アスファルトシングル屋根の葺き替え:費用相場・耐久性・施工時の注意点

アスファルトシングル屋根の葺き替え費用相場・耐久性・注意点についての解説スライド

こんにちは、株式会社アップリメイク代表取締役の齋藤直樹です。

屋根のリフォームを検討される際、「おしゃれで長持ちする屋根にしたい」「地震に備えて軽い屋根材を選びたい」とお考えではないでしょうか。

近年、デザイン性と機能性の高さから、特に20代〜40代の子育て世代や注文住宅を建てられる方を中心に「アスファルトシングル」という屋根材が非常に高い注目を集めています。

北米では100年以上の歴史があり、戸建て住宅の8割以上で採用されている実績ある素材です。

しかし、高温多湿で台風の多い日本においては「どのようなメリット・デメリットがあるのか」「費用はどれくらいかかるのか」とご不安に思われる方も多いはずです。

本記事では、屋根・外壁塗装の専門家である私の視点から、アスファルトシングルの葺き替え費用や耐久性、そして絶対に知っておくべき施工上の注意点について詳しく解説いたします。

この記事をお読みいただければ、ご自宅の屋根リフォームを成功させるための具体的な道筋が見えてくるはずです。

記事のポイント

  • アスファルトシングル屋根が選ばれる理由と優れた特性
  • 坪数に応じた葺き替え・カバー工法の具体的な費用相場
  • 他の屋根材と比較した耐久年数と適切なメンテナンス周期
  • 雨漏りや飛散を防ぐために不可欠な正しい施工基準と業者選びのポイント

アスファルトシングル屋根の魅力と特徴

アスファルトシングルが人気の理由として、圧倒的な軽さによる耐震性の向上と、高いデザイン性による美しい外観の2点を挙げたスライド

なぜ今、日本国内でアスファルトシングルがこれほどまでに支持されているのでしょうか。

その理由は、現代の日本の住宅事情が抱える「耐震への不安」と、施主様の「デザインへのこだわり」を見事に両立させている点にあります。

優れた耐震性と軽量設計

日本の住宅設計やリフォームにおいて、地震対策は絶対に避けて通れない最重要課題です。

建物の耐震性能を向上させる上で、極めて有効かつ合理的な手段となるのが「屋根の軽量化」です。

物理的な法則として、建物の高い位置にある屋根が重ければ重いほど、建物の重心が高くなり、地震が発生した際に振り子のように揺れが増幅されてしまいます。

この大きな揺れは、建物を支える柱や梁、耐力壁に深刻なダメージを与え、最悪の場合は倒壊のリスクを高める原因となります。

アスファルトシングルは、ガラス繊維(ファイバーグラスマット)を強靭な芯材とし、そこに耐候性に優れたアスファルトをたっぷりと含浸・コーティングしたシート状の屋根材です。

最大の特長はその「圧倒的な軽さ」にあります。

その重量は1平方メートルあたりわずか約10〜13kgしかありません。

日本の伝統的な粘土瓦が1平方メートルあたり約40〜50kgであることと比較すると、実に約5分の1という驚異的な軽さです。

また、現在多くの住宅で普及している化粧スレート(コロニアル等)と比較しても約30%軽量に仕上がっています。

さらに見落とされがちな事実として、化粧スレートは経年劣化によって表面の防水性が失われると、雨水をスポンジのように吸い込んでしまい、新築時よりもはるかに重くなってしまうという弱点があります。

一方、アスファルトシングルは素材そのものがアスファルト層で構成されているため、水を吸って重くなるという現象が起きません。

この「常に一定の軽さを保つ」という性質が、長期間にわたって建物の重心を低く安定させ、地震時の水平荷重による揺れを最小限に抑制する大きな効果を発揮するのです。

◆斎藤のワンポイントアドバイス

私たちアップリメイクが静岡県内で数多くの屋根診断を行ってきた経験からも、1995年の阪神・淡路大震災や2016年の熊本地震を経て、専門家のみならず一般の施主様の間でも「屋根の軽量化」が耐震等級を確保する上で欠かせないという認識が深く定着したと感じています。

アスファルトシングルは軽いだけでなく、シート状で柔軟なため、強烈な地震の揺れや台風時の飛来物の衝突によって「割れる」「砕ける」といった物理的な破損リスクがゼロであることも、ご家族の命と財産を守る上で計り知れない大きな安心材料となります。

