【プロが教える】外壁のひび割れ、自分で補修はどこまでOK?危険サインと正しい対処法

男性がDIYで外壁のひび割れを点検している様子。

こんにちは、株式会社アップリメイク 代表取締役の齋藤直樹です。

「外壁のひび割れを自分で補修できないか」とお探しの方は、ある日ふと、ご自宅の壁に気がかりな亀裂を見つけ、どう対処すれば良いか大きな不安を感じていらっしゃるのではないでしょうか。

「家の外壁を修理、自分で挑戦してみたいけれど、専門的な知識がないから正しいやり方が分からない」「この程度のひび割れで、専門業者に頼んで高額な補修費用がかかるのは避けたい」といった切実なお悩みも聞こえてきそうです。

実際にホームセンターに足を運べば、市販の補修剤としてコーキングやスプレー、あるいは手軽さが魅力の補修テープなどが並んでおり、外壁のひび割れの応急処置は可能なのか、と期待も膨らむことでしょう。特に、ここ静岡で多く見られるモルタル壁や、近年の主流であるサイディングのひび割れ補修方法にはどのような違いがあるのか。

また、仮にDIYで使ったコーキングは何年くらい持ちますか、といった耐久性に関する本質的な疑問も当然湧いてくるかと思います。そして何より、もし見つけたひび割れが1mm以上の場合、それは本当に放置できない危険なサインなのか、判断に迷うこともあるでしょう。

この記事では、そんな皆様が抱える一つ一つの疑問やご不安に対し、地元静岡で1973年の創業以来、数多くのお住まいの屋根・外壁塗装に携わってきた専門家の視点から、誠心誠意お答えします。

ご自身でできることの正しい範囲とその限界、そして安全に作業を行うための具体的な知識と手順を、どこよりも分かりやすく、深く掘り下げて解説していきますので、ぜひ最後までじっくりとご覧ください。

記事のポイント

  • DIYで補修できるひび割れの見極め方とその根拠
  • 自分でできる具体的な応急処置の詳細な手順とプロのコツ
  • サイディングやモルタルなど外壁材ごとに異なる補修方法の要点
  • 放置は厳禁!専門家への相談を急ぐべき危険なひび割れのサイン

外壁のひび割れ補修を自分で行う前の注意点

男性が外壁のひび割れ補修のために道具と材料を準備し、作業前の注意点を強調している様子。

  • 家の外壁を修理、自分でできる範囲とは?
  • 危険!ひび割れが1mm以上の場合の対処法
  • 外壁のひび割れの応急処置に使える道具
  • 市販の補修剤はどれを選べばいい?
  • スプレータイプのセメントを使った補修手順
  • コーキング材を使ったひび割れ補修のコツ
  • 手軽な補修テープのメリット・デメリット

家の外壁を修理、自分でできる範囲とは?

まず、皆様が最も知りたいであろう結論から明確に申し上げます。ご自身で応急処置が可能なひび割れは、幅が0.3mm以下の「ヘアークラック」と呼ばれる、髪の毛ほどの非常に細いものに限定されます。これはDIYの可否を分ける極めて重要なボーダーラインです。

なぜ0.3mmが基準なのか。その理由は、このレベルのひび割れの多くが、外壁の表面を覆っている塗膜(塗装の膜)のみに発生した、比較的軽微な劣化である可能性が高いからです。

塗膜が経年や紫外線の影響で硬化し、素地の収縮に追従できずに発生するもので、建物の構造体(躯体)にまで達しているケースは稀です。そのため、適切な応急処置で表面を保護すれば、一時的に雨水の侵入を防ぐ効果が期待できます。

ご自宅のひび割れの幅を正確に把握するには、ホームセンターなどで数百円から購入できる「クラックスケール」という専用の測定ツールを使用するのが最も確実です。透明なカードに様々な太さの線が印刷されており、ひび割れに当てるだけで誰でも簡単に幅を測定できます。

もし手元にない場合の代替策としては、一般的なコピー用紙(厚さ約0.1mm)を3枚重ねたものをひび割れに差し込んでみてください。これがスッと入ってしまうようであれば、0.3mmを超えている可能性が高いと判断できます。

DIY可否を判断する「0.3mm」の壁

  • DIY可能なひび割れ: 幅0.3mm以下のヘアークラック。塗膜レベルの劣化の可能性が高い。
  • DIYが危険なひび割れ: 幅0.3mmを超えるクラック。下地や構造に問題が及んでいる恐れがある。
  • 正確な確認方法: 「クラックスケール」の使用を推奨。なければコピー用紙3枚で代用。

