
こんにちは、株式会社アップリメイク代表取締役の斎藤直樹です。私は1973年創業の塗装店を父から引き継ぎ、地元静岡で長年、戸建て住宅からマンションまで、数多くの建物の塗り替えリフォームに携わってきました。
この記事をご覧の方は、マンションの大規模修繕で融資の利用を検討されていることでしょう。その中で、「そもそも修繕積立金の借入は危険ではないのか?」「中古マンションを購入したが、修繕積立金が不足しており借入が必要だ」といった不安や、管理組合として借入を行う際のメリットやデメリットについて、具体的な情報を探しているのではないでしょうか。
また、住宅金融支援機構が提供するマンション共用部分リフォーム融資の仕組みや、気になるマンション共用部分リフォームの金利についても、詳しく知りたいとお考えかもしれません。
大規模修繕は、マンションの資産価値を維持するために不可欠な、非常に重要なプロジェクトです。しかし、そのためには多額の資金が必要となり、資金計画は多くの管理組合様にとって大きな課題となります。
この記事では、塗装と建物のプロである私の視点から、皆様が抱える疑問や不安を解消し、後悔のない資金計画を立てるためのお手伝いをいたします。
この記事でわかること
- マンションの大規模修繕で融資が必要になる理由
- 管理組合が融資を受けるメリットとデメリット
- 住宅金融支援機構と民間ローンの具体的な違い
- 失敗しない融資の選び方と計画の立て方
マンションの大規模修繕で融資を検討する前に

- 修繕積立金の借入は危険なのかを解説
- 中古マンションの修繕積立金と借入の注意点
- 管理組合が借入するメリット・デメリット
- 融資を受けるまでの具体的な流れ
- 賢いマンション大規模修繕の融資の選び方
修繕積立金の借入は危険なのかを解説

大規模修繕を前にして、「修繕積立金が足りないので、借入を検討しているが危険ではないか?」というご相談は非常に多く寄せられます。
結論から申し上げますと、計画的な借入は決して危険なものではありません。むしろ、資金不足を理由に修繕を先延ばしにすることの方が、建物の劣化を進行させ、将来的にさらに高額な費用がかかるリスクを高めてしまいます。
では、なぜ修繕積立金は不足してしまうのでしょうか。主な理由は以下の3つです。
長期修繕計画の甘さ
新築分譲時に設定された修繕積立金の額が、そもそも低すぎることが一番の原因です。販売価格を安く見せるために、将来の値上げを前提とした低い金額でスタートするケースが少なくありません。また、計画自体が古く、近年の建築資材の高騰や人件費の上昇が反映されていないことも大きな要因となります。
想定外の修繕の発生
長期修繕計画に含まれていなかった箇所の劣化や、台風・地震といった自然災害による突発的な補修が必要になることもあります。こうした不測の事態に対応するためには、計画にある程度の余裕を持たせておくことが重要です。
積立金の滞納
区分所有者による修繕積立金の滞納も、資金計画を狂わせる一因です。滞納が続くと、計画通りの資金確保が困難になります。
借入が「危険」になるケースとは
借入自体は有効な手段ですが、返済計画が曖昧なまま安易に借り入れてしまうと、将来の修繕積立金会計を圧迫し、危険な状態に陥る可能性があります。特に、次回の修繕までに完済できないような長期の借入や、金利負担の大きいローンは慎重に検討しなければなりません。借入はあくまで「将来の収入(修繕積立金)を前借りしている」という認識を持つことが大切です。
資金が不足している状態を放置し、必要な修繕を行わないことこそが最大のリスクです。建物の劣化が進めば、雨漏りや外壁の剥落といった深刻な事態につながりかねません。計画的な借入を有効に活用し、適切なタイミングでメンテナンスを行うことが、マンションの資産価値を守る上で最も重要なのです。
中古マンションの修繕積立金と借入の注意点

中古マンションの購入を検討される方や、すでにお住まいの方から、修繕積立金に関するご相談を受ける機会が増えています。特に、築年数が経過した中古マンションでは、修繕積立金が低額なまま据え置かれているケースが多く、注意が必要です。
