスして、新しい屋根材と防水シートの重量が建物にかかることを意味します。
これがカバー工法を検討されるお客様が最も不安に感じる点でしょう。
物理的な事実として、建物の上部(屋根)が重くなればなるほど、地震発生時の「揺れ幅」は大きくなります。
振り子をイメージしていただくと分かりやすいですが、先端におもりがついているほど、揺れが激しくなり、建物の構造躯体(柱や壁)にかかる負担が増大します。
これが「耐震性が下がる」と言われる根拠です。
具体的な数字で見てみましょう。
一般的なスレート屋根(コロニアルなど)の重量は、1平方メートルあたり約21kg前後です。
ここにカバー工法を行う場合、新しい金属屋根(約5kg/㎡)と防水シート(約1kg/㎡)が加わり、合計で約6kg/㎡の重量増となります。
一般的な戸建て住宅(屋根面積30坪=約100㎡)で計算すると、屋根全体で約600kg、つまり軽自動車1台分弱の重さが新たに乗ることになります。
「軽自動車1台分」と聞くと、かなり重い印象を受けるかもしれません。
しかし、建築的な視点で見ると、この重量増は「許容範囲内」であることがほとんどです。
なぜなら、日本の木造住宅はもともと「日本瓦(和瓦)」のような非常に重い屋根(約50kg/㎡)が乗ることを想定して設計されているケースが多いからです。
| 屋根の状態 | 1㎡あたりの重量 | 30坪(100㎡)の総重量 | 耐震性への影響 |
|---|---|---|---|
| 日本瓦(和瓦) | 約50kg | 約5,000kg | 非常に大きい |
| スレート屋根(既存) | 約21kg | 約2,100kg | 標準的 |
| カバー工法後(スレート+金属) | 約27kg | 約2,700kg | 瓦の約半分(許容範囲) |
上記の表の通り、カバー工法を行っても、総重量は日本瓦の約半分程度に収まります。
特に1981年(昭和56年)6月以降の「新耐震基準」で建てられた住宅であれば、構造計算上の余裕があるため、スレート屋根にカバー工法を行った程度の重量増で、倒壊リスクが劇的に高まることは考えにくいのが実情です。
ただし、注意が必要なのは、築40年を超える「旧耐震基準」の建物や、地盤が極端に弱い地域に建つ家の場合です。
この場合は、たとえわずかな重量増であっても慎重になるべきです。
私たちアップリメイクでは、古いお住まいの場合、安易にカバー工法を勧めず、軽量化を優先した「葺き替え工事」をご提案することもあります。
小屋裏の結露と木材腐食のリスク
私がプロとして最も懸念し、注意深く対策しているのが、この「内部結露(ないぶけつろ)」の問題です。
お客様には見えない場所で進行するため、気づいた時には屋根の下地がボロボロになっている…という恐ろしい事態を招きかねません。
なぜカバー工法で結露が起きるのでしょうか。
カバー工法では、既存の屋根材の上に、新しい「防水シート(ルーフィング)」を隙間なく敷き詰めます。
この防水シートは雨を通さないのと同時に、湿気も通しにくい性質を持っています。
つまり、既存の屋根に「蓋」をして密閉してしまう状態になります。
冬場、室内では暖房を使い、加湿器などで湿度を上げます。
この暖かく湿った空気は上昇する性質があり、天井の隙間などを通って「小屋裏(屋根裏)」へと侵入します。
通常であれば、屋根の隙間から湿気が逃げていくのですが、カバー工法で密閉された屋根では湿気の逃げ場がなくなります。
そして、夜間に外気で冷やされた屋根の下地(野地板)に湿った空気が触れることで、水滴が発生します。
これが結露です。
結露が引き起こす最悪のシナリオ
① 小屋裏で発生した結露水が、野地板(木材)に染み込む。
② 湿った状態が続き、木材腐朽菌が繁殖し、野地板が腐る。
③ 腐った野地板は釘を保持する力を失う。
④ 台風などの強風時、釘が効かなくなった新しい金属屋根が、ごっそりと剥がれ落ちる。
このようなリスクを回避するために絶対に欠かせないのが、「換気計画」です。
単に屋根を被せるだけでなく、湿気を外部に排出するための「呼吸口」を作らなければなりません。
私たちアップリメイクでは、カバー工法の際に必ず以下の手順で施工を行います。
- 屋根の頂点(棟)にある既存の板金を撤去する。
- その下にある既存の屋根材と野地板を、頂点に沿って幅数センチにわたりカットし、開口部(スリット)を設ける。
- この開口部を通して、小屋裏の湿気が外部へ抜ける通り道を作る。
- その上に、雨水は防ぎつつ空気だけを通す特殊な部材「換気棟(かんきとう)」を設置する。
