こんにちは、株式会社アップリメイク代表取締役の齋藤直樹です。
ご自宅の屋根を見上げたとき、屋根の先端が紙のようにめくれていたり、庭やベランダに砂のような破片が落ちていたりすると、「このまま雨漏りしないだろうか」「塗装で直せるのだろうか」と不安になりますよね。
特に、1990年代後半から2000年代に建てられた住宅では、パミール、コロニアルNEO、レサスなど、塗装できるかどうかを慎重に判断しなければならないスレート屋根材が使われていることがあります。
ただし、屋根材の商品名だけを見て、すべて同じ状態だと決めつけることはできません。
大切なのは、屋根材の層が剥がれているのか、ひび割れが広がっているのか、固定釘に問題があるのか、さらに下の防水シートや野地板まで傷んでいるのかを確認することです。
ここを確認しないまま屋根塗装を行うと、数十万円をかけても短期間で塗膜ごと剥がれたり、工事中に屋根材を割ってしまったりすることがあります。
逆に、必要以上に不安を煽られ、本来はカバー工法で対応できる屋根に高額な葺き替えを勧められるケースにも注意が必要です。
この記事では、ボロボロと剥がれる屋根に起きていること、塗装を避けるべき状態、部分補修の限界、カバー工法と葺き替えの選び方、費用相場、見積書の確認方法まで、できるだけわかりやすくお伝えします。
読み終わる頃には、ご自宅の屋根について「まず何を確認し、どの工法を検討すればよいのか」が見えてくるはずですよ。
記事のポイント
- パミールなどの屋根が層状に剥がれる原因と、放置した場合に起こり得る雨漏り・落下リスク
- 地上から確認できる屋根のSOSサインと、破片が落ちてきたときに最初に行う安全対策
- 塗装しても直らない屋根と、状態を確認したうえで塗装を検討できる屋根の違い
- 部分補修を繰り返すより、屋根全体の改修を検討した方がよいケース
- カバー工法と葺き替えの費用、メリット、注意点、最終的な判断基準
- 見積書、火災保険、補助制度で損をしないために確認しておきたいポイント
ボロボロ剥がれる屋根は、塗装を決める前の診断が重要です
屋根が色あせていると、「そろそろ塗装の時期かな」と考える方は多いと思います。
通常のスレート屋根で、屋根材そのものの強度が保たれているのであれば、適切な洗浄、下地処理、下塗り、上塗りを行うことで、塗装による防水性の回復を期待できます。
しかし、表面だけではなく屋根材そのものが層状に剥がれている場合や、広い範囲に割れや欠けが生じている場合は話が別です。
塗料は、健全な下地の表面を保護する材料です。
傷んだ屋根材を接着剤のように固め直したり、失われた強度を元に戻したりするものではありません。
そのため、屋根材がボロボロになっている状態では、「どの塗料を使うか」より先に、「そもそも塗装できる下地なのか」を確認する必要があります。
ここを飛ばして塗装の見積もりだけを進めてしまうと、工事後の早期剥離や雨漏りにつながりかねません。
パミール屋根を放置しない方がよい理由
ニチハ株式会社のパミールは、1996年から2008年に販売されていたスレート系屋根材です。
パミールが使われている住宅では、年月の経過とともに屋根材の先端が層状にめくれたり、薄い破片が落ちたりする相談があります。
ただし、パミールという商品名だけで、すべての屋根に同じ症状が出ていると決めつけることはできません。
屋根の方角、勾配、日当たり、雨の当たり方、施工状態、沿岸部かどうかなどによって、劣化の進み方には差が出ます。
問題は、すでに層状の剥がれやズレが確認されているにもかかわらず、「室内に雨漏りしていないから大丈夫」と放置してしまうことです。
層状の剥がれが進むと、屋根材の雨を流す力が低下します
パミールでよく知られている症状の一つが、屋根材の先端が何枚もの薄い層に分かれるように剥がれていく状態です。
見た目がパイ生地やミルフィーユに似ているため、「ミルフィーユ状の剥離」と表現されることもあります。
屋根材は、雨に濡れて水分を含み、晴れた日に乾燥するという変化を何度も繰り返します。
水分が屋根材内部へ入り込んだ状態で乾燥や凍結が繰り返されると、すでに弱くなっている部分の剥がれや欠けが進行しやすくなります。
特に、北面、日陰になりやすい面、湿気が残りやすい場所では、ほかの面より症状が強く出ることがあります。
屋根材の表面が少し剥がれただけで、すぐに室内へ雨水が落ちてくるとは限りません。
屋根材の下には、ルーフィングと呼ばれる防水シートがあり、屋根材の隙間から入った雨水を軒先へ流しています。
