木の外壁はメンテナンスが重要|板張り・焼杉・木目調サイディングの違い

木の外壁はメンテナンスが重要|板張り・焼杉・木目調サイディングの違い

こんにちは、株式会社アップリメイク代表取締役の齋藤直樹です。

「自然素材の温かみを感じられる木の外壁に憧れるけれど、将来のメンテナンスが大変そう…」

「本物の板張りと、工業製品である木目調サイディング、結局どちらが自分たちのライフスタイルに合っているのか分からない」

外壁リフォームや新築をご検討中のお客様から、現場でこのような切実なお悩みを非常によくお伺いします。

建物の顔とも言える外観デザインにおいて、木の風合いを取り入れることは、住まいに唯一無二の個性と深い愛着をもたらしてくれます。

太陽の光を浴びて輝く木目や、年数を重ねるごとに刻まれる深い味わいは、私たち日本人の心に根付く自然への郷愁を呼び覚ましてくれるからでしょう。

しかし、素材ごとの物理的な特性や、将来必ず発生するメンテナンス費用、そしてそれぞれの耐用年数の違いを知らずに「見た目の好みだけ」で選んでしまうと、数年後から十数年後に想定外の莫大な出費や、手に負えない劣化症状に悩まされるケースも決して少なくありません。

そこで今回は、職人直営の塗装専門店として静岡の地で6,000件以上の施工実績を持ち、数多くの木部塗装やサイディング改修に携わってきた私たちが、木の外壁と木目調サイディングの決定的な違いや、後悔しないためのメンテナンスの秘訣について、プロの視点から徹底的に解説いたします。

この記事を最後までお読みいただければ、あなたの理想の住まいと将来の資金計画に最も適した外壁材が、きっと見つかるはずです。

記事のポイント

  • 本物の木の外壁と木目調サイディングのメリット・デメリット
  • 杉板や焼杉など、人気のある木材の種類と耐用年数の違い
  • 黒ずみや塗膜の劣化など、絶対に見逃してはいけない危険サイン
  • 外壁材を長持ちさせ、生涯のメンテナンス費用を安く抑える秘訣

専門家が教える木の外壁選びと長持ちの秘訣

木の外壁の種類とそれぞれの魅力

木材ならではの温かみを感じる外壁は、周囲の自然景観や街並みと美しく調和し、住まう人のアイデンティティや暮らしに対する哲学を体現します。

まずは無垢材などの木板外壁の代表的な種類と、それぞれの魅力について詳しく解説していきます。

本物の木の温もりと木目調外壁の均一な美しさの比較

外壁板張りの種類と無垢材の特徴

本物の木材を建築物の外装に用いる「無垢材の外壁」や「木板の外壁」は、どれだけ印刷技術や製造技術が進歩しようとも、決して工業製品には模倣することができない、唯一無二の圧倒的な質感と立体感を提供してくれます。

均一ではない木目の揺らぎや、触れた時の温もりは、そこに住まうご家族に深い安らぎを与えてくれます。

木材という素材は、その細胞組織の中に無数の極小の空気層を含む「多孔質構造」を有しています。

この構造が、優れた断熱性と調湿機能をもたらす最大の理由です。

つまり、木の外壁は、建物自体が周囲の環境に合わせて「呼吸」をしているような状態を作り出し、夏のジメジメとした湿気や冬の過酷な寒暖差といった、日本の四季の変化にも柔軟に対応してくれる素晴らしい天然のバリア機能を持っています。

さらに、無垢の板張り外壁の大きなメリットとして「部分補修の容易さ」が挙げられます。

例えば工業製品のサイディングの場合、十数年後に一枚だけが割れてしまったとしても、すでにその製品が「廃盤」になっていて同じデザインのものが手に入らないということが多々あります。