繰り返しになりますが、まずはお住まいのひび割れを冷静に観察し、この基準に沿ってご自身で対応できる範囲かどうかを慎重に見極めることが、すべての始まりとなります。

危険!ひび割れが1mm以上の場合の対処法

ひび割れた外壁に定規を当て、1mm以上のひび割れの危険性と専門家による対処の必要性を強調している様子。

もし、ご自宅の外壁に幅が1mm以上あるひび割れを発見した場合、それはDIYで対処できる範囲を完全に超えた、極めて危険なサインです。

このようなひび割れは「構造クラック(構造的な欠陥によるひび割れ)」と呼ばれ、もはや表面的な問題ではなく、建物の安全性そのものに関わる深刻なダメージを示唆している可能性が非常に高いとお考えください。

構造クラックを放置した場合に起こる、負の連鎖は深刻です。

  1. 雨水の侵入: ひび割れから雨水が壁の内部へ継続的に侵入します。
  2. 内部の腐食: 壁内部の木材(柱など)を腐食させ、断熱材を湿らせてカビを発生させます。鉄骨や鉄筋コンクリート造の場合、内部の鉄筋を錆びさせます。
  3. 耐久性の低下: 腐食やサビは建物の強度を著しく低下させ、耐震性にも大きな影響を及ぼします。また、湿った木材はシロアリの格好の餌食となり、被害をさらに拡大させます。
  4. 爆裂現象の発生: 特にコンクリート壁の場合、錆びた鉄筋は体積が2.5倍以上に膨張し、内側からコンクリートを押し出すように破壊する「爆裂」という現象を引き起こします。こうなると、コンクリートの塊が剥がれ落ちる危険性も出てきます。

ここまで症状が進行してしまうと、もはや塗装や補修というレベルでは対応できず、大規模な修繕工事が必要となり、結果的に数百万円という高額な費用がかかることにもなりかねません。

◆斎藤のワンポイントアドバイス

1mm以上のひび割れは、お住まいが発している「危険信号」です。私をはじめ、弊社の国家資格者である一級建築塗装技能士たちが診断してきたお宅でも、このサインを見過ごした結果、壁内部の柱がボロボロになっていた…というケースは決して珍しくありません。表面的な応急処置で蓋をしても、内部の劣化は確実に進行します。根本的な原因をプロが突き止め、適切な処置を施すことが、お住まいの資産価値とご家族の安全を守るために不可欠です。

ひび割れの幅が1mmを超えている、あるいは0.3mm以上で判断に迷う場合は、絶対に自己判断せず、速やかに私たちのような外壁診断の専門家にご相談ください。手遅れになる前に、お住まいの正確な「健康状態」を把握することが何よりも大切です。

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外壁のひび割れの応急処置に使える道具

幅0.3mm以下のヘアークラックに対して、ご自身で応急処置を行うと決めた場合、作業を始める前に必要な道具をしっかりと準備することが成功の鍵となります。焦って作業を始めず、まずはホームセンターなどで以下の道具を一式揃えましょう。

DIY補修を始める前に揃えたい道具一覧

  • 洗浄用具: 使い古しの歯ブラシやワイヤーブラシ、硬めの刷毛など。ひび割れの内部や周辺に付着した砂埃、コケ、古い塗膜の粉などを徹底的に除去するために使用します。この下地処理が不十分だと、補修材がすぐに剥がれる原因になります。
  • 補修剤: カートリッジタイプの「シーリング材(コーキング材)」または「セメント粉」。外壁の種類や後の塗装の有無を考慮して選びます(選び方は次項で詳しく解説)。
  • シーリングガン: カートリッジタイプのシーリング材を押し出すために必須の道具です。安価なもので十分ですが、握りやすいものを選ぶと作業が楽になります。
  • マスキングテープ: 補修箇所の両脇を養生するためのテープ。これを丁寧に貼るかどうかで、仕上がりの美しさが天と地ほど変わります。幅は18mm程度のものが使いやすいでしょう。
  • ヘラ: 充填したシーリング材を平滑にならし、余分なシーリング材を除去するために使用します。様々な幅や材質のものがありますが、補修箇所の大きさに合わせて選ぶと良いでしょう。
  • ウエス(布): はみ出したシーリング材を拭き取ったり、道具をきれいにしたりする際に数枚あると非常に便利です。
  • 安全装備: 保護メガネやゴーグル、作業用手袋は必ず着用してください。特にセメント粉やシーリング材が目に入ると思わぬ事故につながります。安全第一で作業に臨みましょう。

これらの道具を事前にリストアップし、不足なく準備することで、作業効率が上がるだけでなく、安全性の確保と仕上がりの質の向上にも繋がります。

市販の補修剤はどれを選べばいい?

