屋根葺き替えDIYは可能?手順・費用・危険性と、プロに任せるべき判断基準

こんにちは、株式会社アップリメイク代表取締役の齋藤直樹です。

近頃は動画共有サイトなどで施工風景が簡単に閲覧できるようになり、ホームセンターで資材も手軽に揃うため、「自分でも屋根の葺き替えができるのではないか」と期待されるお気持ちは非常によくわかります。

しかし、屋根工事は決して単なる表面の張り替え作業ではありません。

建築基準法に関わる構造力学、雨水の浸入を防ぐ緻密な雨仕舞い、そして何より高所作業という命に関わるリスクが伴う、極めて専門性の高い領域です。

この記事では、現場で数多くの屋根を見てきたプロの視点から、DIYで安全に行える範囲と、絶対に専門業者に任せるべき境界線を明確にお伝えします。

お住まいの寿命を延ばし、後悔のない選択をしていただくための一助となれば幸いです。

DIYでできる屋根修理と、プロに任せるべき工事の境界線を解説するタイトルスライド

記事のポイント

  • DIYで安全に対応できる屋根の応急処置とその限界
  • 瓦やトタンなど既存の屋根材ごとのDIY難易度と潜む危険
  • 不適切な施工による雨漏り悪化と高所作業の致死的な転落リスク
  • 専門業者に依頼すべき明確な判断基準と長期的なコスト最適化

屋根葺き替えは自分でできるのか

結論から申し上げますと、屋根全体の葺き替えをDIYで完全にやり遂げることは、構造的・物理的・技術的に極めて困難であり、推奨できません。

ここでは、ご自身で対応可能な応急処置の現実的な限界と、DIYに内在する危険性について詳しく解説します。

全面的な葺き替えは困難であり、DIYは応急処置に限定すべきであることを示す図解スライド

自分で屋根葺き替え可能な応急処置

屋根修理において、ご自身で対応可能なDIYの範囲は、あくまで「専門業者が到着し、本格的な修理が行われるまでの間の、家屋内部への被害拡大を防ぐための短期間の応急処置」に厳密に限定されるべきだと私は考えています。

例えば、台風や突風などによって屋根材の一部が飛散してしまった場合、雨水が室内へ直接浸入するのを防ぐために、安全が確保できる範囲内で屋外用の強力な防水補修テープを貼ったり、わずかなひび割れに対して変成シリコンなどのコーキング材を充填して一時的に塞いだりする作業がこれに該当します。

また、1階の屋根(下屋)やベランダの波板、車庫、カーポートの屋根など、母屋の主要な構造体に直接影響を与えない独立した小規模な張替え作業であれば、ホームセンターで調達可能な材料を使用し、脚立を使って安全に作業できる範囲において、DIYで対応することも可能でしょう。

瓦1枚の材料費は数百円から千円程度で流通しているため、部分的な交換であれば材料費の負担は最小限に抑えられます。

しかし、ここで強く認識していただきたいのは、これらがすべて被害の拡大を防ぐための「止血」のようなものであり、決して根本的な解決には至っていないということです。

雨漏りの真の原因は、表面の屋根材の割れだけではなく、その下にある防水シート(ルーフィング)の破れや、野地板と呼ばれる下地木材の腐朽など、複数の要因が複雑に絡み合っていることがほとんどです。

表面の隙間をテープで塞いだだけで安心してしまい、そのまま何ヶ月も放置してしまうと、見えない屋根の内部でジワジワと雨水が広がり、大切な柱や梁を腐食させ、最悪の場合はシロアリの大量発生を招くという致命的な事態に直結します。

注意:ブルーシート掛けの極めて高い危険性

災害時に屋根にブルーシートを掛ける作業をDIYで行おうとする方が後を絶ちませんが、これは極めて危険です。

風を孕んだブルーシートは想像以上の力で人間を引っ張り、バランスを崩して転落する死亡事故が毎年発生しています。

応急処置であっても、高所作業は必ずプロにご依頼ください。

屋根葺き替えDIYに伴う大きな危険

コスト削減という単一の動機から、十分な知識と安全装備を持たずに屋根全面のDIY工事を強行した場合、その代償は初期の節約額を遥かに凌駕する取り返しのつかないものとなります。