新築時と同様に、中古マンションも販売時の魅力度を上げるため、月々の負担額が低く設定されていることがあります。しかし、建物は確実に経年劣化しており、大規模修繕の時期は目前に迫っています。いざ修繕という段階になって、積立金が全く足りないことが発覚するのです。
購入前に必ずチェックすべき2つの書類
中古マンションを検討する際は、不動産会社に依頼して必ず以下の書類を確認してください。
- 長期修繕計画書: いつ、どのような工事が予定され、いくらの費用が見込まれているかを確認します。計画が適切に更新されているかも重要です。
- 管理組合の総会議事録: 修繕積立金の値上げが過去に否決されていないか、滞納問題が発生していないかなど、管理組合の運営状況を把握できます。
もし、積立金が計画に対して大幅に不足している場合、近い将来、以下のような対応が取られる可能性が高いでしょう。
- 修繕積立金の大幅な値上げ
- 一時金の徴収(一戸あたり数十万~百万円以上になることも)
- 金融機関からの借入
借入を行う場合、その返済は当然、区分所有者が負担する修繕積立金から賄われます。つまり、中古マンションを購入するということは、そのマンションが抱える過去からの負債(資金不足)も一緒に引き継ぐ可能性があるということです。
もちろん、適切に管理され、計画的に借入を活用して資産価値を維持している優良な中古マンションもたくさんあります。重要なのは、購入前に「負の遺産」がないかをしっかりと見極めることです。専門家による建物診断などを活用し、物件のハード面(建物の状態)とソフト面(管理状況)の両方を確認することをおすすめします。
管理組合が借入するメリット・デメリット

大規模修繕工事の資金調達として借入を検討する際、管理組合内で合意形成をはかるためには、そのメリットとデメリットを正確に理解し、組合員の皆様に説明することが不可欠です。ここでは、双方の側面を具体的に解説します。
借入のメリット
- 適切な時期に必要な修繕が実施できる
最大のメリットは、資金不足を理由に工事を先延ばしにしなくて済むことです。建物の劣化は待ってくれません。適切なタイミングで修繕を行うことで、被害の拡大を防ぎ、結果的にトータルコストを抑えることにつながります。 - マンションの資産価値を維持・向上できる
外観が美しく、安全性が保たれたマンションは、資産価値が維持されやすくなります。逆に、修繕が行われず古びた印象のマンションは、空室の増加や賃料の下落を招きかねません。 - 一時金の徴収を避けられる(または少額にできる)
一度に多額の一時金を徴収することは、特に高齢の区分所有者にとって大きな負担となり、合意形成が非常に難しくなります。借入を利用すれば、月々の返済という形で負担を平準化できます。 - 工事仕様のグレードアップが可能になる
積立金だけでは予算的に厳しかった工事も、借入によって実現可能になります。例えば、より耐久性の高い塗料を使用したり、断熱性能を向上させる工事を追加したりすることで、マンションの付加価値を高めることができます。
借入のデメリット
- 利息の支払いが発生する
当然ですが、借入には利息がかかります。返済総額は借入元本よりも大きくなるため、その分、区分所有者の総負担額は増加します。 - 将来の修繕積立金の値上げが必要になる
ローンの返済は、月々の修繕積立金から行われます。そのため、返済期間中は積立金の増加ペースが鈍化、あるいは返済だけで手一杯になる可能性があります。次回の修繕に備えるためにも、返済計画と連動した積立金の値上げは必須となるでしょう。 - 合意形成に手間と時間がかかる
借入は管理組合にとって大きな決定事項であり、総会での特別決議(区分所有者および議決権の各4分の3以上の賛成)が必要となります。借入の必要性や返済計画について、全組合員の理解を得るための丁寧な説明と準備が求められます。
◆斎藤のワンポイントアドバイス
メリット・デメリットを比較する上で最も大切なのは、「何もしなかった場合のリスク」を具体的に示すことです。私たち専門業者は、現在の劣化状態を放置した場合、5年後、10年後にどのような問題が発生し、その時いくらの費用がかかるかをシミュレーションできます。その客観的なデータを示すことで、「今、借入をしてでも直す方が、長期的には得である」という理解を深めることが、合意形成への近道となります。