しかし本物の木板であれば、傷んだ箇所だけを剥がし、新しい板を部分的に張り替えることが極めて容易です。

新しい板も、数年経てば周囲の色と馴染んでいくため、違和感なく修繕を繰り返しながら長期間使い続けることができるのです。

屋外という過酷な環境下で使用するためには、樹種の選定が建物の寿命を左右する極めて重要なプロセスとなります。

耐水性や防腐性に優れた適切な木材を選ぶことが、長持ちの秘訣です。

デザイン性だけでなく、それぞれの木材が持つ「耐久性能」を正しく理解して選定することが求められます。

杉板、米杉、焼杉の外壁材としての特徴と耐久性の比較

杉板とレッドシダー比較

木の外壁を検討する際、お客様から特によく比較の対象としてご相談を受けるのが、国産材の代表である「杉板」と、輸入材として根強い人気を誇る「レッドシダー(米杉)」です。

これらは見た目の印象だけでなく、内部に含まれる成分や経年変化の進み方に明確な違いがあります。

【杉板の外壁】

日本の気候風土で育った国産材の代表格である杉板は、古くから日本の家屋に使われてきた実績と信頼があります。

杉板を外壁に採用する最大の醍醐味は、その「美しい経年変化」に尽きます。

新築時は赤みや黄色みを帯びた鮮やかな木肌を見せますが、紫外線や雨風に晒されることで表面の成分(リグニン)が分解され、数年の歳月をかけて徐々にシルバーグレー(銀灰色)へと美しく退色していきます。

これを単なる「劣化」ではなく、自然素材だけが持つ「深い味わい」「家が育っていく過程」として愛せる方には、これ以上ない最高の素材となります。

また、杉材の中でも特に中心部分の「赤身(心材)」と呼ばれる部分は、防腐成分を多く含んでおり、水に強く腐りにくいというプロならではの選定ポイントもあります。

【レッドシダーの外壁】

一方、北米大陸を原産とするヒノキ科の針葉樹であるレッドシダーは、圧倒的な耐久性とデザイン性が魅力です。

特筆すべきは、木材腐朽菌やシロアリに対する天然の強力な防腐・防虫成分である「ヒノキチオール」などの抽出成分を豊富に含んでいる点です。

これにより、雨風に晒される屋外の過酷な環境下においても、極めて高い耐久性を発揮し、腐食から建物を守り抜きます。

意匠面での特徴は、一枚ごとの板に濃淡のばらつきが大きく出ることです。

これを壁面に張ることで、自然なモザイク状の美しいコントラストが生まれ、現代的なモダニズム建築から、温かみのあるナチュラルテイストの住宅まで、幅広いデザインに驚くほど調和します。

特有の甘く強い香りも、レッドシダーならではの魅力の一つです。

外壁焼杉の費用と外壁焼き板効果

外壁材としての木材の耐久性を、化学的な薬剤に頼ることなく飛躍的に高める日本古来の伝統技法が、杉板の表面をバーナーや火で炭化させる「焼杉の外壁」または「焼き板の外壁」です。

この先人の知恵は、現代の建築においても極めて合理的で優れた機能を発揮します。

木材の最大の弱点である腐朽菌(木を腐らせる菌)やシロアリなどの害虫は、木材の成分である「セルロース」を栄養分として好みます。

しかし、表面を炎で焼き焦がして炭化させることで、この栄養分を物理的にシャットアウトする強固なバリア(炭化層)が形成されます。

炭は腐ることも虫に食われることもないため、建材としての寿命を劇的に延ばすメカニズムとなっているのです。

特に、3枚の杉板を煙突状に組んで内部で火を焚き上げ、一気に表面を焼き焦がす「三角焼き(本焼杉)」と呼ばれる伝統製法は、数ミリにも達する分厚い炭化層が形成され、極めて高い耐候性を誇ります。

ただし、焼杉にも特有の注意点があります。

それは、表面の炭が衣服や手に触れると真っ黒に汚れてしまう「汚れ移り」の問題です。

そのため、人の出入りが激しい玄関周りや、洗濯物が風に煽られて接触するバルコニー内側の壁面などには使用を避けるか、表面に定着剤を含む保護塗料を塗布するといった、緻密なゾーニング計画が不可欠となります。