外壁補修用のコーキング材、スプレー缶、テープなど、様々な市販の補修材が並べられている様子。

DIY補修の成否を分ける最も重要な要素の一つが「補修剤選び」です。ホームセンターには様々な種類のシーリング材が並んでいますが、外壁に使う場合は選択を誤ると後で大変なことになります。ここでは、プロの視点から正しい選び方を詳しく解説します。

まず、DIYで外壁のヘアークラックを補修するなら、結論として「変成シリコン系」または「ウレタン系」のシーリング材(コーキング材)が最適です。

最大の理由は、これらのシーリング材が硬化後に上から塗装できるからです。DIYでの補修はどうしても色が合わずに目立ってしまいますが、塗装可能なタイプを選んでおけば、将来的に外壁塗装を行う際に補修跡をきれいに隠すことができます。

【最重要注意点】外壁に「シリコン系」シーリング材は絶対NG!

商品名が似ていて非常に間違いやすいのですが、ホームセンターで安価に手に入る「シリコン系」のシーリング材は、外壁のひび割れ補修には絶対に使用しないでください。このタイプは撥水性が非常に高く、塗料を弾いてしまうため、一切塗装ができません。

一度使用すると、その部分だけ塗装ができず、将来のメンテナンス時には高額な費用をかけてシリコンを完全に除去するしかなくなります。「安物買いの銭失い」の典型例ですので、くれぐれもご注意ください。

主なシーリング材の種類と特徴を以下の表にまとめましたので、参考にしてください。

種類 塗装可否 耐久性 主な特徴 DIYでの推奨度
変成シリコン系 ◎ 可能 高い 耐候性が高く、幅広い外壁材に使用可能。塗料の密着性も良い。 ★★★★★
ウレタン系 ◎ 可能 普通 密着性が高いが、紫外線に弱い。塗装が前提となる。 ★★★★☆
アクリル系 ○ 可能 低い 安価で扱いやすいが、硬化後の肉やせが大きく耐久性に劣る。 ★★☆☆☆
シリコン系 × 不可 非常に高い 撥水性が高く塗料を弾く。浴室やキッチン用。外壁には絶対NG。 ☆☆☆☆☆

知っておくと便利な「ノンブリードタイプ」

シーリング材を選ぶ際、パッケージに「ノンブリードタイプ」や「NB」と書かれた製品を選ぶことをお勧めします。これは、シーリング材に含まれる可塑剤(柔らかさを保つ成分)がにじみ出て、上に塗った塗料を汚染する「ブリード現象」を防ぐタイプのことです。ノンブリードタイプを選んでおくと、補修箇所が後から黒ずんでくるのを長期間防ぐことができます。

どの種類を選べばよいか分からない場合は、ホームセンターの店員さんに「外壁のひび割れに使い、後で塗装ができるノンブリードタイプの変成シリコン」と具体的に伝えて相談するのが最も確実です。

スプレータイプのセメントを使った補修手順

シーリング材の他に、スプレータイプのセメント粉もヘアークラックの補修に利用できます。手を汚さずに作業できる手軽さが魅力ですが、いくつかのコツと注意点を理解しておく必要があります。

メリットとデメリットの深掘り

スプレータイプの最大のメリットは、シーリングガンのような特別な道具が不要で、ひび割れに沿って吹き付けるだけで作業が完了するその手軽さと速さです。しかし、プロの視点から見るとデメリットの方が大きいと感じます。具体的には、霧状に噴射されるため、ひび割れの内部にしっかりと充填するのが難しく、表面的な補修になりがちです。

また、少しでも風があると広範囲に粉が飛び散り、補修箇所以外の壁やサッシ、植木などを汚してしまうリスクが高く、養生が非常に重要になります。

より詳細な補修手順

  1. 下地処理(最重要): ワイヤーブラシなどを使って、ひび割れ内部のゴミやホコリ、脆くなった塗膜を徹底的に掻き出します。この作業を怠ると、セメントが密着せず、すぐに剥がれてしまいます。
  2. 養生: 風向きを考慮し、補修箇所から上下左右、最低でも30cm以上はマスキングテープや養生シートで広めに保護します。特にサッシや給湯器などの設備機器は念入りに養生してください。
  3. 吹き付け: 製品の指示に従って缶をよく振り、ひび割れから15cm〜20cmほど離して、均一な速度でスプレーします。一度に厚く吹き付けようとせず、薄く数回に分けて重ねるのがきれいに仕上げるコツです。
  4. 乾燥と後処理: 製品によりますが、数時間は乾燥させます。完全に硬化した後、表面がザラザラしすぎている場合は、サンドペーパーなどで軽く整えることも可能です。最後に、上から透明な防水スプレーなどを塗布しておくと、耐久性が多少向上します。