私たちが現場で最も警戒し、徹底した安全管理を行っているのが「高所作業に伴う墜落リスク」です。

一般的な2階建て住宅の屋根は地上から6〜8メートルの高さがあり、常に一定以上の傾斜(勾配)がついています。

朝露で僅かに濡れただけの金属屋根やスレート屋根の表面は、摩擦係数が極端に低下し、まさにスケートリンクのように滑りやすくなります。

安全帯や親綱の適切な確保・使用方法を熟知していない素人が、重い建築資材や鋭利な板金工具を持ったまま、不安定な足場でわずかでもバランスを崩せば、重傷あるいは死亡事故に直結するのです。

住宅の屋根の高さ(6〜8メートル)と、滑りやすい屋根材の上で作業するリスクを視覚化したスライド

労働安全衛生法上の基準に準拠すれば、高さ2メートル以上の高所作業では足場(作業床)の設置が原則として義務付けられています。

プロの私たちであっても、足場なしで安全かつ精密な施工を行うことは不可能です。

一般的な30坪の住宅で約15万円〜30万円程度かかる足場代を節約しようという無謀な選択が、ご自身の命を危険に晒すことになります。

さらに構造的な危険として、誤った止水処理による雨漏りの悪化と家屋の腐朽が挙げられます。

DIYで最も頻発し、かつ被害を甚大化させる失敗は、「とりあえず目に見える隙間をすべてコーキングで埋めれば雨漏りは直るだろう」という短絡的な思い込みです。

屋根の構造は、完全に水をシャットアウトするだけでなく、万が一内部に浸入した雨水や、温度差によって生じた結露水を、適切に外部へ排出するための「水みち(水の通り道)」が綿密に計算されて設計されています。

この水の流れの基本設計を理解せずに、表面上の隙間や出口を無差別にコーキング材で塞いでしまうと、本来外部へ排出されるべき水分の逃げ道を完全に塞ぐことになり、かえって壁の内部や天井裏に水を閉じ込める結果となるのです。

屋根の「水みち」を塞ぐことで、内部に水が溜まり野地板や柱を腐食させるプロセスを説明する図

◆斎藤のワンポイントアドバイス

過去にDIYでコーキングを打ちまくった結果、雨漏りが悪化して慌てて当社にご相談いただいたケースが何度もあります。

行き場を失った水が室内に溢れ出し、野地板だけでなく柱まで腐らせてしまっていました。

DIYの不適切な補修痕があると、いざという時の火災保険も「人為的な破損」とみなされ適用外になるリスクが高いため、本当に注意が必要です。

屋根材別に見るDIYの難易度

屋根の葺き替えを計画する際、既存の屋根材が何であるか、そして新規にどのような屋根材を採用するかによって、施工の難易度、要求される技術レベル、および内在するリスクは根本的に変化します。