借入はあくまで選択肢の一つです。これらのメリット・デメリットを十分に比較検討し、ご自身のマンションにとって最適な方法を選択することが重要です。判断に迷われた際は、私たちのような専門家にご相談いただければ、資金計画の段階からサポートさせていただきます。
融資を受けるまでの具体的な流れ
管理組合として大規模修繕の融資を申し込む場合、どのような手順で進むのか、事前に全体の流れを把握しておくことがスムーズな計画進行の鍵となります。ここでは、一般的な融資実行までのステップを解説します。
融資実行までの8ステップ
- 【STEP1】金融機関への事前相談
住宅金融支援機構や民間の金融機関に、自分たちのマンションが融資対象になるか、どの程度の借入が可能かといった概算を相談します。 - 【STEP2】施工業者の選定と工事見積もりの取得
複数の施工業者から相見積もりを取り、工事内容と費用を具体的に固めます。この見積もりが融資額の根拠となります。 - 【STEP3】管理組合総会での決議
大規模修繕工事の実施、施工業者の決定、そして「借入を行うこと」について総会で決議を取ります。通常、借入は特別決議事項となるため、組合員への丁寧な事前説明が不可欠です。 - 【STEP4】金融機関への正式申込
総会の承認後、議事録や工事見積書、長期修繕計画書、管理規約など、金融機関が指定する書類を揃えて正式に融資を申し込みます。 - 【STEP5】融資審査
金融機関が、修繕計画の妥当性、管理組合の財務状況(滞納率など)、返済能力などを審査します。審査期間は金融機関によりますが、一般的に2週間から1ヶ月程度かかります。 - 【STEP6】融資承認・契約
審査に通ると、融資承認の通知が届きます。その後、金融機関と管理組合(理事長名義)との間で金銭消費貸借契約を締結します。 - 【STEP7】工事着工
融資の目途が立ったところで、施工業者と本契約を結び、工事を開始します。 - 【STEP8】融資金の実行(受け取り)
融資金が実行されるタイミングは、金融機関によって異なります。工事の進捗に合わせて分割で支払われるケースや、工事完了後に一括で支払われるケースなどがあります。施工業者への支払いスケジュールと合わせて確認しておくことが重要です。
特に重要なのが【STEP3】の総会決議です。ここでの承認が得られなければ、計画は前に進みません。なぜ今、工事が必要なのか、なぜ借入という選択をするのか、その返済計画は現実的なのか。組合員の皆様が抱くであろう疑問に対し、理事会が明確に答えられるよう、施工業者や管理会社と連携して万全の準備を整えましょう。
賢いマンション大規模修繕の融資の選び方

いざ融資を利用するとなっても、どの金融機関のどの商品を選べば良いのか、迷われることも多いでしょう。ここでは、ご自身のマンションにとって最適な融資を選ぶための、3つの重要な比較ポイントを解説します。
1. 金利の種類(固定金利か変動金利か)
金利には大きく分けて2つのタイプがあります。それぞれの特徴を理解し、どちらが自分たちの返済計画に適しているかを判断しましょう。
- 固定金利: 返済期間中の金利が変わらないタイプ。返済額が一定のため、長期的な返済計画が立てやすいのが最大のメリットです。市場金利が上昇しても影響を受けない安心感があります。住宅金融支援機構のローンは基本的にこのタイプです。
- 変動金利: 市場金利の変動に合わせて、定期的に金利が見直されるタイプ。一般的に、借入当初の金利は固定金利よりも低く設定されていますが、将来的に金利が上昇し、返済額が増えるリスクがあります。
管理組合の融資は、返済期間が10年以上に及ぶことも珍しくありません。将来の金利変動リスクを避けるため、基本的には全期間固定金利を選ぶことを強くおすすめします。
2. 返済期間
返済期間を長く設定すれば、月々の返済額を抑えることができます。しかし、その分、支払う利息の総額は増えてしまいます。逆に、返済期間を短くすれば、利息総額は減らせますが、月々の負担は重くなります。