スプレータイプ使用時の安全上の注意

  • 風が強い日の作業は絶対に行わないでください。粉が飛散し、ご近所迷惑になる可能性があります。
  • セメントの微粉末を吸い込まないよう、必ず防塵マスクを着用してください。
  • 保護メガネを着用し、粉が目に入らないように注意してください。

チョークのように擦り込むタイプもありますが、こちらはひび割れに十分な量を埋め込むのに相当な力が必要で、腕が疲れてしまうでしょう。いずれのセメント系補修材も、補修箇所がセメントの色(灰色)になるため、壁の色によっては非常に目立つことは覚悟しておく必要があります。

コーキング材を使ったひび割れ補修のコツ

男性がコーキングガンで外壁のひび割れにコーキング材を塗布し、ヘラでならしている様子。

DIYでのひび割れ補修において、最も一般的で、かつ私たちプロも推奨する方法が、シーリング材(コーキング材)を充填する方法です。正しい手順といくつかのコツを掴めば、応急処置としての効果を最大限に高め、比較的きれいな仕上がりを実現することが可能です。

プロが実践する詳細な補修手順

  1. 徹底した洗浄・乾燥: まず、歯ブラシやワイヤーブラシでひび割れ内部のゴミや劣化した塗膜を丁寧にかき出します。その後、固く絞ったウエスで水拭きし、汚れを完全に除去します。補修材の密着性を左右する最も重要な工程ですので、「もう十分だろう」と思ってから、もう一手間かけるくらいの意識が大切です。作業前には、補修箇所を半日以上かけて完全に乾燥させます。
  2. 美観を左右する養生(マスキング): ひび割れの両脇に、ラインから1〜2mm離して、まっすぐにマスキングテープを貼ります。このテープのラインが仕上がりのラインになるため、時間をかけて丁寧に行いましょう。角の部分はテープを折り返してきれいに処理するのがコツです。
  3. 【推奨】プライマーの塗布: シーリング材と外壁材との密着性を高める、いわば「接着剤」の役割を果たすのがプライマーです。これを省略すると、数年でシーリングが剥離する原因となります。シーリング材に合った専用のプライマーを、刷毛で薄く均一に、はみ出さないように塗布します。
  4. 空気を入れない充填: シーリングガンの先端(ノズル)をひび割れの幅に合わせて斜めにカットします。そして、ひび割れの奥から空気を押し出すように、一定の速度と力でガンを動かし、少し盛り上がるくらいにたっぷりと充填していきます。
  5. 一方向へのヘラならし: 充填後すぐに、ヘラをひび割れに対して45度くらいの角度で当て、一定の力で一方向にスーッと動かして表面を平滑にならします。往復させると表面が荒れる原因になるので注意してください。ヘラで余分なシーリング材を掻き取り、ひび割れに圧着させるイメージです。
  6. 最高のタイミングでのテープ除去: ヘラでならし終わったら、シーリング材が硬化する前に、すぐにマスキングテープを剥がします。剥がす際は、シーリング側(内側)に向かって、ゆっくりと角度をつけて剥がしていくと、エッジがきれいに仕上がります。
  7. 完全乾燥: 製品の指示に従って、完全に硬化するまで触らずに放置します。表面は数時間で乾きますが、内部まで完全に硬化するには24時間以上かかる場合が多いです。

◆斎藤のワンポイントアドバイス

DIYでシーリング作業を行う際は、天候選びが非常に重要です。気温が5℃以下、または湿度が85%以上の日は、硬化不良の原因となるため避けてください。雨の日はもちろんNGです。よく晴れていて、風が穏やかな日を選ぶことが、成功への近道ですよ。焦らず、じっくりと作業に臨んでください。

手軽な補修テープのメリット・デメリット

最近では、技術の進歩により、ひび割れの上から貼り付けるだけの「防水補修テープ」も市販されています。これ以上ないほど手軽な方法ですが、そのメリットと、専門家から見た深刻なデメリットを正確に理解した上で使用を判断する必要があります。

最大のメリットは、言うまでもなくその圧倒的な手軽さです。シーリングのように多くの道具を準備したり、技術を要する工程を経たり、乾燥時間を待ったりする必要が一切ありません。