各屋根材における物理的特性を理解することが重要です。

瓦、トタン、スレートなど屋根材ごとの重量や加工技術、リスクの大きさを比較した表またはグラフのスライド

瓦屋根葺き替えDIYの物理的限界

日本の伝統的な住宅において広く普及している瓦屋根(和瓦・洋瓦等の粘土瓦やセメント瓦)は、耐久性に優れ、日本の気候風土に適した素晴らしい屋根材です。

しかし、その圧倒的な重量と施工方法の特殊性から、全面的な葺き替えは物理的および技術的に極めて困難であり、事実上不可能と言わざるを得ません。

屋根全体の葺き替えへと規模が拡大した場合、まずは既存の重い瓦をすべて撤去し、地上へ降ろす必要があります。

一般的な30坪の住宅でも、瓦の総重量は数トンから十トン近くに達します。

これを個人の人力で、しかも不安定な屋根の上から安全に降ろすという凄まじい重労働は、肉体的な限界を容易に超えます。

さらに、瓦の葺き替え工事において発生する膨大な廃棄物の処分費だけでも10万円から15万円程度が必要となり、運搬の手間も尋常ではありません。

そして撤去後、新しい下地である野地板や防水シート(ルーフィング)を新設した上で、新しい屋根材を施工していく工程では、さらなる高度な技術が壁となります。

現在の瓦施工においては、地震や台風に耐えるための「ガイドライン工法」と呼ばれる厳格な施工基準が設けられています。

すべての瓦をステンレス釘やビスで野地板に強固に緊結し、瓦同士の正確な噛み合わせをミリ単位で調整しなければなりません。

さらに、屋根の頂点である棟(むね)部分においては、漆喰(しっくい)や専用の南蛮漆喰を用いて、雨水の浸入を完全に防ぐ高度な防水処理と、美観を整える左官技術が求められます。

長年の修練を要するこれらの職人技術を、素人が見よう見まねで真似して構造的な防水性と耐震性を担保することは不可能です。

強度が不十分なDIY施工によって、台風時に瓦が飛散し、近隣の家屋や車両を破壊する加害者になってしまうリスクも考慮しなければなりません。

トタン屋根葺き替えDIYの罠

軽量で安価、かつ施工期間が短いため、過去の住宅や車庫、倉庫などで広く採用されたトタン(亜鉛メッキ鋼板)屋根ですが、経年劣化によるチョーキング(白亜化現象)、色あせ、そして保護層の消失に伴う深刻なサビや穴あきが発生しやすいという明確な弱点を持っています。

軽微なサビや小さな穴、釘の浮き程度であれば、ワイヤーブラシを用いたケレン作業(サビ落とし)の後にサビ止め塗料を塗布したり、DIYでの応急処置が有効な場合もありますが、目に見えない大きな罠が潜んでいます。

トタン屋根の改修においては、既存の屋根の上に新しい防水シートと屋根材を被せる「カバー工法(重ね葺き)」がコスト効率の良さから人気です。

しかし、ご自身でカバー工法を行おうとする方の多くが、下地となる「野地板」や「垂木」の腐朽状態を見落としてしまいます。

トタンにサビ穴が開いているということは、長期間にわたり雨水が内部に浸透している証拠です。

下地の木材が腐ってボロボロになっている状態で、上から新しい金属屋根を被せて釘やビスを打っても、木材が効いていないため全く固定されません。

結果として、台風などの強風時に新しい屋根ごと一気に吹き飛ばされるという大惨事を招きます。

また、現代の金属屋根改修では、従来のトタンに代わり、耐久性と防錆性に極めて優れた「ガルバリウム鋼板」や、さらに耐久性を高めた「SGL鋼板」が主流となっています。

これらの最新の金属パネルは素晴らしい性能を持ちますが、切断、折り曲げ、ビス留めによる確実な固定には、雨水の毛細管現象を完全に理解した上での精密な「建築板金加工技術」が必要不可欠です。

プロの板金職人が専用の工具(ツカミなど)を使ってミリ単位で加工する「雨仕舞(あまじまい)」をDIYで再現することは至難の業であり、継ぎ目からの雨水の吹き込みリスクを増大させる結果に直結します。

カバー工法のより詳細なリスクについては、当社の屋根カバー工法で後悔・失敗しない!よくある落とし穴と対策まとめでも詳しく解説していますので、必ずご一読ください。

スレート屋根葺き替えDIYと石綿

スレート(コロニアル、カラーベスト等の化粧スレート)は、軽量でデザイン性が高く、近年の戸建て住宅で最も広く普及している屋根材です。

比較的薄く扱いやすそうに見えるため、DIYでの塗装メンテナンスを試みる方がいらっしゃいますが、ここには建物の寿命を縮める致命的な施工ミスと、命に関わる深刻な健康被害のリスクが潜んでいます。

まず構造的な最大の障壁となるのが「縁切り(えんぎり)」と呼ばれる工程の欠如です。

スレート屋根を塗装によってメンテナンスする際、あるいはDIYで補修剤を塗布する際、屋根材同士の重なり部分(隙間)を塗料やコーキングで完全に塞いでしまうというミスが頻発します。