重要なのは、次回の修繕工事の時期を見据えて返済計画を立てることです。例えば、12年後に次の大規模修繕を予定しているなら、返済期間は10年以内に設定し、完済後の2年間で次の修繕に向けた積立を再開する、といった計画が理想的です。
3. 手数料や保証料などの諸費用
融資を受ける際には、金利以外にも事務手数料や保証料といった諸費用がかかります。金利が低く見えても、これらの諸費用が高額で、結果的に総支払額が高くなってしまうケースもあります。
見積もりを取る際は、表面的な金利だけでなく、保証料などを含めた「実質年率」で比較検討することが大切です。また、繰り上げ返済が可能か、その際に手数料はかかるか、といった点も事前に確認しておきましょう。
◆斎藤のワンポイントアドバイス
融資選びは、いわば大規模修繕工事における「もう一つの業者選び」です。複数の金融機関から提案を受け、それぞれの条件をじっくり比較することが成功の秘訣です。私たちのような施工業者は、提携している金融機関をご紹介することも可能です。建物の状態だけでなく、資金計画についても不安な点があれば、ぜひお気軽に無料診断・お見積りの際にご相談ください。
具体的なマンション大規模修繕の融資
- 公的融資なら住宅金融支援機構が選択肢
- 住宅金融支援機構のマンション共用部分リフォーム融資
- マンション共用部分リフォームの金利を比較
- 民間の金融機関が提供するローンの特徴
- 補助金や助成金と併用できるか確認
公的融資なら住宅金融支援機構が選択肢

マンションの大規模修繕で融資を検討する際、まず第一の選択肢として名前が挙がるのが「住宅金融支援機構」です。
住宅金融支援機構は、かつての住宅金融公庫の業務を引き継いだ独立行政法人です。国民の豊かな住生活の実現を目的としており、営利を目的とする民間の金融機関とは一線を画します。
主に、民間金融機関と提携して提供する長期固定金利の住宅ローン「フラット35」で知られていますが、それ以外にも、災害復興住宅融資や今回テーマとなっているマンションの共用部分リフォーム融資など、政策的な役割を担う多様な融資制度を取り扱っています。
住宅金融支援機構を選ぶメリット
- 信頼性: 国の政策に基づいて運営される政府系金融機関であるため、非常に高い信頼性があります。
- 全期間固定金利: 返済終了まで金利が変わらないため、長期的な資金計画が立てやすく、管理組合内の合意形成にも有利です。
- 公益性: 耐震改修や省エネ改修など、社会的に有益な工事に対して金利優遇制度を設けており、マンションの質的向上を後押ししています。
民間金融機関に比べて審査のハードルが高い、手続きに時間がかかるといった側面もありますが、その信頼性と金利の安定性は大きな魅力です。大規模修繕の融資を考えるなら、まずは住宅金融支援機構の制度内容を詳しく確認することから始めるのが定石と言えるでしょう。
住宅金融支援機構のマンション共用部分リフォーム融資
住宅金融支援機構が提供している、まさに大規模修繕のための融資制度が「マンション共用部分リフォーム融資」です。
この融資は、分譲マンションの管理組合が、建物の維持・改良を目的として共用部分のリフォーム工事を行う際に利用できます。外壁塗装や屋上防水といった大規模修繕工事はもちろん、耐震改修工事やバリアフリー化、省エネ対策工事など、幅広い用途に活用できるのが特徴です。
主な融資条件
ここでは、本融資の主な特徴や条件をまとめます。
| 融資対象 | 分譲マンションの管理組合(法人格の有無は問わない) |
|---|---|
| 資金の使いみち | マンション共用部分のリフォーム工事費や、それに伴う調査設計費など |
| 融資額 | 100万円以上、融資対象工事費の範囲内(補助金などを除く) |
| 返済期間 | 原則として1年以上10年以内 ※ただし、耐震改修や給排水管取替工事など特定の工事を含む場合は最長20年まで延長可能 |
| 金利 | 全期間固定金利 |
| 担保・保証人 | 原則として担保は不要です。 代わりに、公益財団法人マンション管理センターの「マンションすまい・る債」保証を利用します。連帯保証人も不要です。 |
【ご注意】