しかし、屋根材の剥がれやズレが増えると、ルーフィングへ流れ込む雨水の量が増えます。
さらにルーフィングが古くなって破れたり、釘穴周辺が傷んだりすると、その下にある野地板へ雨水が到達します。
室内に雨漏りが現れた時点では、屋根材だけでなく、防水シートや野地板まで傷んでいる可能性があります。
天井にシミが出る前であれば、カバー工法で対応できた屋根でも、野地板の腐食が進むと葺き替えや下地交換が必要になり、工事費用が大きくなることがあります。
「雨漏りしてから直せばよい」ではなく、屋根材の剥がれや破片の落下に気づいた時点で状態を確認することが大切です。
パミール用釘の一部では、腐食によるズレや落下の可能性が公表されています
パミールについては、屋根材の層状剥離とは別に、固定に使用された釘についても確認しておきたい情報があります。
ニチハ株式会社は2010年、パミール販売時に無償配布した「パミール用釘(品番JQ20)」の一部に、耐食性表面処理のメッキ厚が薄いものが混入していたと公表しました。
同社の発表では、正常に処理された釘より腐食の進行が早まり、屋根材のズレや落下が生じる可能性があるとされています。
一方で、すべてのパミール用釘に問題があるわけではなく、同じ発表の中で、パミール本体の安全性には問題がないとの説明も行われています。
詳しい公表内容は、ニチハ株式会社の「ラスパート釘に関するお詫びとお知らせ」でも確認できます。
そのため、「パミールだから必ず釘が腐食している」と決めつけるのも正しくありません。
確認すべきなのは、実際に屋根材のズレ、浮き、落下、釘の腐食が発生しているかどうかです。
屋根材のズレや破片の落下を見つけたときは、建物の周囲に近づきすぎないでください
台風や強風の後に屋根材の破片が庭へ落ちている場合は、屋根の下、玄関周辺、駐車場などへ追加の破片が落ちてくる可能性があります。
まずは家族が危険な場所を通らないようにし、車や自転車を移動できる場合は、安全を確認したうえで屋根の真下から離してください。
地上から撮影できる範囲で、屋根の状態、落ちた破片、発見した日を写真に残しておくと、業者への相談や保険会社への連絡を行う際にも役立ちます。
ご自身でハシゴをかけたり、屋根へ上ったりするのは危険です。
脆くなった屋根材を踏み割るだけでなく、転落事故につながるおそれがあるため、必ず専門業者へ点検を依頼してください。
剥離や固定力の低下を放置すると、強風時の飛散につながります
屋根材の固定力が低下すると、普段は大きな変化がないように見えても、台風、突風、地震などをきっかけにズレや落下が起こることがあります。
屋根材や板金が飛散すれば、ご自宅の被害だけでは済まないかもしれません。
近隣住宅の窓、外壁、車などを傷つけたり、通行人へ当たったりする危険があります。
特に、「屋根材が少しズレている」「一部だけ浮いている」という状態は、地上から見ると小さな異常に感じやすいですよね。
しかし、実際には固定釘や下地の状態を確認しなければ、安全性を判断できません。
屋根材のズレや落下が確認された場合は、全面改修を決める前に、応急処置が必要かどうかも含めて早めに相談してください。
パミール屋根を塗装してはいけないのはどのような状態か
屋根のカバー工法や葺き替えには、100万円を超える費用がかかることがあります。
そのため、「まずは塗装で安く済ませたい」と考えるのは自然なことです。
ただし、層状の剥がれが始まっているパミールに塗装をしても、屋根材そのものの強度は回復しません。
塗料が密着するのは、屋根材の一番表面です。
その下の層が剥がれれば、どれほど高価な塗料を使用しても、塗膜ごと剥がれ落ちてしまいます。
パミールという商品名だけで一律に判断するのではなく、層間剥離、広範囲の欠け、固定力の低下が確認された屋根には、塗装を行わないことが重要です。
塗装は屋根材を接着して元に戻す工事ではありません
屋根塗装には、健全な屋根材の表面を紫外線や雨から保護する役割があります。
しかし、すでに割れている屋根材を新品の強度へ戻したり、剥がれた層を一体化させたりする効果はありません。
水を含んでボロボロになった段ボールの表面へ強いテープを貼っても、段ボールの表面ごと剥がれてしまうのと似ています。
「高級なフッ素塗料だから大丈夫」「無機塗料なら長期間もちます」と説明されても、塗料のグレードだけで判断しないでください。
塗料の耐久性が20年相当と説明される商品であっても、塗る下地が数年以内に崩れれば、その性能を発揮できません。