高い意匠性と柔軟なデザイン

アスファルトシングルのもう一つの大きな魅力であり、特にデザインにこだわる20代から40代の施主様に圧倒的に支持されている理由が、他の硬質な金属屋根やスレート屋根では到底表現しきれない洗練された意匠性です。

アスファルトシングルの表面には、セラミック焼成された細かな彩色石が隙間なく圧着されています。

この彩色石が、単色ベタ塗りの屋根材にはない、自然で美しいグラデーションと立体感のある深い陰影を生み出します。

太陽の光の当たり方や時間帯によって表情を変えるその質感は、北米の高級住宅街を思わせる洋風の邸宅はもちろんのこと、現代的でモダンな和洋折衷のデザインにも見事に調和します。

また、アスファルトシングルは薄いシート状であるため、極めて柔軟性が高いという施工上の大きなメリットを持っています。

この「曲がる」という特性は、複雑な形状の屋根、例えば多角形の屋根、急勾配の屋根、あるいはドーム状の曲面屋根にも無理なくぴったりと追従して施工できることを意味します。

ガルバリウム鋼板などの金属屋根やスレートでは、屋根の面と面が交わる「谷」や「棟」の部分でどうしても複雑な板金加工が必要になり、そこが雨漏りの弱点になりがちですが、アスファルトシングルであればシームレスに覆うことができるため、意匠性だけでなく防水性の向上にも寄与します。

さらに、デザイン性だけでなく機能的なメリットも備えています。

表面に圧着された無数の石粒が、雨粒が叩きつける衝撃を分散・吸収してくれるため、ガルバリウム鋼板などの金属屋根でよく問題となる「パラパラと響く雨音」が極めて静かです。

また、この石粒のザラザラとした表面摩擦が雪止めのような役割を果たし、金属屋根に比べて雪が滑り落ちにくいという特徴もあります(※ただし、積雪地域では確実な落雪防止のために専用の雪止め金具の設置は必須です)。

デザインの自由度と日々の暮らしの快適性を両立させたい方にとって、まさに理想的な屋根材と言えるでしょう。

葺き替えやカバー工法の費用相場

アスファルトシングルの葺き替え・カバー工法の費用目安と、約20年〜30年という耐久性をまとめた比較スライド

屋根のリフォームにおいて、皆様が最も慎重になられるのが費用の問題だと思います。

いくら優れた素材であっても、適正な価格で施工できなければ意味がありません。

アスファルトシングルを用いた工事には、既存の古い屋根材を完全に撤去して新しい屋根材を張る「葺き替え」と、既存の屋根材を剥がさずにその上から新しい素材を被せる「カバー工法(重ね葺き)」の2種類があり、どちらを選ぶかによって費用構造と総額が大きく異なります。

坪数で見る概算費用の目安

一般的な戸建て住宅(30坪〜50坪程度)をモデルとした場合、アスファルトシングルでの工事費用の概算目安は以下の通りです。

既存の屋根が化粧スレート(コロニアル)や古いアスファルトシングルであり、かつ下地の木材(野地板)の腐朽や激しい傷みが少ない場合は、既存材の撤去費用と莫大な産業廃棄物処分費を丸ごと省くことができるカバー工法(重ね葺き)を選ぶことで、リフォームの総額を大幅に抑えることが可能です。

特に、2004年以前に建築された住宅のスレート屋根には、人体に有害なアスベスト(石綿)が含まれている可能性が非常に高いです。

アスベスト含有屋根材を「葺き替え」で撤去する場合、飛散防止のための特殊な養生や作業手順、そして厳格な産業廃棄物処分が必要となり、処分費だけで数十万円という高額な追加費用が発生してしまいます。

このようなケースでは、アスベストを飛散させずに封じ込めることができるカバー工法が、経済的にも環境的にも最も合理的な選択となります。

延床面積 葺き替え費用(足場込) カバー工法費用(足場込) 備考
20坪(約30〜40㎡) 約80万〜150万円 約60万〜90万円 平屋やコンパクトな2階建
30坪(約45〜60㎡) 約100万〜250万円 約80万〜150万円 最も一般的な標準モデル
40坪(約60〜80㎡) 約130万〜300万円 約100万〜180万円 大型住宅や二世帯住宅
50坪(約75〜100㎡) 約160万〜350万円 約120万〜220万円 屋根形状による変動が顕著