上記は2025年9月時点の一般的な情報です。融資の条件や内容は変更される可能性があります。正確な情報や詳細な申込要件については、必ず住宅金融支援機構の公式サイトで最新の情報をご確認いただくか、直接お問い合わせください。
特に、担保や連帯保証人が不要である点は、多くの管理組合にとって大きなメリットとなります。手続きの煩雑さを理由に融資をためらっていた管理組合様も、この制度であれば比較的スムーズに検討を進めることができるでしょう。
また、私たちアップリメイクが手掛ける外壁塗装や屋上防水工事も、もちろんこの融資の対象となります。資金計画から施工まで、ワンストップでサポートさせていただきますので、ご安心ください。
マンション共用部分リフォームの金利を比較
住宅金融支援機構の「マンション共用部分リフォーム融資」の大きな魅力の一つが、金利の優遇制度です。特定の条件を満たす工事を行うことで、基準となる金利からさらに引き下げを受けることができます。
ここでは、どのような場合に金利が優遇されるのか、その具体例を見ていきましょう。
金利引き下げの対象となる主な工事・条件
基準金利から、それぞれの条件を満たすごとに年0.2%ずつ金利が引き下げられます。(※複数の条件を満たす場合は、合算して引き下げられます)
- 特定の工事を実施する場合
以下のいずれかの工事を行うことで、金利優遇の対象となります。- 耐震改修工事
- 浸水対策工事(止水板の設置など)
- 省エネルギー対策工事(断熱材の追加、高効率給湯器の導入など)
- 「マンションすまい・る債」を利用している場合
住宅金融支援機構が発行する、マンション管理組合向けの積立債券「マンションすまい・る債」を利用している場合も、金利引き下げの対象です。計画的な資金積立を行っている管理組合へのインセンティブと言えます。 - 「マンション管理計画認定制度」の認定を受けている場合
マンション管理適正化法に基づき、自治体から管理計画の認定を受けている場合も、金利が優遇されます。これは、管理組合の運営レベルが高いことの証明にもなります。
金利比較のポイント
例えば、基準金利が年1.0%の時に、省エネ対策工事(外壁への断熱塗料の塗装など)を行い、さらに管理計画の認定も受けている場合、基準金利から0.4%が引き下げられ、適用金利は年0.6%になる、という計算です。
【ご注意】
金利は金融情勢によって毎月見直されます。また、金利優遇制度の詳細や適用条件も変更される可能性があります。あくまで一般的な仕組みとしてご理解いただき、検討時点での正確な金利や条件は、必ず住宅金融支援機構の公式サイトでご確認ください。最終的な判断は、複数の金融機関の条件と比較した上で、慎重に行うことをお勧めします。
これらの優遇制度をうまく活用することで、民間金融機関のローンよりも有利な条件で借入できる可能性があります。ご自身のマンションで計画している工事が対象になるか、一度確認してみる価値は十分にあるでしょう。
民間の金融機関が提供するローンの特徴
住宅金融支援機構の融資が難しい場合や、他の選択肢も比較したい場合には、銀行や信用金庫といった民間の金融機関が提供するローンを検討することになります。
民間のローンは、金融機関ごとに多種多様な商品があり、それぞれに特徴があります。ここでは、その一般的な傾向について解説します。
民間ローンの主な特徴
- 審査のスピードと柔軟性
住宅金融支援機構に比べて、審査期間が短い傾向があります。また、独自の審査基準を設けているため、滞納率がやや高いなど、機構の基準では難しい案件でも、相談に応じてくれる可能性があります。 - 金利タイプが多様
全期間固定金利だけでなく、変動金利型や、当初数年間だけ金利が固定される固定期間選択型など、様々な金利タイプの商品があります。変動金利は当初の金利が低い魅力がありますが、将来の金利上昇リスクを伴います。 - 担保や保証人が必要になる場合がある
住宅金融支援機構とは異なり、融資にあたって不動産(土地・建物)を担保として求められたり、理事長個人の連帯保証が必要になったりするケースがあります。これは理事のなり手不足にも繋がるため、慎重な検討が必要です。 - 窓口での相談のしやすさ