高圧洗浄や屋根上の歩行で、劣化を進めることがあります
屋根塗装では、塗料を密着させるため、塗装前に高圧洗浄を行います。
通常の屋根であれば、汚れ、苔、弱くなった古い塗膜を落とすために欠かせない工程です。
ところが、すでに層状に剥がれている屋根材へ強い水圧をかけると、剥離を広げたり、先端を欠けさせたりするおそれがあります。
屋根の上を職人が歩くことでも、弱くなった部分が割れる場合があります。
塗装前の調査では問題が少ないように見えても、洗浄と作業中の歩行によって損傷箇所が増えることがあるため、工事前の材質確認が欠かせません。
◆齋藤のワンポイントアドバイス
「パミールにも塗れる特殊な下塗り材があります」と説明されたときは、塗料名だけで判断しないでください。
まず、屋根材のどの部分に、どのような劣化があり、塗装後に屋根材自体が剥がれた場合は誰が保証するのかを確認しましょう。
保証書に「屋根材自体の剥離は対象外」と書かれているのであれば、実際には塗装後の不具合を保証してもらえない可能性があります。
口頭の「大丈夫です」ではなく、屋根の診断写真、使用材料、施工工程、保証対象を書面で確認することが大切ですよ。
パミールへのカバー工法が可能な条件や、施工前に確認すべき点については、パミール屋根のカバー工法は危険?施工可否・対処法・費用目安でも詳しく解説しています。
パミール・カラーベスト屋根の危険症状チェック
屋根材の商品名がわからなくても、地上から確認できる劣化症状はあります。
次のような状態が一つでも見つかった場合は、塗装の見積もりを取る前に、屋根材と下地の点検を受けることをおすすめします。
地上から確認したい屋根のSOSサイン
- 屋根材の先端が白っぽく、何層にもめくれている
- ベランダ、庭、雨樋の中に薄いセメント片が落ちている
- 屋根材が途中から大きく欠け、黒い防水シートのような部分が見えている
- 不規則なひび割れが屋根全体に広がっている
- 一部の屋根材が下方向へズレている
- 棟板金が浮いている、曲がっている、外れかけている
- 屋根裏や天井に雨染み、カビ臭さ、湿った跡がある
スマートフォンで撮影する場合も、屋根の真下へ立たず、道路や敷地内の安全な場所から撮影してください。
写真を拡大しても、屋根材の商品名や下地の状態まで正確に判断できるとは限りません。
セルフチェックは「異常に気づくための方法」と考え、最終判断は専門業者へ任せましょう。
パミールの剥がれを数枚だけ交換する部分補修は可能か
屋根材の一部だけが剥がれていると、「その数枚だけ交換できないか」と考える方も多いと思います。
破損が局所的で、周囲の屋根材と下地が健全であり、交換用の部材や適切な補修方法を確保できる場合は、応急的な部分補修を検討できることがあります。
また、固定釘の問題だけが確認された場合は、状態に応じた安全処置や固定の見直しが行われることもあります。
しかし、屋根全体で層状剥離が進んでいる場合は、数枚を交換しても根本的な解決にはなりません。
同じ時期に施工された屋根材は、ほぼ同じ年月だけ雨、紫外線、温度変化を受けています。
今は目立っていない場所でも、屋根材内部の劣化が進んでいる可能性があります。
今回直した部分の隣が半年後や一年後に剥がれ、そのたびに足場や作業費が必要になれば、結果的に全面改修より高くなることがあります。
さらに、古い屋根材を部分的に持ち上げたり抜き取ったりする際、隣接する屋根材を割ってしまう危険もあります。
部分補修を選ぶときは、「今回直す箇所以外が何年程度もつと考えられるのか」「次に傷んだ場合はどうするのか」まで説明してもらいましょう。
コロニアルNEOやレサスなどは、ひび割れと欠けを確認します
パミール以外にも、初期のノンアスベストスレート屋根材の中には、割れや欠けが起こりやすく、塗装の適否を慎重に判断したい製品があります。
よく名前が挙げられるのが、コロニアルNEO、レサスなどです。
これらはパミールと同じように先端が層状に剥がれるとは限りません。
代わりに、屋根材の中央や釘周辺に不規則なひび割れが広がったり、V字型に大きく欠けたりすることがあります。
ただし、こちらも製品名だけで現在の状態を決めつけることはできません。
小さなひび割れが数箇所だけなのか、屋根全体へ広がっているのか、補修跡が何箇所あるのか、歩行や洗浄に耐えられる強度が残っているのかを確認します。
広い範囲で割れが進み、補修しても別の場所が次々と割れる状態であれば、塗装よりカバー工法や葺き替えを検討した方が、長期的な費用を抑えやすくなります。