この隙間は、内部に侵入した雨水や、温度差によって生じた結露水を外部へ排出するための非常に重要な「水抜き穴」の役割を果たしています。

ここを塞いでしまうと、毛細管現象によって水分が屋根材を逆流し、下地の野地板や防水シートを急速に腐朽させる致命的な原因となります。

プロの施工では、「タスペーサー」と呼ばれる専用の部材を屋根材の間に挿入し、確実に隙間を確保する工程を必ず行います。

当社アップリメイクでは、1枚の屋根材に対して2枚のタスペーサーを挿入する「ダブル工法」(単価目安:300円/㎡)を標準仕様としており、確実な雨漏り防止と屋根裏の通気性確保を徹底しています。

さらに重大な法的・健康的リスクとして、2004年以前に製造・施工されたスレート屋根の多くには、発がん性物質であるアスベスト(石綿)が確実に含まれているという恐ろしい事実があります。

これらのアスベスト含有スレート材をDIYで不用意に切断したり、釘を打つためにドリルで穴を開けたり、撤去のために破壊したりすると、目に見えない微細なアスベスト繊維が空気中に大量に飛散します。

これを吸い込むことで、作業者自身のみならず、周囲で遊んでいるお子様や近隣住民に対し、数十年後に悪性中皮腫や肺がんなどを引き起こす深刻な健康被害をもたらす危険性があります。

ご自宅のスレート屋根の年代が古い場合は、DIYで触れることは絶対に避けなければなりません。

古民家屋根葺き替えDIYの重労働

古民家や築年数の著しく経過した伝統的な和風建築の場合、現代のツーバイフォー工法や在来工法とは根本的に異なる構造と材料が用いられています。

古い瓦屋根の多くには、野地板の上に大量の土を敷き詰め、その土の粘着力と重みで瓦を固定しつつ、断熱性と調湿性を確保する「土葺き(つちぶき)」という伝統工法が用いられています。

このような土葺き屋根を葺き替える場合、まずは表面の瓦を一枚ずつ手作業で剥がし、その下にある膨大な量の古い土をスコップ等で掻き出し、すべて地上に降ろすという凄まじい重労働が発生します。

約100平米(約30坪)の屋根であれば、撤去すべき土と瓦の総重量は優に十トンを超えます。

プロの職人数人がかりでも数日を要するこの解体・荷降ろし作業を、個人が安全に遂行することは不可能です。

さらに困難なのは、土を取り除いた後に現れる下地の状態です。

古い杉皮やバラ板(細い木の板)で構成された下地は、数十年にわたる湿気と雨漏りの蓄積によって激しく腐朽し、ボロボロになっていることが大半です。

これらをすべて撤去し、現代の構造用合板などの頑丈な野地板を全面的に張り直すといった、大規模な大工工事が連鎖的に必要となります。

古民家の屋根改修は、単なる表面材の交換ではなく、住宅全体の耐震補強や荷重計算を伴う構造改修そのものです。

屋根を軽くすることで重心を下げ、地震に強くするという目的を達成するためにも、建築基準法に基づく構造的知見を持ったプロフェッショナルによる大規模な介入が不可欠であり、DIYの範疇を完全に逸脱していると言えます。

屋根葺き替えDIYの道具と手順

屋根の葺き替えを遂行するためには、一般的な日曜大工で使用されるノコギリや電動ドライバーといった基本工具だけでは全く太刀打ちできません。

建築板金や高所防水に特化した専門的な道具の調達と、それを使いこなす熟練の技術が不可欠となります。

専用道具の準備と高度な板金技術

金属屋根(ガルバリウム鋼板やトタン)の加工・施工において最も重要となり、DIYで最大の壁となるのが、建築板金職人の魂とも言える「ツカミ(掴み)」という専用工具の存在とその操作技術です。

ツカミはその名の通り、金属板の端をしっかりと掴み、テコの原理を利用して正確な角度で折り曲げたり、端部を平坦に処理(ハゼ折り等)したりするための道具です。

金属パネルの端部を適切に折り曲げて雨水を雨樋へと誘導する「雨仕舞(あまじまい)」の良し悪しは、このツカミの操作精度に完全に依存しています。

素人が見よう見まねでペンチなどで曲げた金属板は、波打って隙間だらけになり、そこから強風を伴う雨が確実に内部へと浸入します。

また、大規模な葺き替え工事において効率的かつ強固な固定を行うためには、圧縮空気を動力源とする「エアーコンプレッサー」と、それに接続される「電動釘打ち機(ロール釘打機など)」が不可欠です。