地元の信用金庫や取引のある銀行など、普段から付き合いのある金融機関であれば、担当者に直接相談しやすく、親身な対応が期待できる場合があります。
セゾンファンデックスなどのノンバンク系も選択肢に
近年では、銀行だけでなく、セゾンファンデックスのようなノンバンクもマンション管理組合向けのローンに力を入れています。銀行に比べてさらに柔軟な審査基準を設けていることが多く、返済期間を最長20年まで設定できたり、独自の基準で融資を判断してくれたりする点が特徴です。銀行で断られた場合でも、一度相談してみる価値はあるでしょう。
民間ローンを選ぶ際は、金利の低さだけでなく、担保・保証人の要否、手数料、繰り上げ返済の条件などを総合的に比較することが重要です。複数の金融機関から提案を受け、それぞれのメリット・デメリットを丁寧に比較検討しましょう。私たちのような施工業者にご相談いただければ、提携金融機関のご紹介も可能ですので、お気軽にお声がけください。
補助金や助成金と併用できるか確認
大規模修繕工事の費用負担を少しでも軽減するために、融資とあわせてぜひ活用を検討したいのが、国や地方自治体が設けている補助金・助成金制度です。
これらの制度は、一定の条件を満たすリフォーム工事に対して、費用の一部を補助してくれるものです。融資はあくまで借入金であり返済が必要ですが、補助金・助成金は返済不要の交付金であるため、積極的に活用すべきです。多くの場合、融資との併用も可能となっています。
補助金・助成金の対象となる主な工事
どのような工事が対象になるかは自治体によって様々ですが、一般的に以下のような公益性の高い工事が対象となることが多いです。
- 省エネ改修: 外壁や屋根への遮熱・断熱塗装、高効率給湯器への交換、窓の断熱改修(二重サッシ化など)
- 耐震改修: 耐震診断に基づいた補強工事
- バリアフリー改修: エントランスへのスロープ設置、手すりの増設など
- 防災対策: 浸水対策の防水板設置、防災備蓄倉庫の設置など
静岡県・静岡市の例
例えば、静岡県や静岡市でも、地域の実情に合わせた様々な補助金制度が用意されています。特に、南海トラフ地震への備えとして耐震化に関する補助は手厚い傾向にあります。また、環境配慮の観点から省エネ改修への補助金も増えています。私たちアップリメイクが得意とする遮熱・断熱塗料「ガイナ」を使用した外壁塗装も、省エネ改修として補助金の対象となる可能性があります。
補助金利用の注意点
補助金を利用する際には、いくつか注意点があります。
- 申請期間と予算枠: 多くの補助金は年度ごとに予算が決められており、申請期間が限られています。また、予算上限に達し次第、受付が終了してしまうため、早めの情報収集と準備が不可欠です。
- 着工前の申請が原則: ほとんどの制度で、工事に着手する前に申請し、交付決定を受ける必要があります。契約後や工事開始後に申請しても受理されませんので、計画段階で必ず確認しましょう。
- 手続きの複雑さ: 申請には、工事見積書や図面など、多くの書類が必要となります。手続きに慣れた施工業者に相談しながら進めるのが安心です。
どのような補助金が利用できるかは、マンションが所在する自治体のホームページで確認できます。「(お住まいの市区町村名) マンション 改修 補助金」といったキーワードで検索してみてください。最新の情報を確認し、活用できる制度がないか、ぜひチェックしてみましょう。
マンション大規模修繕の融資に関するよくある質問(FAQ)
Q1. 融資の審査では、どのような点が重視されますか?
A. 金融機関によって異なりますが、一般的に重視されるのは以下の3点です。
1. 管理組合の財務状況: 特に修繕積立金の滞納率が低いこと(住宅金融支援機構では原則10%以内など)が重要視されます。
2. 長期修繕計画の妥当性: 修繕計画が適切に作成・更新されており、今回の工事が計画に基づいたものであることが求められます。
3. 返済計画の現実性: 借入後の返済額が、毎月の修繕積立金収入の範囲内に収まっているか(一般的に80%以内が目安)が確認されます。
Q2. 返済期間は、できるだけ長く設定した方が得なのでしょうか?