屋根材の破片が落ちてきたときに最初に行うこと
屋根材の破片を見つけたときは、慌てて屋根へ上る必要はありません。
まずは、家族と近隣の安全を確保し、次の順番で対応してください。
破片を見つけた直後の対応
1. 屋根の真下や破片が落ちている周辺へ人が近づかないようにします。
2. 安全な場所から、屋根全体、破片、落下場所を撮影します。
3. 強風や台風の直後であれば、発生日と気象状況を記録します。
4. 室内の天井、屋根裏、窓周辺に雨染みがないか確認します。
5. 屋根工事に対応できる業者へ連絡し、応急処置の必要性を確認します。
6. 自然災害による損傷が疑われる場合は、修理契約を結ぶ前に保険会社または代理店へ連絡します。
落ちた破片は、素手で触らず、手袋を使用して保管してください。
屋根材の種類を調べる材料になることがありますが、粉じんを吸い込まないよう、割ったり削ったりしないことが大切です。
古いスレート屋根ではアスベストを含む製品もあるため、自己判断で切断や処分を行わないでください。
パミール屋根を直すカバー工法と葺き替えの違い
塗装では十分な耐久性を確保できない屋根では、主に「屋根カバー工法」と「屋根葺き替え工事」を比較します。
どちらが優れているかではなく、下地の状態、ご予算、今後その家に住む期間、将来の解体や再改修まで考えて選ぶことが大切です。
| 比較項目 | カバー工法 | 葺き替え |
|---|---|---|
| 既存屋根材 | 基本的に残したまま、その上へ新しい屋根を施工します。 | 既存屋根材を撤去して、新しい屋根へ交換します。 |
| 下地の確認・補修 | 事前調査が重要です。広範囲の腐食がある場合は適しません。 | 屋根材を撤去するため、野地板の状態を直接確認しやすくなります。 |
| 工事費用 | 撤去・処分が少ない分、葺き替えより抑えやすい傾向です。 | 撤去、処分、下地補修が加わるため高くなる傾向です。 |
| 工期 | 比較的短くなりやすい工法です。 | 解体工程があるため、カバー工法より長くなることがあります。 |
| 屋根の重量 | 軽量金属屋根を重ねるため、施工前より重量は増えます。 | 既存スレートを軽量金属屋根へ替える場合、屋根を軽くできます。 |
| 向いている状態 | 野地板と構造が健全で、既存屋根が一重の場合。 | 雨漏り、野地板の腐食、広範囲の下地劣化がある場合。 |
| 将来の撤去 | 将来は新旧二層の屋根材を撤去する費用がかかる可能性があります。 | 今回の工事で既存屋根を撤去するため、古い屋根材を残しません。 |
さらに詳しい比較については、屋根の葺き替えとカバー工法はどっちが良い?費用・耐久性・選び方も参考にしてください。
カバー工法の仕組みとメリット
屋根カバー工法は、既存のスレート屋根を大きく解体せず、その上に防水シートと新しい金属屋根材を施工する方法です。
既存屋根材の撤去量を抑えられるため、解体作業、廃材処分、工事中の粉じんを少なくしやすい点がメリットです。
撤去工程が少ない分、葺き替えより工期を短くしやすく、費用も抑えられる傾向があります。
また、断熱材一体型の金属屋根材を選べば、屋根材自体の断熱性や遮熱性を高めることが期待できます。
ただし、「屋根を二重にすれば必ず室温が大幅に下がる」とは限りません。
室内の暑さは、屋根材だけでなく、小屋裏の断熱材、換気、天井の構造、窓、日当たりなどにも左右されます。
断熱効果を重視する場合は、新しい屋根材の断熱性能だけでなく、小屋裏断熱や換気の状態も一緒に確認しましょう。
カバー工法が向いていない屋根もあります
カバー工法は費用を抑えやすい工法ですが、どの屋根にも施工できるわけではありません。
カバー工法を慎重に判断したいケース
- 室内や屋根裏ですでに雨漏りが続いている
- 野地板が腐食し、ビスを十分に固定できない
- 屋根が大きく波打っている、沈んでいる
- すでに一度カバー工法を行っており、屋根が二重になっている
- 瓦屋根など、一般的なスレート用カバー工法に向かない屋根材である
- 屋根の形状が複雑で、板金の納まりを確保しにくい
- 建物の構造や耐震性について、追加荷重の確認が必要である
特に重要なのが、野地板へ新しい屋根材を固定できるかどうかです。
カバー工法では、既存屋根の上からビスを打ち込み、新しい屋根材を下地へ固定します。
野地板が腐っていれば、ビスを打っても十分な保持力を得られません。
見積もりを依頼するときは、「野地板の状態をどのように確認したのか」「固定先をどこに設定するのか」まで質問してください。