初期費用はサイディングに比べて高額になるケースもありますが、50年以上機能するポテンシャルを持つ良質な焼杉は、生涯のメンテナンス費用を考えれば非常にコストパフォーマンスの高い選択肢と言えます。

焼杉の製法 材料費目安(1㎡あたり) 特徴と耐久性
三角焼き(本焼杉) 約6,000円〜12,000円 炭化層が厚く、50年以上持つと言われる究極の耐久性。意匠性も高い。
バーナー焼き・機械焼き 約4,000円〜8,000円 仕上がりが均一でコストを抑えやすい現代的な製法。炭化層はやや薄め。
塗装仕上げ(保護材塗布) 約5,000円〜10,000円 炭の剥がれ落ちや汚れ移りを防ぐ処理済み。メンテナンス性に優れる。

※数値は材料費のあくまで一般的な目安です。

実際の総費用は足場代や施工費が加算され、建物の状況によって変動します。

外壁木目調サイディングの徹底比較

本物の木材を使いたいけれど、定期的な塗装メンテナンスの手間や費用、そして都市部特有の厳しい防火面の制限がどうしてもネックになる、という方に向けて、各建材メーカーが高度な工業技術を注ぎ込んで開発した多彩な「木目調サイディング」について、その特性を徹底比較していきます。

木材サイディングの特性

天然の木材チップや木質繊維を強力に圧縮成型し、表面に加工を施したものが「外壁用の木材サイディング(木質系サイディング)」です。

これは、本物の木の質感を持ちながら、工業製品としての安定性を兼ね備えた建材です。

工場で厳格な品質管理のもとパネル化されて生産されるため、無垢の板張りのような一枚ごとの極端な反りや割れ、施工時の品質のムラがなく、新築時に均一で整った美しさを実現できるのが最大の強みです。

また、主原料が天然木であるため、木特有の独特の風合いや温かみを高いレベルで保持しており、さらに多孔質構造に由来する優れた断熱性によって、室内の省エネ効果(夏は涼しく、冬は暖かい)も期待できます。

しかし、導入にあたっては慎重に検討すべきデメリットも存在します。

まず、自然素材を主成分としているがゆえに防火性能が低く、建築基準法で厳しく制限されている「防火地域」や「準防火地域」といった都市部のエリアでは、複雑な下地処理を行わない限り採用が非常に難しいという法的な壁があります。

さらに、雨水を吸収すると内部から腐食しやすいため、表面の防水性を維持するためのメンテナンスが欠かせません。

おおよそ3年から10年という、他の外壁材と比較してかなり短いスパンでの定期的な再塗装(クリアー塗装など)や防腐処理が絶対に不可欠となります。

このランニングコストを事前に見込んでおかなければ、後悔につながる可能性があります。

窯業系サイディングの高い防火性と目地劣化などの弱点

窯業系でウッド調を実現

現在、日本の新築住宅市場において約8割という圧倒的なシェアを占めているのが「窯業(ようぎょう)系サイディング」です。

街を歩けば、新築の戸建て住宅のほとんどがこの素材を採用していることに気づくはずです。

セメント質原料と繊維質原料を混合して高圧で成形し、その表面に最新の高度なプリント技術で繊細な木目を描き、プレス加工によって本物の木材と見紛うようなリアルな凹凸(浮造り調など)を施しています。