このひと手間を加えるだけで、小屋裏の湿気はスムーズに排出され、野地板を乾燥した健康な状態に保つことができます。
「換気棟」の設置が見積もりに含まれていない業者は、結露のリスクを軽視している可能性が高いため注意が必要です。
さらに詳しいメカニズムや対策については、以下の記事で徹底解説していますので、ぜひ合わせてご覧ください。
屋根カバー工法で結露・雨漏りが起きる原因と対策(防水シートの重要性)
将来のメンテナンス費用が高額化
屋根カバー工法は、「今回」のリフォーム費用を抑えるには最適な選択肢ですが、建物のライフサイクル全体で見ると、「将来の負担を先送りしている」という側面があることを否定できません。
具体的には、20年後〜30年後、今回カバー工法を行った金属屋根が寿命を迎えた時のことを想像してください。
その時、屋根をメンテナンスしようとすると、以下の2つの選択肢しかありません。
- 再塗装する:
屋根材の状態が良ければ塗装で延命できます。しかし、下地の防水シートの寿命(約20年〜30年)が尽きている場合、塗装では雨漏りを防げないため、根本的な解決になりません。 - 解体して葺き替える:
これが問題です。解体する場合、今回被せた「金属屋根」だけでなく、その下にある「古いスレート屋根」もまとめて撤去・処分しなければなりません。
つまり、次回の葺き替え工事では、屋根2回分の解体費用と処分費用が一気にかかることになります。
さらに、2004年以前のスレート屋根にはアスベストが含まれている可能性が高く、将来の法改正によって、アスベスト廃棄物の処理費用が現在よりもさらに高騰しているリスクもあります。
また、メンテナンスにおけるもう一つのリスクとして、「雨漏り原因の特定が困難になる」という点が挙げられます。
万が一、カバー工法後に雨漏りが発生した場合、侵入経路が「新しい屋根の不具合」なのか、「古い屋根の劣化」なのか、それとも「その間の防水シートの施工不良」なのかを特定するのが非常に難しくなります。
屋根が二重になっているため、外から水をかけて調査する「散水調査」を行っても、水がどこを伝っているのか目視確認できません。
結果として、原因が特定できないまま、「とりあえずコーキングで埋める」といった場当たり的な修理にならざるを得ないケースや、最悪の場合は施工して数年で全面剥がしが必要になるケースも考えられます。
だからこそ、カバー工法を行う際は、「絶対に雨漏りさせない」という確実な施工技術と、万が一の時に責任を持って対応してくれる「長期保証」を持った業者を選ぶことが極めて重要になります。
火災保険が適用されにくいケース
台風や強風、雹(ひょう)などで屋根が破損した場合、通常であれば火災保険の「風災補償」を利用して、自己負担を抑えて修理を行うことができます。
しかし、カバー工法を行った屋根の場合、この保険申請のハードルが通常よりも高くなる傾向があります。
保険会社(鑑定人)の視点で考えてみましょう。
火災保険は原則として、「突発的な事故による損害」を補償するものであり、「経年劣化」は対象外です。
カバー工法で使用される金属屋根(ガルバリウム鋼板など)は非常に耐久性が高い素材ですが、薄い金属板であるため、飛来物によって「凹み」や「傷」がつくことはあります。
しかし、単なる表面の凹みだけでは、「屋根としての機能(雨風を防ぐ機能)は失われていない」と判断され、保険金が下りないケースが多いのです。
また、さらに厄介なのが「内部の損傷が見えない」ことです。
例えば、台風の飛来物が激しく衝突し、表面の金属屋根だけでなく、その下にある古いスレート屋根や野地板まで損傷していたとします。
通常の屋根ならその被害を確認できますが、カバー工法では二重構造になっているため、内部の被害状況を写真で証明することが物理的に不可能です。
被害を証明できなければ、当然保険金はおりません。
つまり、カバー工法を行うと、将来的な自然災害に対して「保険で直す」という選択肢が狭まる可能性があるのです。
もちろん、台風で屋根がめくれ上がってしまったような明確な被害であれば補償対象になりますが、「機能に支障のない軽微な損傷」については、認定が厳しくなることを覚悟しておく必要があります。
◆斎藤のワンポイントアドバイス
だからこそ、施工前の「現状の写真」を残しておくことが大切です。施工業者が工事完了後に提出する「工事完了報告書」は、将来の保険申請時に「元々は正常な状態だった」ことを証明する強力な証拠になります。必ず写真付きの報告書をもらえるか確認しましょう。