カバー工法の費用相場
一般的な30坪前後の戸建て住宅では、屋根カバー工法の総額は、足場を含めておおむね80万円〜150万円程度が一つの目安です。
ただし、同じ30坪の家でも、屋根面積が同じとは限りません。
屋根の勾配が急な家、下屋が多い家、谷板金や壁際が多い家、三階建ての家、敷地が狭い家では、施工手間や足場費用が増えることがあります。
使用する屋根材によっても価格が変わります。
安価な金属屋根材と、断熱材一体型のSGL鋼板製品では、材料費、保証、表面塗装の仕様などが異なります。
「カバー工法一式」という総額だけでなく、屋根面積、使用商品、ルーフィング、板金、足場、保証まで確認することが大切です。
葺き替えは屋根材と下地を根本から見直せます
屋根葺き替え工事では、既存のパミールやカラーベストを撤去し、下にある防水シートと野地板の状態を直接確認します。
傷んだ野地板を補修または交換したうえで、新しい防水シートと屋根材を施工できるため、雨漏りや下地腐食がある屋根に適しています。
古い屋根材や固定釘を建物から撤去できることも、葺き替えの大きなメリットです。
また、既存のスレート屋根を軽量な金属屋根へ替えれば、屋根全体を軽くできる可能性があります。
建物の耐震性は屋根の重さだけで決まるものではありませんが、重い屋根を軽くすることは、建物にかかる負担を減らす一つの方法です。
一方で、葺き替えには既存屋根材の撤去費、処分費、下地補修費が加わります。
30坪前後の住宅では、総額130万円〜210万円程度が一つの目安ですが、アスベストの有無、野地板の交換範囲、屋根形状によっては、それ以上になる場合もあります。
工事中は一時的に屋根材を撤去するため、天候を見ながら防水養生を行う必要があります。
工期はカバー工法より長くなりやすいため、着工時期や雨天時の対応も確認しておきましょう。
カバー工法と葺き替えの判断は、野地板と今後の居住期間で変わります
カバー工法と葺き替えの最も大きな分かれ道は、野地板の状態です。
野地板が健全で、新しい屋根材をしっかり固定できるのであれば、費用を抑えやすいカバー工法が候補になります。
雨漏りや腐食が広がり、野地板の交換が必要であれば、葺き替えを選ぶ方が安全です。
もう一つ考えておきたいのが、今後その家にどのくらい住む予定なのかという点です。
今後20年、30年と住み続ける予定で、将来の再改修や撤去費用まで減らしたい場合は、古い屋根材を撤去する葺き替えが向いていることがあります。
初期費用を抑えながら、屋根の防水性を早めに回復させたい場合は、カバー工法を検討しやすくなります。
価格だけで決めず、下地の状態、将来計画、保証、次回のメンテナンスまで含めて比べましょう。
SGL鋼板を使った金属屋根を選ぶときのポイント
カバー工法や葺き替えで金属屋根を選ぶ場合、SGL鋼板を採用した製品が候補になることがあります。
SGLは、従来のガルバリウム鋼板のめっき組成にマグネシウムを加え、耐食性を高めた鋼板です。
日鉄鋼板の公式情報では、マグネシウムの含有率を2%に調整し、ガルバリウム鋼板と比べて3倍超の耐食性を実現したと説明されています。
ただし、この「3倍超」は試験や曝露評価に基づく鋼板の耐食性能を示すものであり、どの家でも屋根全体が必ず3倍長持ちするという意味ではありません。
実際の耐久性は、海からの距離、屋根勾配、施工方法、切断部の処理、板金の納まり、表面塗膜、定期点検などによって変わります。
詳しい素材の特徴は、日鉄鋼板のSGL公式情報でも確認できます。
断熱材一体型の製品は、暑さや雨音対策の選択肢になります
アイジー工業のスーパーガルテクトや、ニチハの横暖ルーフなどには、金属鋼板の裏側に断熱材を一体化した製品があります。
断熱材が金属板の振動や熱の伝わりを抑えるため、断熱材のない薄い金属板と比べると、暑さや雨音への対策を考えやすくなります。
ただし、商品ごとに断熱材の厚さ、表面塗装、保証条件、施工可能な勾配が異なります。
「SGL鋼板」という素材名だけで比べるのではなく、メーカー名と商品名まで見積書に記載してもらいましょう。
メーカー保証と施工保証は別物です
金属屋根材には、塗膜、変色、赤サビ、穴あきなどに対するメーカー保証が設けられている商品があります。
ただし、保証年数や対象となる症状は商品ごとに異なり、すべての不具合を無条件で直してもらえるわけではありません。
施工ミスによる雨漏りは、屋根材メーカーではなく施工業者側の保証になることが一般的です。
契約前には、次の内容を確認してください。