手打ちのハンマーでは、硬い構造用合板や垂木に対して何千本もの釘を真っ直ぐに、かつ均一な深さで打ち込むことは体力的に不可能です。

さらに、後述する防水シート(ルーフィング)を野地板に隙間なく固定し、風によるめくれを防ぐためには、コの字型の強力な金属芯を連続して打ち込む「タッカー(建築用ステープラー)」が大量に使用されます。

役物(屋根の端部や結合部に使用される特殊な形状の板金部材)を切断するための金切鋏(かなきりばさみ)も、直線用、右曲がり用、左曲がり用など複数種類を使い分ける必要があります。

これらの専門的な道具をすべて買い揃え、あるいはレンタルで調達したとしても、足場が不安定で傾斜の強い屋根の上において、地上と同等の精度で道具を操作し、ミリ単位の精度が要求される板金加工を行うことは至難の業です。

DIYにおける屋根工事の難易度については、屋根カバー工法DIYは可能?必要工具・危険性・失敗例を解説でもさらに詳しく掘り下げています。

雨仕舞いと防水シートの施工手順

屋根の葺き替えにおける標準的な工程は、単に古いものを剥がして新しいものを載せるという単純な置き換えではありません。

それぞれのステップが、次の工程の防水性を担保し、家屋の寿命を決定づけるための不可逆なプロセスとなっています。

特に重要なのが「ルーフィング(防水シート)の敷設」と「換気システムの構築」です。

新設または補修された野地板の上には、最終的な雨水の家屋内部への侵入を阻止する最後の砦となるルーフィングを敷き詰めます。

DIYで安価な紙製のルーフィングを使用すると、タッカーで打ち込んだ箇所から容易に破れ、温度変化による伸縮で亀裂が生じて雨漏りの原因となります。

プロは耐久性と寸法安定性に優れた「改質アスファルトルーフィング(ゴムアス)」や「透湿防水シート」を採用します。

このシートの敷設には絶対的なルールが存在し、必ず軒先(屋根の最も低い部分)から棟(最も高い部分)に向かって、水上側のシートが水下側のシートの上に大きく重なるように入念に固定していく必要があります。

この順序を逆にすると、重なり部分から雨水がシートの下に直接流れ込みます。

防水シートの種類 特徴と耐用年数の目安
アスファルトルーフィング 安価だが破れやすく、寿命は約10年。建売住宅などで多く使用される。
改質アスファルトルーフィング ゴムや合成樹脂をブレンド。弾力があり釘穴に密着する。寿命は約20年。当社推奨。
透湿防水シート 雨は防ぎ、内部の湿気は逃がす最高級品。野地板の腐食を強力に防ぐ。寿命は約50年以上。

内部結露を防ぐ「換気棟」の絶対的必要性

現代の高気密・高断熱住宅において極めて重要でありながら、DIYで頻繁に見落とされるのが「小屋裏(屋根裏)の換気」です。

屋根の頂点部分に「換気棟」と呼ばれる特殊な通気構造を持った板金部材を取り付け、野地板にスリット(開口部)を設けることで、雨水の浸入を物理的に防ぎながら、内部の湿気だけを外部へ効率よく逃がすシステムを構築することが不可欠です。

これを怠ると、冬場などに野地板の裏側で深刻な結露を起こし、木材を急速に腐らせてしまいます。

DIY失敗による転落と雨漏りリスク

屋根の工事をDIYで行うリスクは、施工中の転落事故や施工不良による雨漏りにとどまりません。

工事に伴って発生する大量の廃棄物の処理や、法律で厳格に定められたアスベストへの対応など、一般の方の想像を絶する法的・環境的なハードルが存在します。

産業廃棄物の処分とアスベスト法規制

屋根の全面的な葺き替えにおいては、古い瓦、スレート、サビたトタン、腐朽した野地板、劣化した防水シートなど、数トン規模の大量の建築廃材が発生します。

これらはすべて「産業廃棄物」として扱われ、一般的な自治体の家庭用ゴミ回収(粗大ゴミや燃えないゴミ)では原則として収集を完全に拒否されます。

庭先に放置すれば近隣トラブルの原因となり、不法投棄を行えば廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃掃法)違反として、重い刑事罰(5年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金、またはその両方)の対象となります。