それでも選ばれる3つのメリット
ここまで厳しい現実をお伝えしてきましたが、それでもなお、屋根カバー工法は現在、最も多くの住宅で選ばれているリフォーム手法です。
その理由は、これまで挙げたデメリットを補って余りある、明確な「経済的合理性」と「機能的メリット」があるからです。
葺き替えよりも費用を安く抑える
お客様がカバー工法を選ぶ最大の理由は、やはりその圧倒的なコストパフォーマンスにあります。
「葺き替え工事」と比較した場合、カバー工法では以下の費用を大幅にカットできます。
- 既存屋根の撤去人件費: 職人が手作業で屋根を剥がす手間が不要になります。
- 廃材の運搬・処分費: 剥がした屋根材をトラックで運び、処分場へ持ち込む費用(特にアスベスト含有材は高額)がかかりません。
- 養生費: 埃やアスベストの飛散を防ぐための大規模な養生が最小限で済みます。
これにより、一般的な30坪(約100㎡)の切妻屋根の住宅で比較した場合、約40万円〜70万円もの費用を節約できるケースが多いです。
| 項目 | 葺き替え工事 | カバー工法 | 差額のメリット |
|---|---|---|---|
| 既存撤去・処分費 | 20万〜50万円 | ほぼ0円 | 大幅削減 |
| 下地補強費 | 5万〜10万円 | 0万〜5万円 | 状態による |
| 新規屋根材・施工費 | 80万〜120万円 | 80万〜120万円 | 同程度 |
| 総額目安 | 140万〜230万円 | 100万〜160万円 | 圧倒的に安い |
さらに、工期も短縮できるメリットがあります。葺き替えなら10日〜2週間かかるところ、カバー工法なら実質5日〜1週間程度で完了します。
工期が短いということは、それだけ職人の人件費も抑えられるということです。
浮いた数十万円の予算をどう使うか。ここで賢い選択ができるかどうかが、リフォーム成功の鍵です。
例えば、外壁塗装の塗料を「シリコン」から「フッ素」や「無機」にグレードアップして家全体の寿命を延ばしたり、屋根材を断熱材入りの最高級品(SGL鋼板)にしたりと、同じ総予算でもより高品質なリフォームを実現できるのがカバー工法の大きな魅力です。
詳しい費用相場や内訳については、以下の記事でさらに深掘りしています。
屋根カバー工法の費用相場はいくら?平米単価・内訳・安くするコツ
アスベスト飛散防止の最適解
2004年(平成16年)以前に製造・施工されたスレート屋根材(カラーベスト、コロニアル、フルベストなど)には、高い確率でアスベスト(石綿)が含まれています。
アスベストは、吸い込むと肺がんや中皮腫などの重篤な健康被害を引き起こす物質であり、現在は製造・使用が全面的に禁止されています。
もし、ご自宅の屋根にアスベストが含まれている場合、「葺き替え工事」でこれを撤去しようとすると、非常に大掛かりな対策が必要になります。
改正大気汚染防止法や石綿障害予防規則に基づき、作業員は防護服を着用し、現場を隔離養生し、湿潤化しながら慎重に手作業で取り外さなければなりません。
また、撤去した屋根材は「特別管理産業廃棄物」として、厳重な管理下で最終処分場へ運搬・埋め立て処理を行う必要があります。
これらの対策には当然、莫大なコストがかかりますし、どんなに慎重に作業しても、解体時にアスベスト繊維が飛散し、近隣の方々に不安を与えてしまうリスクはゼロにはなりません。
そこで、カバー工法が「最適解」として推奨されているのです。
カバー工法であれば、アスベスト含有建材を破壊したり切断したりすることなく、そのまま新しい金属屋根で覆い隠してしまいます。
これを「封じ込め」と呼びます。
封じ込めてしまえば、アスベストが空中に飛散することは物理的にあり得ません。
工事中の安全性はもちろん、将来にわたっても屋根材が劣化してアスベストが飛散するリスクをシャットアウトできます。
環境負荷が低く、近隣トラブルのリスクもなく、費用も抑えられる。まさに「一石三鳥」の解決策と言えるでしょう。
断熱性と遮音性が向上する
「金属屋根にすると、雨音がうるさくなるのではないか?」「夏場はフライパンのように熱くなるのではないか?」
このようなイメージをお持ちの方も多いですが、現在の屋根カバー工法においては、むしろ逆です。施工前よりも「静か」で「涼しい」環境が手に入ります。
その理由は、屋根の構造的な変化にあります。
カバー工法を行うと、屋根は以下のような多層構造になります。
【外側】 新規金属屋根(断熱材付き)
【中間】 新規防水シート