- メーカー保証の対象と年数
- 施工業者による雨漏り保証の対象と年数
- 台風、地震、飛来物などが免責になるか
- 定期点検やメンテナンスが保証条件に含まれるか
- 工事会社が廃業した場合に利用できる保証があるか
「最長25年保証」とだけ書かれていても、塗膜、赤サビ、穴あき、施工のそれぞれで期間が違うことがあります。
保証年数の大きさだけでなく、何を保証するのかを確認しましょう。
屋根リフォーム費用と見積書の正しい見方
屋根のカバー工法や葺き替えは、100万円前後から200万円を超えることもある大きな工事です。
だからこそ、総額の安さだけで決めるのではなく、必要な工程が含まれているかを確認する必要があります。
見積書に「屋根改修工事一式」としか書かれていなければ、屋根面積、使用材料、防水シート、板金、下地補修の内容を比較できません。
一式表記があること自体が直ちに問題とは限りませんが、主要な材料や工事まで一式だけで済まされている場合は、詳しい内訳を出してもらいましょう。
屋根リフォーム工事費用の主な内訳
| 工事項目 | 費用の目安 | 確認したいポイント |
|---|---|---|
| 仮設足場・飛散防止シート | 15万円〜30万円程度 | 足場面積、単価、飛散防止シート、昇降設備が含まれているかを確認します。「足場代無料」の場合は、ほかの項目へ費用が含まれていないか総額で比べましょう。 |
| 既存棟板金・役物の撤去 | 屋根形状により変動 | 棟、ケラバ、谷、壁際など、どこまで撤去・交換するのかを確認します。 |
| ルーフィング | 7万円〜15万円程度 | 製品名、種類、施工面積、重ね幅を確認します。屋根材だけでなく、防水シートの耐久性も重要です。 |
| 新しい屋根材・本体施工 | 50万円〜90万円程度 | メーカー名、商品名、色、施工面積、平米単価を確認します。「高耐久金属屋根」だけでは商品を比較できません。 |
| 棟・ケラバ・谷・壁際板金 | 15万円〜30万円程度 | 雨漏りが起こりやすい部分です。長さ、材質、下地木材の交換、換気棟の有無を確認します。 |
| 野地板補修・増し張り | 状態と範囲により変動 | カバー工法でも下地補強が必要になる場合があります。見積もり後に追加費用が発生する条件を確認しましょう。 |
| 既存屋根撤去・処分 | 15万円〜40万円程度 | 葺き替え時に必要です。屋根材の種類、アスベストの有無、運搬・処分方法によって費用が変わります。 |
| 諸経費・現場管理費 | 会社ごとに異なる | 交通費、廃材運搬、現場管理、養生など、何が含まれているかを確認します。 |
上記は一般的な目安であり、各項目を単純に合計すれば必ず工事総額になるわけではありません。
屋根面積、形状、下地、使用商品、足場条件などによって、必要な数量と金額は変わります。
相見積もりでは工事条件をそろえて比較します
相見積もりを取っても、各社の使用材料や工事範囲が違えば、総額だけでは比較できません。
一社は断熱材一体型のSGL鋼板、もう一社は断熱材のない金属屋根ということもあります。
また、防水シートの種類、野地板補修、換気棟、雪止め、雨樋の脱着などが含まれている会社と、別途費用になる会社があります。
見積もりを比べるときは、次の項目を横に並べて確認してください。
- 実測した屋根面積
- 屋根材のメーカー名と商品名
- ルーフィングのメーカー名と商品名
- 野地板補修の有無
- 板金と下地木材の交換範囲
- 足場と飛散防止シート
- 雪止め、換気棟、雨樋などの付帯工事
- 工事保証とメーカー保証
- 追加費用が発生する条件
見積書の詳しい確認方法は、屋根カバー工法の見積書の見方・項目・単価・注意点もご覧ください。
極端な値引きや契約を急がせる説明には注意してください
「今日契約すれば50万円値引きします」「この地域のモデル住宅にしたいので足場代を無料にします」と言われると、お得に感じますよね。
しかし、最初の見積金額が適正だったのか、値引き後に必要な工程が削られないのかを確認しなければなりません。
屋根工事は、完成後にルーフィングや固定部分が見えなくなる工事です。
大幅な値引きより、施工面積、材料、工程、保証を明確に説明できる会社を選びましょう。
アップリメイクでも、見積もりは3社以上から取ることをおすすめしています。
私たちへご相談いただいた場合も、他社の見積書と比べながら、工事内容や金額の違いをご説明します。
屋根と外壁を同時施工すると足場を共用できます