大量の廃材処理にかかる費用と、有資格者によるアスベスト事前調査が義務化されていることを示すスライド

個人が自らレンタルトラック等を使用して産業廃棄物を処理場へ持ち込もうとした場合も、単にゴミを積んで行けばよいというものではありません。

運搬車両の両側面に規定のサイズで「産業廃棄物収集運搬車」という文字と氏名を鮮明に表示する義務があり、排出事業者の氏名や廃棄物の種類、運搬先を記載した書面を常時携帯しなければならないという厳密な法的要件を満たす必要があります。

瓦などの産業廃棄物としての処分費用相場は、1トンあたり約20,000円から50,000円であり、運搬費を含めると処分だけで10万円から20万円以上の莫大な費用が掛かります。

さらに決定的な障壁となるのが、アスベスト(石綿)問題の法的義務と健康被害です。

2022年4月の石綿障害予防規則および大気汚染防止法の改正により、建物の解体や改修工事を行う際には、工事の規模にかかわらず、事前にアスベスト含有の有無を調査することが完全に義務化されました。

さらに2023年10月1日以降は、この事前調査は「建築物石綿含有建材調査者」という厚生労働省が定める専門資格を持つ有資格者が行うことが法的に義務付けられており、資格を持たない一般人が公式な調査・報告を行うことは法律で禁止されています。

無資格で撤去を行ったり、適切な飛散防止措置を怠ったりすれば、重大な法令違反となります。

アスベストを含む建材の除去工事や処分は、厳重な養生・隔離、行政への事前の届出、特別管理産業廃棄物に準ずる厳重な梱包が必要であり、個人のDIYで合法かつ安全に処理することは絶対に不可能な領域なのです。

アスベスト処理面積 除去費用の目安(㎡単価)
300㎡以下 2.0万円~8.5万円/㎡
300㎡~1000㎡ 1.5万円~4.5万円/㎡

※一般的な大きさの住宅でも、アスベストの撤去・処分だけで莫大な追加費用が発生する可能性があります。

プロに任せるべき判断基準と適正費用

以上の多角的な分析から明らかなように、住宅の屋根葺き替えを個人が完全なDIYで完遂することは、安全面・品質面・法令遵守のあらゆる観点から極めて非現実的であり、推奨されません。

住宅という最大の資産を長期にわたって防衛するための合理的な選択とは、目先の施工費を惜しんで数百万の構造的ダメージや法的リスクを引き寄せることではありません。

自分で判断せずに専門家に相談すべきタイミング(雨漏り、築20年以上、高所など)をまとめたスライド

無料点検を活用し最適な工法を見つける

以下の条件のいずれかに該当する場合は、ご自身での判断やDIYの選択肢を直ちに放棄し、専門業者による緻密な診断と安全な施工を依頼すべき明確なトリガーとなります。

  • 足場がない状態での2階以上の屋根へのアクセスや、急勾配の屋根での作業が必要な場合。
  • すでに雨漏りが室内に到達し、天井や壁にシミができている場合(内部の木材腐食が進行している証拠です)。
  • 2004年以前に建築されたスレート屋根などで、アスベストが含まれている可能性がある場合。
  • 屋根の上を歩いた際に野地板が「ふかふか」と沈み込むような感触がある場合。
  • カバー工法や葺き替えなど、大量の産業廃棄物が発生する全面的なリフォームを検討している場合。