※上記の金額はあくまで一般的な相場に基づく目安です。

屋根の勾配(傾斜)が急な場合や、屋根の形状が複雑で面積が広い場合、また野地板の広範囲な張り替えが必要な場合は、別途費用が加算されます。

また、屋根リフォームには必ず足場代がかかります。

一般的な住宅で足場代は15万円~30万円程度が相場となります。

足場代を一度分節約できるため、外壁と屋根の同時塗装を検討されるのも、トータルコストを大幅に抑える非常におすすめの賢い方法です。

工事項目別の詳細単価と内訳

リフォームの見積書を受け取った際、総額だけを見て高い・安いを判断するのは非常に危険です。

どのような工程に、どれくらいの適正な単価が設定されているのか、内訳を正確に把握しておくことが、悪徳業者を見抜き、施工品質を担保するための最大の防衛策となります。

アスファルトシングルという材料自体は、実は屋根材の中では比較的安価な部類に入ります。

しかし、屋根を長持ちさせるための真の要となる「下地材の補修」や「端部の防水・板金処理」をどこまで丁寧に行うかが、総額と将来の寿命を決定づけます。

まず、「材料+施工単価(5,500〜10,000円/㎡)」は、選ぶアスファルトシングルのグレード(例:標準品か、超高耐久なライフタイムワランティー製品か)によって変動します。

葺き替えの際に発生する「既存屋根撤去・処分(20万〜30万円)」は、先述の通りアスベストの有無で大きく跳ね上がる可能性があります。

そして、見積もりの中で最も目を光らせるべきなのが「高耐久ルーフィング(防水シート:6万〜12万円)」の項目です。

ここをケチって安価なアスファルトルーフィング940などを使用する業者は避けるべきです。

確実にゴムアスファルト系などの高品質なものを指定してください。

さらに見落としがちなのが「棟板金・役物交換(12万〜25万円)」です。

屋根の中で最も過酷な環境に晒され、台風時に一番最初に飛散したり雨漏りの原因となるのは、屋根の面ではなく、頂上(棟)や端っこ(ケラバ・軒先)の板金部分です。

古い板金をそのまま流用せず、防錆性の高い新しいガルバリウム鋼板等でしっかりと役物を交換・新設する費用が含まれているかを必ず確認してください。

もし見積書に「屋根工事一式 〇〇万円」としか書かれていない場合は、これらの重要な工程が省かれているリスクが高いため、必ず詳細な内訳の提出を求めてください。

屋根材の耐久性と寿命の目安

家という大切な資産を守り続ける屋根材ですから、一度施工したらこの先何十年持ってくれるのかは、ライフサイクルコストを考える上で最も重要な指標となります。

かつて日本にアスファルトシングルが導入された初期の頃は、「シートだからペラペラで簡易的な屋根材だろう」という誤ったイメージを持たれた時期もありました。

しかし、現在日本で流通しているアスファルトシングルは、原材料であるアスファルトの改質技術の向上と、ガラス繊維マットの強靭化、そして施工技術の飛躍的な進化により、現代では数ある屋根材の中でもトップクラスの高耐久な選択肢の一つとして確固たる地位を築いています。