【中間】 既存のスレート屋根
【内側】 既存の野地板
このように屋根材が二重になることで、物理的な厚みが増します。さらに、既存屋根と新規屋根の間には空気の層が生まれます。
この「空気層」が、ペアガラス(二重窓)と同じように、熱や音を遮断するクッションの役割を果たしてくれます。
特に、私たちが推奨しているアイジー工業の「スーパーガルテクト」などの最新の金属屋根材は、鋼板の裏側に分厚い断熱材(ポリイソシアヌレートフォーム)がびっしりと一体化されています。
メーカーの実験データでも、遮熱塗料を塗ったスレート屋根に比べて、野地板裏面の温度を10℃以上も低く抑えられることが実証されています。
実際に施工されたお客様からも、「毎年夏になると2階の寝室がサウナのようだったのに、工事後はエアコンの効きが良くなった」「激しい雨の日でも、雨音が気にならなくて驚いた」といった喜びの声を多数いただいています。
古い屋根のメンテナンスと同時に、住まいの性能(断熱・遮音)まで向上させることができる。
これは、単なる「修理」である塗装工事や、元の状態に戻すだけの葺き替え工事にはない、カバー工法ならではの付加価値と言えます。
屋根カバー工事とは?向いている家・工事の流れ・費用目安をわかりやすく
向いている家と向かない家の条件
ここまでのメリット・デメリットを踏まえ、ご自宅がカバー工法に適しているかどうかを判断する基準をお伝えします。
以下のチェックポイントをご自身でも確認してみてください。
施工NGな屋根と劣化状態
残念ながら、すべての屋根にカバー工法ができるわけではありません。
以下の条件に当てはまる場合、カバー工法を行うことは「危険」であり、基本的には施工不可となります。
- 瓦屋根(日本瓦・セメント瓦・モニエル瓦):
瓦は形状が波打っており、表面が平らではありません。そのため、新しい屋根材を上から固定することができません。また、前述の通り瓦自体が重いため、さらに屋根を重ねると耐震性に重大な悪影響を及ぼします。瓦屋根の場合は、「葺き替え工事」一択となります。 - 激しい雨漏りが長期間続いている:
雨漏りがあるということは、防水シートを突破して、その下の「野地板」まで水が回っている可能性が高いです。腐食して強度がなくなった野地板には、新しい屋根材を固定する釘やビスが効きません。この状態で無理やりカバー工法を行うと、強風で新しい屋根ごと剥がれ落ちる大事故につながります。 - 屋根の上を歩くと「ブカブカ」沈む感覚がある:
これは野地板が湿気や経年劣化で腐っている典型的なサインです。プロが歩けば一発で分かりますが、この状態も釘が効かないため施工NGです。下地の交換を含む「葺き替え」が必要です。 - 複雑な形状の屋根:
急勾配の屋根や、ドーマー(鳩小屋)がある屋根、谷部(屋根の谷間)が多い複雑な形状の屋根は、板金の加工が非常に難しくなります。施工できたとしても、板金の接合部から雨漏りするリスクが高まるため、熟練の職人による判断が必要です。
カバー工法が最適な屋根の特徴
逆に、以下のような特徴を持つお住まいには、カバー工法が最も合理的で賢い選択肢となります。
- 2004年以前のスレート屋根(コロニアル):
繰り返しになりますが、アスベスト撤去費用を節約できるメリットが最大化されます。屋根の表面が平らであるため施工もしやすく、コストパフォーマンスが最も良くなります。 - 塗装ができない屋根材(パミール、コロニアルNEOなど):
1996年〜2008年頃に製造された一部のノンアスベスト屋根材(特にニチハの「パミール」)は、製品自体の欠陥により、築10年〜15年でミルフィーユ状に層間剥離を起こします。これらの屋根は、塗装しても表層ごと塗膜が剥がれてしまうため、塗装メンテナンスが無意味です。かといって葺き替えは大掛かりになるため、カバー工法が唯一にして最良の解決策となります。 - 築20年〜30年で、初めての屋根リフォーム:
築10年程度なら塗装で済みますが、築20年を超えるとスレート自体の耐久性が限界に近づき、ヒビ割れも増えてきます。このタイミングで塗装にお金をかけるよりも、カバー工法でさらに20年〜30年の耐久性を手に入れる方が、長期的なコストは安くなります。 - 断熱性・遮音性を向上させたい:
「2階が暑い」「雨音がうるさい」といった生活上の悩みを抱えている場合、単なるメンテナンス以上の生活改善効果が得られるため、満足度が非常に高くなります。
屋根カバー工法に関するよくある質問(FAQ)
Q1. 工事中はずっと家にいないといけませんか?