費用を抑えるための正攻法は、無謀なDIYではなく、公的制度や保険の適正な活用、そして中間マージンを排除した業者の選定にあります。

屋根の破損が台風や強風、降雪などの自然災害に起因するものである場合、「火災保険」の適用申請を真っ先に検討すべきです。

経年劣化は対象外となりますが、災害による被害と認定されれば、修繕費用の大部分を保険金で賄える可能性があります。

また、自治体が提供する「屋根軽量化改修」や「省エネ改修」に対する補助金制度を活用できるケースも少なくありません。

業者選定においては、大手ハウスメーカーや訪問販売業者ではなく、無駄な広告宣伝費や下請けへの中間マージンをカットしている「自社専属施工」の地域密着型屋根工事専門店を複数社比較(相見積もり)することが重要です。

また、屋根の劣化が気になる時期は外壁もメンテナンスが必要な場合がほとんどです。

別々に工事を行うよりも屋根と外壁の同時塗装を行うことで、約15万円〜30万円かかる足場代を1回分節約でき、長期的なトータルコストを大幅に抑えることが可能です。

屋根の一部だけを直すべきか、全面カバー工法にすべきか迷った際は、当社の屋根カバー工法は一部だけできる?補修・部分施工の可否と費用目安も参考に、長期的なトータルコストを比較検討してください。

私たちアップリメイクでは、国家資格者による30倍スコープを用いた徹底的な「お住まい無料診断」を実施しております。

無理な営業は一切行いませんので、まずはご自宅の現状を正確に把握するため、お気軽にご活用ください。

屋根葺き替えDIYに関するよくある質問(FAQ)

Q1. ホームセンターの防水テープだけで雨漏りは完全に止まりますか?

A. いいえ、完全に止めることはできません。

防水テープはあくまで「プロが到着するまでの一時的な応急処置」です。

雨漏りの原因は表面のひび割れだけでなく、内部の防水シートの劣化や下地の腐朽など複数絡み合っていることがほとんどです。

根本的な解決には専門業者による原因特定と適切な修繕が必須です。

Q2. スレート屋根のひび割れを自分でコーキングしても大丈夫ですか?

A. 1階の下屋など足場なしで安全が確保できる場所の、ごく軽微なヒビ割れなら応急処置として可能ですが、屋根全体の2〜3割にヒビがある場合は構造そのものに問題がある可能性が高いため避けてください。

また、スレートの重なり部分(隙間)までコーキングで埋めてしまうと、毛細管現象で雨水が逆流し、内部の木材を腐らせてしまうため非常に危険です。

Q3. 足場代を節約するために、足場なしで工事をお願いすることはできますか?

A. 労働安全衛生法上、高さ2メートル以上の高所作業では足場の設置が原則として義務付けられているため、足場なしでの本格的な屋根工事はお受けできません。

足場は職人の命を守り、ミリ単位の精密な施工品質を維持し、近隣への資材飛散を防ぐために絶対に必要な経費です。

足場代を削ることは、重大な事故や手抜き工事に直結します。

Q4. DIYで失敗した後からでも、プロに修理を依頼できますか?

A. はい、もちろん承ります。

しかし、不適切なコーキングや接着剤が広範囲にべったりと付いている場合、それらを全て綺麗に撤去する作業から始めなければ雨水の正しい通り道(水みち)を作れないため、最初からプロに依頼するよりも撤去費用や修繕費用が高額になってしまうケースが多く見られます。

ご自身で手を出される前に、まずは無料診断をご活用ください。

※この記事でご紹介した費用や工法、法規制等は執筆時点での一般的な目安および情報です。

お住まいの状態や立地環境によって最適なメンテナンス方法は異なります。

最終的な判断や詳細なお見積りは、アップリメイクの無料診断など、必ず専門家にご相談の上で決定してください。

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  • この記事を書いた人

齋藤直樹

(株)アップリメイク代表取締役で元職人、塗装という仕事が大好きです。人生の大きな挫折と数多くの出会いを経て今は大好きな地元・静岡で、お客様の笑顔のために仕事ができることに何よりの誇りを感じています。

▼保有資格▼
1級建築塗装技能士・2級建築施工管理技士・有機溶剤作業主任者・高所作業主任者・2級カラーコーディネーター・光触媒施工技能士・乙4類危険物取扱者・ゴンドラ特別教育・職長・安全衛生責任者・第2種酸素欠乏危険作業主任者・宅地建物取引主任者・2級ファイナンシャルプランニング技能士・AFP