ハサミで切って貼るだけなので、誰でも簡単に、数分で作業を終えることができます。台風が接近しているなど、今すぐ何とかしなければならない、という緊急時の一次的な対応としては有効な選択肢の一つかもしれません。

しかし、その手軽さの裏には、多くの無視できないデメリットが存在します。

補修テープの深刻なデメリット

  • 限定的な耐久性: 紫外線や雨風に常にさらされる外壁において、テープの粘着力は長くは持ちません。早いものでは数ヶ月、長くても1~2年で硬化したり、端から剥がれてきたりして、防水効果を失います。
  • 美観の著しい悪化: テープを貼った箇所は、色も質感も異なるため、外壁に大きな「絆創膏」を貼ったように非常に目立ちます。お住まいの外観を大切にされる方には、まずお勧めできません。
  • 内部結露のリスク: テープで表面を塞ぐことで、壁内部の湿気の逃げ場がなくなり、テープの下で結露が発生することがあります。これにより、かえって壁内部の劣化やカビの発生を助長してしまう危険性すらあります。
  • 撤去時の塗膜剥離: 劣化したテープを剥がす際に、粘着剤が健康な塗膜まで一緒に剥がしてしまい、被害を拡大させてしまうケースが多々あります。

これらのデメリットを考慮すると、補修テープは恒久的な対策とは到底言えず、あくまで「プロの業者が来るまでの数日間をしのぐための、緊急避難的な最終手段」と位置づけるべきです。安易な使用は、後々の本格的な補修費用を増大させる原因にもなりかねないことを、強く心に留めておいてください。

外壁のひび割れ、自分で補修する具体的な方法

様々な種類の壁で、ひび割れ補修の異なる道具と技術を示している様子。

  • サイディングのひび割れ補修方法と注意点
  • モルタル壁のひび割れに適した補修方法
  • 補修用コーキングは何年くらい持ちますか?
  • DIYと業者依頼、補修費用の比較
  • 外壁のひび割れを自分で補修する前に

サイディングのひび割れ補修方法と注意点

男性がサイディングの外壁にあるひび割れを指差し、補修方法と注意点を強調している様子。

日本の現代住宅で最も普及している外壁材が「窯業系サイディング」です。デザイン性が高く、施工もしやすい一方で、メンテナンスには特有の注意点があります。ひび割れを発見した際は、その場所によって対処法が全く異なることを理解しておく必要があります。

ひび割れの「場所」ごとの対処法

サイディング外壁のひび割れは、大きく分けて2つのケースが考えられます。

ひび割れの場所 主な原因 DIYでの対処
サイディングボード本体 ・地震などによる建物の動き
・釘の打ち付け場所の問題
・内部水分の凍結(凍害)
幅0.3mm以下のヘアークラックであれば、シーリング材による応急処置が可能。
ボード間の継ぎ目(シーリング) ・紫外線の影響による経年劣化
・建物の揺れへの追従
絶対に不可。専門家による「打ち替え」工事が必要。

サイディングボード自体に発生したヘアークラックであれば、これまで解説してきたシーリング材による応急処置が可能です。しかし、問題はボードとボードの継ぎ目を埋めている「シーリング(コーキング)」部分の劣化です。このシーリングは、建物の揺れを吸収し、雨水の侵入を防ぐという非常に重要な役割を担っています。

この部分がひび割れたり、痩せて隙間が空いたりしている状態は、お住まいの防水機能が失われつつある危険なサインです。

【DIY絶対不可】シーリングの上から塗る「増し打ち」の罠

劣化したシーリングの上から、新しいシーリング材を薄く塗り重ねる「増し打ち」という方法があります。一見、簡単そうに見えるためDIYで試みる方がいますが、これは絶対にやってはいけない補修方法です。

劣化した古いシーリングの上には、新しいシーリング材は十分に密着せず、数ヶ月でまた剥がれてきてしまいます。時間とお金の無駄になるだけでなく、かえって状態を悪化させることにもなりかねません。

正しいメンテナンスは、カッターなどで古いシーリングを完全に撤去し、清掃、プライマー塗布、新しいシーリング材の充填、ヘラならし、という工程を経る「打ち替え」工事です。これは専門的な技術と道具を要するため、必ずプロにご依頼ください。

◆斎藤のワンポイントアドバイス

特に静岡のような日当たりの良い地域では、南面や西面の壁は紫外線の影響を強く受けるため、シーリングの劣化が他の面より早く進行する傾向があります。ご自宅をチェックされる際は、日当たりの良い面のシーリングから重点的に見ていただくと、劣化のサインを発見しやすいですよ。