補足:外壁のメンテナンス時期も確認しましょう
屋根工事と外壁塗装では、どちらも安全な作業のために足場を使用します。
屋根工事から数年後に外壁塗装を行うと、再び15万円〜30万円程度の足場費用がかかる可能性があります。
外壁にもチョーキング、ひび割れ、シーリングの破断などが見られる場合は、屋根と同時に施工することで足場を一度にまとめられます。
ただし、外壁がまだ健全なのに、足場代だけを理由に必要のない塗装を急ぐ必要はありません。
屋根と外壁それぞれの劣化状態と、次回のメンテナンス時期を比べて判断しましょう。
坪数別の費用や屋根面積による違いは、【坪数別】屋根カバー工法の費用相場と詳しい内訳でも解説しています。
火災保険や補助制度を利用するときの注意点
経年劣化や屋根材自体の不具合は、原則として火災保険の対象外です
火災保険は、火事だけでなく、契約内容によって風災、雹災、雪災などによる建物の損害を補償することがあります。
しかし、年月の経過によって屋根材が劣化した場合や、屋根材の製品特性による剥離、通常のサビ、施工不良などは、原則として保険の対象になりません。
「パミールだから火災保険で無料修理できる」という説明は正しくありません。
保険が適用される可能性があるのは、台風で屋根材が飛散した、強風で棟板金が外れた、雹で屋根材が割れたなど、契約で補償される事故と損傷の因果関係を確認できる場合です。
ただし、同じ台風の後に見つかった損傷でも、保険会社の調査で経年劣化と判断されれば、保険金が支払われないことがあります。
「必ず保険金が出る」と約束する業者とは契約しないでください
保険金を支払うかどうか、支払額をいくらにするかを決めるのは、施工業者ではなく保険会社です。
業者が「絶対に通ります」「自己負担なしで全面改修できます」と断定することはできません。
保険申請を理由に高額な成功報酬を請求したり、自然災害と関係のない損傷を災害被害として申請するよう勧めたりする事業者にも注意が必要です。
自然災害による被害が疑われる場合は、工事契約を結ぶ前に、ご自身で保険会社または代理店へ連絡しましょう。
保険法上、保険金を請求する権利には原則3年の消滅時効がありますが、時間が経つほど災害との因果関係を確認しにくくなります。
被害に気づいたら、期限まで待たず、早めに契約先へ連絡してください。
火災保険と経年劣化の違いについては、火災保険の屋根修理と経年劣化の境界線でも詳しく解説しています。
静岡市では一般的な屋根塗装・雨漏り修理の一律補助はありません
自治体の補助制度についても、「屋根工事なら補助金が使える」と一律に考えない方がよいでしょう。
静岡市は、一般的な外壁・屋根塗装や雨漏り修理を対象とした補助制度を設けていないと案内しています。
一方で、旧耐震住宅の耐震改修、空き家の活用、災害後の応急修理など、別の目的と条件を満たす工事に補助制度が設けられることがあります。
屋根を軽くする工事を行っただけで、自動的に耐震改修補助の対象になるわけではありません。
建物の築年数、耐震診断、補強計画など、制度ごとの要件を確認する必要があります。
最新情報は、静岡市の住宅支援に関する公式案内や、お住まいの自治体窓口で確認してください。
補助制度の多くは、契約や着工より前の申請が必要です。
工事を始めてから問い合わせると対象外になる場合があるため、利用したい制度がある方は、見積もり段階で確認しましょう。
パミール屋根の葺き替え・カバー工法に関するよくある質問
Q1. 図面がなくても、自宅の屋根がパミールか確認できますか?
A. 屋根材の先端が白っぽく層状にめくれている場合や、薄い破片が落ちている場合は、パミールに見られる症状と似ています。
ただし、外観だけで商品名を断定できないこともあります。
建築時の仕様書、見積書、屋根材の刻印などを確認するほか、専門業者による調査を受けてください。
ご自身で屋根へ上ると転落や踏み割れの危険があるため、地上からの確認にとどめましょう。
Q2. パミールはすべて塗装できないのでしょうか?
A. 商品名だけで一律に断定するのではなく、現在の状態を確認する必要があります。
ただし、層状の剥離、広範囲の欠け、屋根材のズレ、固定力の低下が確認される場合は、塗装で十分な耐久性を確保することは難しいでしょう。
表面へ塗料を塗っても、屋根材内部の剥離や基材の強度は回復しません。
塗装を提案された場合は、下地の状態と、屋根材自体が剥離した場合の保証について確認してください。
Q3. 数枚だけ剥がれている場合は、部分補修で済みますか?