最大の利点は、セメントを主成分としているため極めて高い防火・耐火性能を有していることです。

火災の延焼を防ぐ強力な盾となるため、住宅密集地でも安心して採用できます。

また、工場での大量生産が可能なため、初期費用を比較的安価に抑えることができ、施工のスピードも速いというメリットがあります。

しかし、窯業系サイディングには外壁塗装のプロとして決して見過ごせない重大な弱点があります。

それは、パネル同士の継ぎ目を塞ぐ「シーリング(コーキング)」材の劣化と、セメント自体の吸水性です。

シーリング材は紫外線によって数年で硬化し、5〜15年周期でひび割れや破断を起こします。

ここから雨水が侵入します。

さらに、表面の保護塗膜(防水性)が経年劣化で切れると、主成分であるセメントが雨水をスポンジのように吸い込み始めます。

水を吸って膨張し、太陽の熱で乾燥して収縮する、この動きを繰り返すことでサイディングボード自体が反り返ったり、ひび割れたりして修復不可能になってしまうのです。

そのため、10年〜15年ごとの確実な「シーリングの打ち替え」と「外壁塗装」が、家を守るための絶対条件となります。

注意点:シーリングの劣化と再塗装の絶対性

窯業系サイディングの木目調は初期の美しさは抜群ですが、「メンテナンスフリー」ではありません。

目地のシーリングのひび割れや、壁面を触って白い粉がつく「チョーキング現象」が見られたら、それは防水機能が完全に失われているサインです。

これを放置すると壁内部の木材まで腐らせてしまうため、定期的な塗り替え計画が必須です。

もし既にサイディングの劣化が激しく、塗装での修復が困難な状態になっている場合は、張り替えのほかに既存の壁の上に新しい外壁材を張る外壁カバー工法(重ね張り)という選択肢もあります。

詳しくは、外壁カバー工法の種類を比較|金属サイディング・アルミ・樹脂・木・タイルの選び方を参考にしてください。

外壁木の黒ずみなど劣化のサイン

木の外壁は、生きている自然素材だからこそ、経年による美しい変化と、放置してはいけない危険な「劣化のサイン」を見極める知識が非常に重要になります。

手遅れになる前にご自身で気づくべき、プロのチェックポイントをお伝えします。

カビによる黒ずみ、塗装の剥がれ、致命的なひび割れの危険信号

羽目板や木板の塗膜切れ

無垢材を用いた「外壁の羽目板」や「木板の外壁」には、木材を過酷な外部環境から保護するための専用の塗料(保護着色剤など)が塗られています。

この表面の塗膜が、降り注ぐ紫外線や容赦ない雨風によって少しずつ破壊され、防水性が切れてしまうと、木材はむき出しの状態となり、直接水分をグングン吸収するようになってしまいます。

水分をたっぷりと含んだ木材は大きく膨張し、晴れた日に太陽の熱で急激に乾燥すると今度はギュッと収縮します。

この激しい「膨張と収縮の運動」を日々繰り返すことで、木材自体にストレスがかかり、やがて反り返りや「ひび割れ(クラック)」が生じてしまいます。

水分吸収、膨張、乾燥、収縮による木材ひび割れの4段階

ここが最も恐ろしいポイントなのですが、一度深く割れてしまった木材は、どんなに後から良い塗料を塗っても、もう二度と元には戻りません。

その割れた隙間から、さらに大量の雨水が毛細管現象で壁の奥深くへと侵入し、木材を腐らせる「腐朽菌」を爆発的に繁殖させる原因となります。

つまり、木材そのものが物理的に割れたり腐ったりする前の、「塗膜の防水性が切れた段階」で保護し直すことが、木の外壁を長持ちさせる最大の肝なのです。

◆斎藤のワンポイントアドバイス

雨の日に壁を見て、水を弾かずにベチャッと染み込んでいる状態や、晴れた日に表面を手で撫でてみて、本来のツヤがなくカサカサ、ザラザラしていたら、それは「塗膜切れの末期サイン」です。