モルタル壁のひび割れに適した補修方法

男性がモルタル外壁のひび割れを点検し、適切な補修方法を強調している様子。

職人が手作業で仕上げるモルタル壁は、サイディングと異なり継ぎ目がなく、重厚感のある美しい仕上がりが魅力です。しかし、その一枚岩の構造ゆえに、建物の動きや乾燥収縮によるひび割れが発生しやすいという宿命も持っています。

モルタル壁のひび割れも、その原因によって種類が分かれます。

  • 乾燥クラック: モルタルが乾燥・硬化する過程で水分が蒸発し、収縮することで発生するヘアークラック。これはある程度避けられない現象で、0.3mm以下であればDIYでの応急処置が可能です。
  • 構造クラック: 地震や地盤沈下など、建物に大きな力が加わることで発生する、幅が0.3mmを超えるひび割れ。前述の通り、これは専門家による診断が必須の危険なサインです。
  • 縁切りクラック: 窓やドアのサッシ周りなど、構造的に力の集中しやすい部分に発生するひび割れ。斜め方向に入ることが多いのが特徴です。これも進行すると雨漏りの原因となるため、注意が必要です。

DIYで対応できるのは、あくまで軽微な「乾燥クラック」のみと心得てください。0.3mm以下のヘアークラックであれば、これまでご紹介したシーリング材やセメント粉による応急処置が有効です。特にモルタル壁は、補修材との密着性が比較的良いため、丁寧な下地処理を行えば、DIYでもある程度の効果は期待できるでしょう。

コンクリート(RC造)のひび割れはより深刻

モルタル壁と似ていますが、鉄筋コンクリート(RC造)の建物の場合、ひび割れはより深刻な問題を引き起こす可能性があります。ひび割れから侵入した雨水が内部の鉄筋を錆びさせ、膨張することでコンクリートを内部から破壊する「爆裂」という現象です。

この補修には、劣化したコンクリートを削り取り(斫り)、鉄筋の錆を落として防錆処理を施し、樹脂モルタルで埋め戻すといった大掛かりな作業が必要になります。RC造の建物でひび割れを見つけたら、より一層の警戒が必要です。

いずれにせよ、モルタル壁のひび割れは、放置すれば必ず進行します。小さなヘアークラックのうちに、適切な処置を施すことが、お住まいを長持ちさせる秘訣です。

補修用コーキングは何年くらい持ちますか?

時間の経過とともに劣化や摩耗の兆候が見られる外壁のコーキング材が、その耐久性と寿命を示している様子。

「自分で頑張って補修したコーキングは、一体どのくらいの期間、効果を保ってくれるのだろうか?」これはDIYに挑戦する方が必ず抱く、当然の疑問です。

この問いに対するプロとしての率直な答えは、「施工の質によりますが、1年~3年程度が目安」となります。残念ながら、私たち専門業者が行う施工のような、10年以上の長期的な耐久性は期待できません。

なぜこれほどまでに差が生まれるのか。それは、使用する材料の質以上に、目に見えない「施工工程の差」が大きいからです。プロの施工とDIYの主な違いを比較してみましょう。

工程/要素 プロの施工 一般的なDIY
下地処理 高圧洗浄や専用工具で汚れ・旧塗膜を完全に除去。 ブラシでの清掃が主。完全な除去は困難。
プライマー塗布 必ず実施。シーリング材に合った専用プライマーを使用し、密着性を最大化。 省略されることが多い。耐久性に決定的な差が出る。
シーリング材 高耐久なプロ用材料を使用。ひび割れの状態に応じて種類を選定。 ホームセンターで入手可能な汎用品が主。
充填技術 適切な厚みと幅を確保し、空気が入らないよう均一に充填。 充填量が不均一になりがちで、薄い部分は早期に劣化。
耐久年数目安 10年~15年以上(材料による) 1年~3年程度
保証 あり(施工保証) なし(自己責任)

このように、特に「プライマー」の有無は、シーリングの寿命を決定づける最も大きな要因です。プライマーという「接着剤」なしの補修は、どんなに高価なシーリング材を使っても、数年で剥がれてくる運命にあります。

したがって、DIYでの補修は、あくまで次の本格的なメンテナンス(外壁塗装)までの数年間、雨水の侵入を一時的に食い止めるための「延命措置」であると正しくご理解いただくことが重要です。

DIYと業者依頼、補修費用の比較

DIYで外壁を補修している男性と、高度な設備を使って作業しているプロの業者を比較している様子。

ひび割れ補修を検討する上で、最も現実的な問題が「費用」です。ここでは、DIYで行う場合と、私たちのような専門業者に依頼した場合の費用について、その内訳も含めて詳しく見ていきましょう。