A. 局所的な破損で、周囲の屋根材と下地が健全であれば、応急的な部分補修を検討できることがあります。
ただし、屋根全体に同じ劣化が進んでいる場合は、別の場所が次々と剥がれ、補修費や足場代が重なる可能性があります。
部分補修を選ぶ前に、屋根全体の劣化範囲と、補修後にどの程度の期間を見込めるのか説明を受けましょう。
Q4. カバー工法で屋根が重くなり、耐震性が悪くなりませんか?
A. カバー工法では既存屋根の上に新しい屋根を重ねるため、施工前より屋根の重量は増えます。
一方、一般的に使用される金属屋根材は1㎡あたり約5kg前後と軽量で、化粧スレートより軽い製品が多くあります。
ただし、「軽い金属屋根だからどの建物でも問題ない」とは限りません。
建物の構造、屋根面積、既存屋根、下地の状態を確認したうえで、追加荷重に問題がないか判断します。
Q5. カバー工法と葺き替えは、最終的にどちらを選べばよいですか?
A. 最も大きな判断材料は、野地板へ新しい屋根を安全に固定できるかどうかです。
下地が健全で、雨漏りがなく、費用を抑えたい場合はカバー工法が候補になります。
野地板が腐食している場合、雨漏りが続いている場合、すでにカバー工法を行っている場合は、葺き替えを検討します。
今後その家に住む期間や、将来の撤去費用まで含めて選ぶことも大切です。
Q6. 診断を依頼したら、すぐ工事を契約しなければなりませんか?
A. 診断を受けたからといって、その場で契約する必要はありません。
屋根の状態、緊急性、工法、費用を確認し、家族で相談したうえで決めてください。
複数社の見積もりを比べ、疑問点に納得できるまで説明してくれる会社を選びましょう。
当日契約を条件とした大幅値引きを提示された場合も、いったん持ち帰って冷静に検討することをおすすめします。
アップリメイクの無料診断で、塗装・カバー工法・葺き替えを見極めます
パミールをはじめ、剥がれや割れが起きている屋根で最も避けたいのは、屋根材を確認しないまま塗装工事を進めることです。
反対に、「パミールだから必ず葺き替え」と決めつけ、高額な工事を急ぐ必要もありません。
必要なのは、屋根材、固定部分、防水シート、野地板、雨漏りの有無を確認し、ご自宅の状態に合う工事を選ぶことです。
私たちアップリメイクは、1973年の創業以来、静岡で屋根・外壁リフォームに携わってきました。
施工実績は、2026年4月末時点で6,000件を超えています。
無料のお住まい診断では、屋根や外壁の状態を確認し、必要に応じて専用スコープや赤外線サーモグラフィーなども使用します。
調査した箇所は写真に残し、現在どこが傷んでいるのか、すぐに工事が必要なのか、経過観察できるのかを、できるだけわかりやすくお伝えします。
屋根材が塗装できる状態であれば、無理にカバー工法や葺き替えを勧める必要はありません。
反対に、塗装しても長持ちしない状態であれば、その理由を写真とともにご説明し、カバー工法や葺き替えをご提案します。
カバー工法と葺き替えのどちらも可能な場合は、初期費用だけでなく、今後の居住期間、次回のメンテナンス、将来の撤去費用まで考えた複数の選択肢をご案内します。
◆齋藤のワンポイントアドバイス
屋根工事は、完成すると防水シートや固定部分が見えなくなります。
だからこそ、工事前の診断と、工事中の記録がとても大切です。
「まだ工事するか決めていない」「他社の見積もりが適正なのかわからない」という段階でも構いません。
まずは、今の屋根が塗装できる状態なのか、カバー工法が可能なのか、下地から直す必要があるのかを知るところから始めましょう。
不安なまま急いで契約するのではなく、ご自宅にとって必要な工事を納得して選んでいただきたいと私は考えています。
実際の工事内容や仕上がりを確認したい方は、アップリメイクの施工事例も参考にしてください。
担当者の対応や工事後の感想を確認したい方は、お客様の声をご覧いただけます。
屋根材の剥がれ、破片の落下、ひび割れ、雨漏りなど、少しでも気になる症状があれば、被害が広がる前に一度ご相談ください。
診断やお見積もりを受けたからといって、必ず契約していただく必要はありません。
ご自宅の現状を知り、今すぐ行うべきことと、今後計画すればよいことを分けるだけでも、将来の修繕計画を立てやすくなりますよ。
※本記事に記載している費用や工期は、一般的な住宅を想定した目安です。
実際の費用は、屋根面積、勾配、形状、階数、敷地条件、既存屋根材、アスベストの有無、野地板の状態、使用商品などによって異なります。
火災保険の補償内容や自治体の制度も、契約内容や年度によって変わる場合があります。
最終的な施工方法、費用、保険の適用、補助制度については、現地調査を受けたうえで、施工業者、保険会社、自治体などへご確認ください。