手遅れになる前に、私たちのような専門家による、30倍スコープなどを使った確実な建物診断(無料)を受けることを強くお勧めします。

外壁木のメンテナンスの重要性

木材外壁の美観を最も損ね、お客様からのご相談が最も多い現象が「木の外壁の黒ずみ」です。

多くの方はこの黒ずみを見て、「風で飛んできた土埃などの単なる汚れだろう」と軽く考え、ご自身でゴシゴシと擦って落とそうとしがちです。

しかし、実はその黒ずみの正体は、カビやコケなどの微生物の繁殖や、排気ガスが酸化して強固にこびりついた化学的汚染が複雑に絡み合った結果なのです。

特に日当たりの悪い北側の壁面や、風通しが悪く湿気が滞留しやすい場所では、木材の表面のわずかな凹凸を温床としてカビやコケが爆発的に繁殖します。

恐ろしいことに、これらの微生物は表面に付着しているだけでなく、木材の繊維の奥深くにまで「根」を張るように浸透して成長していきます。

そのため、家庭用の中性洗剤で表面を水拭きした程度では絶対に除去できません。

無理に硬いブラシで擦ると、木材の繊維をズタズタに引き裂き、かえって次の汚れを付きやすくするだけです。

この頑固な黒ずみを根本から解決するためには、プロによる専用の「バイオ洗浄剤(特殊な漂白・殺菌成分を含む)」を用いた徹底的な殺菌洗浄と、適切な水圧で汚れを根こそぎ吹き飛ばす高圧洗浄が不可欠となります。

ただし、劣化した木材に対して強すぎる水圧を当てると、木板そのものを破壊してしまう危険性があるため、対象の素材の状態を見極めながら水圧をミリ単位で調整する、熟練の職人技術が求められます。

手遅れになって木材が腐り落ちる前に、適切な洗浄と再塗装のメンテナンスを行うことが、木の外壁を守る唯一の絶対法則なのです。

外壁木の塗装とメンテナンス法

大切な住まいを長く美しく保ち、紫外線や雨風の脅威から建物を守り抜くための具体的なメンテナンス方法と、後悔しない「最適な塗料選びのポイント」について、日々現場で筆を握るプロの視点から深く解説いたします。

外壁木の塗り替えに適した塗料

「木の外壁の塗り替え」を行う際、どのような性質の塗料を選ぶかは、その後の建物の寿命とメンテナンス頻度を大きく左右する決断となります。

木部用の塗料には、木材をどう守るかというアプローチの違いによって、大きく分けて2つの種類が存在します。

木の呼吸を妨げない浸透型塗料と表面を保護する造膜型塗料の比較

① 浸透型塗料(木材保護着色塗料)

これは、撥水性や防カビ・防虫成分を含んだ液体を、木材の繊維の奥深くまでたっぷりと染み込ませて、内部から木材が傷むのを防ぐアプローチです。

最大のメリットは、表面にペンキのような不自然な膜を作らないため、木目や手触りといった「木材本来の自然な風合い」を一切損なうことなく活かせる点です。

また、木材の呼吸(伸縮)を妨げないため、塗膜が割れたり剥がれたりするトラブルが起きません。

しかし、表面を物理的にガードする膜がない分、紫外線や直接の雨には弱く、3年から5年という比較的短いサイクルでのこまめな塗り直しが必要となります。

② 造膜型塗料(ウレタン樹脂・シリコン樹脂など)

こちらは一般的なサイディング塗装にも使われる、ペンキのように部材の表面に強固な樹脂の「膜」を張って外部環境をシャットアウトする塗料です。

強靭な塗膜によって水や紫外線を完全に弾くため、耐久性に極めて優れており、塗り替えのサイクルを大幅に伸ばすことができます。

しかし、ベタ塗りになるため美しい木目は完全に潰れてしまい、木の風合いは失われます。

さらに致命的なリスクとして、木材の激しい呼吸(伸縮)に対して硬い塗膜が追従できなくなると、数年で塗膜にひび割れや膨れが発生し、そこから水が侵入して内部で木を急速に腐らせる原因になりかねないため、採用には極めて慎重な判断が必要です。