A. いいえ、普段通り生活していただけます。カバー工法は既存の屋根を撤去しないため、工事中に天井からホコリが落ちてくることもほとんどなく、室内でのストレスは最小限です。ただし、足場の設置時や工事中には多少の作業音が発生しますので、その点はご了承ください。
Q2. 金属屋根にすると、雨音がうるさくありませんか?
A. 昔のトタン屋根のようなイメージを持たれる方が多いですが、現在は心配ありません。私たちが使用する最新の屋根材(スーパーガルテクト等)は断熱材と一体になっており、遮音性が非常に高いです。さらに既存屋根との二重構造になるため、むしろ「施工前より静かになった」と驚かれるお客様も多いですよ。
Q3. 太陽光パネルが載っていますが、カバー工法はできますか?
A. 基本的には可能ですが、一度パネルを取り外して、新しい屋根施工後に再設置する必要があります。その分の脱着費用がかかるため、コストメリットが薄れる場合があります。また、パネルの種類によっては再設置ができないケースもあるため、事前の詳細な現地調査が必須となります。
Q4. アスベスト入りの屋根でも本当に安全ですか?
A. はい、安全です。むしろアスベスト屋根にこそ推奨される工法です。屋根材を破砕・切断せずに上から覆い隠して封じ込めるため、工事中にアスベスト繊維が飛散するリスクを極限まで抑えることができます。近隣の方への配慮という点でも非常に優れた工法です。
失敗しない業者の選び方と診断
最後に、業者選びで絶対に確認してほしいポイントをお話しします。
カバー工法は、新しい屋根を被せてしまえば、下地処理や防水シートの施工状況といった「一番大切な部分」が完全に見えなくなってしまいます。
だからこそ、見えない部分でも手を抜かない、信頼できる業者を見極める力が必要です。
換気棟の提案と下地確認が重要
悪質な業者や知識不足の業者を見抜くために、契約前に以下の2点を担当者に質問し、その反応を見てください。
「見積もりに『換気棟』は入っていますか?」
記事の途中でも詳しく解説しましたが、カバー工法において「結露対策」は命です。
見積書を見せてもらい、「換気棟(かんきとう)」という項目があるか確認してください。
もし入っていなければ、「結露の心配はないのですか?」と聞いてみてください。
もし、「スレート屋根なら隙間があるから大丈夫ですよ」とか「換気棟をつけると雨漏りしますよ」などと言ってごまかす業者は、知識不足か、あるいは安く見せるために必要な部材を省こうとしている可能性があります。
換気棟を設置するには屋根に穴を開ける手間がかかるため、それを嫌がる業者もいるのです。
「屋根に上って下地を確認してくれましたか?証拠写真はありますか?」
最近はドローンを使った現地調査が流行っていますが、屋根カバー工法の診断においてドローンだけでは不十分です。
なぜなら、ドローンでは「野地板の強度(踏み心地)」までは分からないからです。
表面が綺麗に見えても、歩いてみるとブカブカしているケースは多々あります。
信頼できる業者は、必ず実際に屋根に上り、足の裏の感覚で下地の状態を確認します。
また、可能であれば小屋裏(屋根裏)に入って、雨染みや光漏れがないかをチェックします。
そして、その診断結果を「写真付きの報告書」として見せてくれるはずです。
「下から見ただけで大丈夫と判断する業者」や「契約を急かす業者」には絶対に依頼してはいけません。
◆斎藤のワンポイントアドバイス
私たちアップリメイクでは、国家資格を持つスタッフが30倍スコープやサーモグラフィを使って徹底的な診断を行います。そして、「本当にカバー工法で大丈夫か?」を科学的に判断してからでなければ、決してお見積もりはお出ししません。診断の結果、葺き替えが必要であれば正直にそう伝えますし、塗装で十分ならそう伝えます。
お家のことで迷ったら、まずは無料診断をご利用ください。無理な営業は一切いたしません。