DIYでかかる費用

ご自身で補修を行う場合の費用は、主にホームセンターで道具や材料を揃えるための初期投資です。

  • シーリング材: 500円~1,500円程度
  • シーリングガン: 500円~1,000円程度
  • マスキングテープ、ヘラなど: 1,000円程度

これらを一式揃えても、おおよそ3,000円~8,000円程度の出費で収まることがほとんどです。目先のコストを抑えられるのが、DIYの最大の魅力と言えるでしょう。

専門業者に依頼した場合の費用

一方、専門業者に部分的なひび割れ補修を依頼した場合、費用はひび割れの長さや深さ、そして作業場所に足場が必要かどうかによって大きく変動します。

例えば、脚立で届く範囲の数か所のひび割れ補修であれば、2万円~5万円程度が一般的な相場観です。これには、材料費の他に、職人の技術料である人件費や現場管理費などが含まれます。もし、2階部分など高所の作業で足場の設置が必要になると、足場代だけで別途15万円~25万円程度の費用がかかります。

そのため、部分的な補修のために足場を組むのは非効率な場合が多く、足場が必要なタイミングで外壁全体の塗装メンテナンスと一緒に行うのが一般的です。

長期的な視点「ライフサイクルコスト」で考える

たしかに、一回の出費だけを比較すればDIYの方が圧倒的に安価です。しかし、少し長期的な視点で考えてみましょう。例えば、15年という期間で考えた場合、3年ごとにDIYを5回繰り返す手間と時間、そしてその都度かかる材料費と、プロによる1回の施工で15年間の安心を得るのとでは、どちらが本当に「お得」でしょうか。

業者の施工は、根本原因の解決と長期的な耐久性を見越したものです。目先の安さだけでなく、将来にわたるトータルの維持管理費用(ライフサイクルコスト)で判断することが、賢い選択に繋がります。

「安すぎる」見積もりには要注意!

相見積もりを取った際に、他社より極端に安い金額を提示してくる業者には注意が必要です。安いのには必ず理由があります。本来必要な下地処理やプライマーの工程を省いたり、塗料を規定以上に薄めて使ったりと、手抜き工事に繋がる可能性が非常に高いです。

見積書の内訳が「一式」で済まされている、大幅な値引きを提示して契約を急かす、といった業者も危険信号です。私たちアップリメイクが、塗料や施工面積などを明確にした詳細な見積書のご提示を徹底しているのは、お客様に心からご納得いただいた上で、大切なご自宅の工事をお任せいただきたいからです。安さだけで選んで後悔することのないよう、工事内容と金額のバランスをしっかりと見極めてください。

※上記の費用はあくまで一般的な目安であり、お住まいの劣化状況や立地条件によって変動します。正確な金額については、必ず複数の専門業者から見積もりを取り、内容を比較検討することをお勧めします。

まずは無料見積もりで正確な費用と工事内容を確認する

外壁のひび割れや補修のよくあるご質問

Q.

DIYで補修した箇所の色が周りと違って目立ちますか?

A.

はい、残念ながらどうしても目立ってしまいます。市販の補修剤は、ご自宅の既存の外壁と全く同じ色ということはまずありません。特にシーリング材は色の種類が限られています。そのため、補修箇所は色が違うだけでなく、ツヤや質感も異なるため、どうしても「補修した跡」として線状に浮き出てしまいます。美観を非常に重視される場合は、補修も含めて家全体を塗装するプロのメンテナンスをご検討いただくのが最善の方法です。

Q.

2階の外壁にひび割れが。自分で補修できますか?

A.

いいえ、その考えは非常に危険ですので、絶対におやめください。2階部分など、ご自身の身長が届かない高所での作業は、脚立やはしごを使用することになります。慣れない高所作業はバランスを崩しやすく、転落して命に関わる重大な事故につながる危険性が非常に高いです。たとえ0.3mm以下のヘアークラックであっても、高所のひび割れ補修は必ず私たちのような専門業者にご依頼ください。お客様の安全が何よりも第一です。

Q.

ひび割れを放置すると、最終的にどうなりますか?

A.

ひび割れを「たかが一本の線」と侮って放置すると、お住まいの寿命を確実に縮めることになります。雨水が壁の内部に浸入し、構造材である木材や鉄骨を腐食させ、建物の耐久性を著しく低下させます。最悪の場合、室内にまで雨水が達する「雨漏り」を引き起こし、内装のクロスや天井にシミを作ったり、カビを発生させたりします。さらに、湿った木材はシロアリを呼び寄せる原因にもなります。小さなひび割れが、結果的に数百万円規模の大規模な修繕費につながることもあるため、早期発見・早期対応が何よりも大切なのです。

Q.