近年では、これら従来の塗料の弱点を克服する画期的なハイテク塗料も登場しています。

例えば、無機質の液体ガラス成分を木材の内部に深く含浸させ、内部でガラス化させて強固に保護する「ガラス塗料」です。

木の呼吸を妨げずに、紫外線や腐朽菌から長期間木材を守り、美観を維持できる次世代の選択肢として、私たちプロの間でも非常に注目を集めています。

数十万円で済む早めの再塗装と高額な全面張り替え費用の比較

早めの塗装が安く済む理由

私たち塗装専門店の現場で最も心苦しいのが、「もう少し早くご相談いただいていれば、こんなに費用はかからなかったのに…」というケースです。

多くのお客様が、「まだ雨漏りしていないから大丈夫だろう」「見た目が少し古びただけだから」と、塗装メンテナンスをついつい先延ばしにされがちです。

しかし、木部やサイディングが防水性の限界を超え、内部の腐食や激しい反り、割れが進行してしまうと、もはや表面に「塗装」を施したところで修復することはできません。

その結果、「外壁の全面張り替え」という、大規模な改修工事に発展してしまうのです。

具体的な数字でお話ししましょう。

一般的な30坪の住宅でサイディングや板張りの全面張り替えを行う場合、既存の劣化した外壁材をすべて剥がして撤去し、産業廃棄物として処分する費用だけでも数十万円が飛んでいきます。

そこに、足場代、内部の防水シートや木下地の補修費、そして新規の外壁材料費と施工費が加算されるため、総額で150万円から、場合によっては300万円を超える莫大な出費を強いられることも珍しくありません。

一方で、木材の反りや腐食が始まる前、劣化が「表面の塗膜の切れ」に留まっている初期段階で適切な外壁塗装を行えば、張り替えの半分以下の費用(数十万円程度)で、新築時の輝きと強固な防水性を完全に取り戻すことができます。

特に、自然素材である木部は、工業製品であるサイディングよりも水に対する劣化の進行が早いため、「早め早めの予防医学」のようなメンテナンス計画が、将来の家計を守る最大の防御策となります。

定期的な塗装は決して「出費」ではなく、家という大切な資産の寿命を延ばすための、最も費用対効果の高い「投資」なのです。

ご自宅が建ててから年月が経っている場合は、築20年の外壁塗装はいくらかかる?費用相場・必要性・保証の真実まで完全ガイドを参考にしてください。

外壁塗装の塗料に関するよくある質問(FAQ)

Q1. 本物の木と木目調サイディング、新築時やリフォーム時の初期費用はどちらが高いですか?

A. 以前の住宅業界では「無垢の木材=贅沢な高級品」であり、工業製品のサイディングの方が圧倒的に安いという常識がありました。

しかし現在では、国際的な資源価格の変動や物流費の高騰により、セメントや金属を原料とするサイディングの価格が高騰し続けています。

その結果、使用する木材の樹種(国産の杉板など)によっては、両者の初期費用はほぼ同額に拮抗するケースが増えています。

ただし、防火指定地域において無垢材を合法的に使用するための「複雑な下地処理(防火構造)」が必要な場合は、木材の方が総額は高くなります。

目先の見積もりだけでなく、ライフサイクルコストまで計算できる専門家にご相談いただくのが確実です。

Q2. 木の外壁に発生した頑固な黒ずみは、自分で高圧洗浄機を使って洗って落としても良いですか?

A. ご家庭用の高圧洗浄機(ケルヒャー等)を使用して木の外壁をご自身で洗浄することは、強くお勧めしません。

軽度な土埃などであれば、中性洗剤と柔らかいスポンジで優しく水洗いする程度で十分です。

しかし、カビの根が浸透した黒ずみに対して強力な水圧を不用意に当ててしまうと、劣化した木材の柔らかい繊維(夏目)をえぐり取ってしまい、表面が毛羽立ってボロボロになり、かえって次の汚れや水分を吸収しやすい最悪の状態にしてしまいます。

専用のバイオ洗浄剤と、適切な水圧調整を行えるプロの専門業者へご依頼ください。

Q3. 無垢材の美しい木目をどうしても残したいのですが、透明なクリア塗料を塗った場合、何年くらい持ちますか?