A. 一概にそうとは言えません。返済期間を長くすれば月々の返済額は減りますが、支払う利息の総額は増えてしまいます。最も重要なのは、次回の修繕工事時期までにローンを完済できる計画を立てることです。例えば、12年周期で大規模修繕を行っているなら、返済期間は10年以内に設定するのが理想的です。月々の負担と総支払額のバランスを考え、無理のない計画を立てましょう。
Q3. 融資の承認が下りる前に、施工業者と工事契約を結んでも大丈夫ですか?
A. それは避けるべきです。万が一、融資の審査に通らなかった場合、工事代金の支払いができなくなり、業者との間で大きなトラブルに発展してしまいます。まずは施工業者から詳細な見積もりを取り、総会で「この業者とこの内容で工事を行う」という承認を得た上で融資を申し込み、融資の承認(内定)を得てから本契約を結ぶのが正しい手順です。業者によっては、融資承認を条件とした仮契約を結んでくれる場合もあります。
Q4. 融資以外の資金調達方法として、一時金の徴収はどのような場合に選択すべきですか?
A. 一時金の徴収は、利息負担がないという大きなメリットがあります。そのため、不足額が比較的少額で、多くの区分所有者が無理なく支払える見込みがある場合には有効な選択肢です。しかし、不足額が大きい場合や、高齢者が多いマンションなどでは、合意形成が非常に困難になります。現実的には、少額の一時金徴収と融資を組み合わせて、一戸あたりの負担感を和らげるという方法もよく取られます。
Q5. 外壁塗装や屋上防水の費用も、もちろん融資の対象になりますよね?
A. はい、もちろんです。外壁塗装、屋根・屋上防水、シーリング工事、給排水管の更新、エレベーターの改修など、マンションの共用部分に関する維持・改良工事のほとんどが融資の対象となります。私たち株式会社アップリメイクは、これらの工事全般に対応しております。工事のお見積もり作成はもちろん、融資申請に必要な書類の準備もお手伝いできますので、資金計画の段階からお気軽にご相談ください。
まとめ:最適なマンション大規模修繕の融資計画を
今回は、マンションの大規模修繕における融資について、その必要性から具体的な商品の選び方まで、専門家の視点で解説しました。
修繕積立金の不足は多くのマンションが抱える課題ですが、融資はそれを解決し、建物の資産価値を未来へつなぐための非常に有効な手段です。危険なのは借入そのものではなく、無計画なまま先延ばしにしてしまうことなのです。
成功する資金計画の要点
- メリット・デメリットを理解し、管理組合内で目的を共有する。
- 住宅金融支援機構と民間ローンを比較し、最適な商品を選ぶ。
- 次回の修繕を見据えた、無理のない返済計画を立てる。
- 補助金・助成金も積極的に活用し、負担を軽減する。
そして、最も大切なことは、融資で得た貴重な資金を、質の高い工事に確実に投じることです。そのためには、技術力と誠実さを兼ね備えた、信頼できる施工業者をパートナーに選ぶことが不可欠です。
私たち株式会社アップリメイクは、1973年の創業以来、地元静岡で「日本で一番幸せをつくっている会社」を目指し、一件一件の施工に誠心誠意向き合ってまいりました。施工実績は4,140件(2024年1月末時点)を超え、静岡県内トップクラスとなる11名(2025年9月現在)の一級建築塗装技能士をはじめとする国家資格者が、診断から施工、アフターフォローまで責任を持って担当いたします。
マンションの将来を見据えた資金計画や、建物の状態に関するご不安など、どんな些細なことでも構いません。まずは、プロによる無料の建物診断から始めてみませんか。皆様からのご連絡を心よりお待ちしております。
アップリメイクのアパート・マンション塗装サービスについて、
より詳しくは、こちらの総合案内ページをご覧ください。