静岡の気候で特に注意すべきことはありますか?

A.

はい、静岡の気候はお住まいの外壁にとって非常に過酷な面があります。まず、全国的に見ても日照時間が長く、一年を通して強い紫外線にさらされます。紫外線は塗膜を劣化させる最大の要因であり、ひび割れを誘発します。また、ご存知の通り台風の上陸も多く、その際に叩きつけるような強風と豪雨は、小さなひび割れからでも効率的に雨水を侵入させます。さらに沿岸部では潮風による「塩害」もあり、金属部分のサビなどを促進させます。そのため、定期的な点検はもちろんのこと、メンテナンスの際には紫外線や塩害に強い高耐久な塗料を選ぶことが、静岡でお住まいを長持ちさせる重要なポイントになります。

Q.

無料診断をお願いしたら、しつこく営業されませんか?

A.

ご安心ください。しつこい営業は一切行わないことを、会社の理念としてお約束します。さらに、私たちの技術と誠実さへの自信の証として、「施工開始前ならいつでも契約を解除できる」という独自の制度を設けております。私の亡き父の代から受け継ぐ「お客様の幸せを第一に」という想いのもと、まずはお客様ご自身に「お住まいの正しい現状」を正確に知っていただくことが私たちの使命です。診断結果を誠実にご報告し、必要な工事を正直にご提案しますが、最終的に決断されるのは常にお客様ご自身です。まずはお住まいの健康状態を知る、という感覚で、お気軽にご相談いただければ幸いです。

外壁のひび割れを自分で補修する前に

今回は、外壁のひび割れをご自身で補修する方法について、その限界と正しい知識、そして具体的な手順を専門家の視点から詳しく解説しました。幅0.3mm以下のごく軽微なヘアークラックであれば、市販の補修剤を使った応急処置は、たしかに可能です。

しかし、この記事をここまで読んでくださった皆様には、その行為があくまで本格的なメンテナンスまでの「つなぎ」の延命措置であり、根本的な問題解決には至らないということを、深くご理解いただけたかと存じます。

なぜ、そこにひび割れができたのか? それは単なる経年劣化なのか、それとも建物の動きに起因するのか? ひび割れの奥、壁の内部では本当に何も起きていないのか? そして何より、あなたの大切なお住まいに、今本当に必要なメンテナンスは何なのか?その本質的な答えは、やはり私たちのような専門家が、実際に建物を隅々まで拝見し、長年の経験と知識に基づいて徹底的に診断しなければ、決して導き出すことはできません。

本当の安心と満足は、プロの正確な診断から始まります

ご自身で補修を試みて、時間と費用をかけた結果、数年で元に戻ってしまったり、かえって状態を悪化させてしまったりする前に。まずは一度、お住まいの「プロによる健康診断」を受けてみませんか?

インターネットの情報だけで不安を募らせるよりも、ご自宅の現状を専門家の目で正確に把握することが、後悔しないリフォームへの、そしてお住まいの資産価値を守るための、何よりの第一歩です。

私たちアップリメイクは、塗装のプロ集団として、そしてお客様の幸せを第一に考える地元のパートナーとして、そのお手伝いをさせていただきたいと心から願っています。

私たち株式会社アップリメイクでは、一級建築塗装技能士をはじめとする国家資格を持つ専門家が、あなたのお住まいの状態を無料で、そして徹底的に診断いたします。

亡き父が1973年にこの静岡の地で斎藤塗装工業を創業して以来、私たちは地域のお客様からの信頼を裏切らない誠実な仕事だけを続けてまいりました。診断後、しつこい営業を行うことは決してないと、私の名誉にかけてお約束いたします。まずはお気軽にご相談ください。

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  • この記事を書いた人

齋藤直樹

(株)アップリメイク代表取締役で元職人、塗装という仕事が大好きです。人生の大きな挫折と数多くの出会いを経て今は大好きな地元・静岡で、お客様の笑顔のために仕事ができることに何よりの誇りを感じています。

▼保有資格▼
1級建築塗装技能士・2級建築施工管理技士・有機溶剤作業主任者・高所作業主任者・2級カラーコーディネーター・光触媒施工技能士・乙4類危険物取扱者・ゴンドラ特別教育・職長・安全衛生責任者・第2種酸素欠乏危険作業主任者・宅地建物取引主任者・2級ファイナンシャルプランニング技能士・AFP