A. 木材の繊維に染み込ませて保護する浸透型のクリア塗料(着色保護塗料など)の場合、直射日光の当たり方や立地条件にもよりますが、耐用年数は概ね3年〜5年程度が目安となります。

美しい木目を生かすためには、表面を顔料の膜で覆い隠すことができないため、造膜型のペンキ塗料に比べて、紫外線による色素の分解や雨風による成分の流出の影響をダイレクトに受けやすくなります。

新築時の美観を長く維持したいとお考えであれば、3年ごとのこまめな塗り替えを計画しておくことが必須となります。

Q4. 住宅密集地の「防火地域」や「準防火地域」の指定がある場所でも、外壁に本物の木材を使うことは可能ですか?

A. 建築基準法により原則としての制限は非常に厳しいですが、「絶対に不可能」というわけではありません。

例えば、外側に張る可燃性の木板の「裏側」に、厚さのある不燃材料(木毛セメント板や石膏ボードなど)とモルタルを何層にも施工し、壁全体として国土交通大臣の防火認定仕様(30分間〜45分間の遮熱性能)をクリアする複雑な下地構造を設けることで、合法的に木の外壁を採用することが可能です。

ただし、この方法は施工に高い技術と多額の費用が必要となるため、正確な情報は自治体の建築課や、実績のある設計士・施工業者に必ずご確認ください。

早めの補修相談で交換費用を抑える

いかがでしたでしょうか。

これまで詳しく解説してきたように、自然の温もりを感じさせる木の外壁や板張り、そして高い工業技術で作られた木目調サイディングは、それぞれに素晴らしい魅力と、同時に長く付き合っていくために乗り越えなければならない「メンテナンスの課題」を持っています。

ここで、本記事で特にお伝えしたかった重要なポイントを振り返ります。

無垢材は経年変化を楽しめるが、塗膜切れ前の早めの塗装が必須

焼杉は高耐久だが、色落ちや汚れ移りへの対策(ゾーニング等)が必要

木目調サイディングは防火性に優れるが、シーリングの打ち替えが不可欠

劣化を放置すると、塗装で済まず高額な張り替え工事に発展する

無垢の木材が放つ深い自然の息吹も、サイディングの洗練された均一な美しさも、適切な時期の正しい手入れがあってこそ、何十年という長きにわたりその輝きを放ち続けることができます。

「少し色褪せてカサカサしてきたかな」「目地のコーキングに細かいひび割れがあるな」と、ふとご自宅を見上げて気づいたその瞬間が、実はお住まいが発している無言のSOSサインなのです。

そのサインを見逃さず、迅速に行動することが、将来の莫大な修繕費用を防ぎ、大切なご家族の財産を守るための唯一の方法です。

私たち株式会社アップリメイクは、地元静岡に根差した職人直営の屋根・外壁塗装専門店として、1級建築塗装技能士をはじめとする国家資格保有者が、30倍スコープや専門機材を用いた徹底した建物診断を行っております。

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手遅れになって高額な張り替え工事を余儀なくされ、「もっと早く相談しておけばよかった」と後悔する前に、まずはご自宅の現在の健康状態を正しく把握するためにも、どうぞお気軽にプロの専門家である私たちにご相談ください。

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  • この記事を書いた人

齋藤直樹

(株)アップリメイク代表取締役で元職人、塗装という仕事が大好きです。人生の大きな挫折と数多くの出会いを経て今は大好きな地元・静岡で、お客様の笑顔のために仕事ができることに何よりの誇りを感じています。

▼保有資格▼
1級建築塗装技能士・2級建築施工管理技士・有機溶剤作業主任者・高所作業主任者・2級カラーコーディネーター・光触媒施工技能士・乙4類危険物取扱者・ゴンドラ特別教育・職長・安全衛生責任者・第2種酸素欠乏危険作業主任者・宅地建物取引主任者・2級ファイナンシャルプランニング技能士・AFP