各種屋根材との耐用年数比較

アスファルトシングルは、マニュアルに則って適切に施工されれば、約20年から30年という非常に長い期待寿命を持っています。

これは、現在屋根リフォームの主流として広く使われているガルバリウム鋼板にも引けを取らない耐久性です。

他の代表的な屋根材と、それぞれのメリット・デメリットを交えて比較してみましょう。

例えば、日本の住宅で最も多く普及している「化粧スレート(コロニアル)」は、約15〜25年の寿命とされていますが、最大の弱点は素材が硬いために「割れる」ことです。

経年劣化や地震の揺れ、飛来物によって一度割れてしまうと、その隙間から毛細管現象で雨水を吸い上げ、急速に雨漏りへと発展します。

そのため、約10年ごとの定期的な防水塗装が絶対に欠かせません。

一方、アスファルトシングルは柔軟なシート状であるため、物理的に「割れる」という概念がありません。

この「割れない」という特性が、将来的な雨漏りリスクとメンテナンスの負担を劇的に軽減してくれます。

屋根材 期待耐用年数 推奨メンテナンス周期 特徴と弱点
日本瓦 50〜100年 20年(漆喰・ズレ補修) 寿命は最長だが、非常に重く耐震性に不利。漆喰のメンテナンスは必須。
ガルバリウム鋼板 25〜40年 15〜20年(塗装・サビ点検) 非常に軽量だが、傷からのサビに弱く、雨音が響きやすい。断熱性も低い。
アスファルトシングル 20〜30年 10〜15年(点検・接着補強) 錆びない、割れない。雨音が静か。苔対策は必要。
化粧スレート 15〜25年 10年(塗装必須) 最も一般的だが、割れやすく、塗装による防水膜の維持が絶対条件。

さらに注目すべきは、北米のトップメーカーが製造するハイグレード製品の存在です。

例えば、世界的な建材メーカーであるオーウェンスコーニング社の「オークリッジスーパー」などは、二層構造による卓越した耐久性を誇り、施工後10年間の完全保証に加え、条件を満たせば数十年にわたって材料を保証する独自の「ライフタイムワランティー(永久保証)」を謳っています。

このような製品を選定することで、住宅の長期的な資産価値を確実に守り抜くことが可能になります。

経年劣化のサインとメンテナンス

「30年持つなら、その間は何もしなくて良い」というわけではありません。

世の中に完全なメンテナンスフリーの屋根材は存在せず、アスファルトシングルも独自の経年劣化のプロセスを辿ります。

そのメカニズムを正しく理解し、適切なタイミングでケアを行うことが、屋根を長持ちさせる唯一の秘訣です。

劣化は主に、表面の彩色石粒の脱落と、紫外線によるアスファルト成分の酸化硬化によって進行します。

【施工直後〜5年(初期段階)】

施工直後から数ヶ月の間、雨樋にパラパラと色のついた石粒が流れ落ちて溜まっているのを見て、「もう劣化して剥がれてきたのか!」と驚かれるお客様がいらっしゃいます。

しかし、ご安心ください。

これは製造工程で表面に定着しきれなかった「余分な石粒」が雨風で洗い流されているだけの正常な現象であり、製品の品質や防水機能には全く影響ありません。

この時期は、目視でシート自体に大きな剥がれや浮きがないかを確認する程度の軽い点検で十分です。

【10〜15年目(中期段階)】

徐々に表面の石粒の脱落が本格的に進行し、下地のアスファルト層が直接紫外線に晒される機会が増えてくる時期です。

また、日本の高温多湿な気候、特に日当たりの悪い北面や周囲に樹木が多い環境では、石粒の隙間に湿気が滞留し、苔(コケ)や藻が発生しやすくなります。

苔は美観を損なうだけでなく、屋根を常に湿った状態にして劣化を加速させるため、高圧洗浄などの対策が必要になります(これから施工される方は、最初から金属コーティングによる「対藻性能」を持った製品を選ぶことを強く推奨します)。

また、強風でシートの端部に浮きが見られる場合は、これ以上剥がれないように専用の接着剤(シングルセメント)を充填して補強を行います。

【20〜30年目(後期段階)】

長年の紫外線と温度変化により、シート全体のアスファルト成分から油分が抜け、カチカチに硬化して柔軟性が失われます。

こうなると、強風を受けた際にシートがしなって風を逃がすことができず、パリッと千切れて飛散するリスクが一気に高まります。

表面の石粒も広範囲で剥がれ落ち、下地が黒く露出している状態になります。

この時期が寿命のサインであり、次の「カバー工法」または「葺き替え」を検討すべき大規模改修のタイミングとなります。

施工品質を左右する重要な注意点

アスファルトシングルは軽いからこそ、正しい施工基準を守れる業者選びが不可欠であることを説明する注意喚起スライド

アスファルトシングルはカッターで切断でき、釘で打てるという扱いやすさから、一見すると「誰でも簡単に施工できる屋根材」のように見えがちです。

そのため、瓦や板金の専門知識を持たない未熟な業者が安易に手を出してしまい、数年でトラブルを引き起こすケースが後を絶ちません。

しかし実際には、日本の多湿な気候や、毎年のように襲来する猛烈な台風の強風に耐え抜く屋根を作るためには、メーカーが定める極めて厳格な施工マニュアルの遵守が絶対条件となります。

施工の品質こそが、アスファルトシングルの寿命そのものなのです。

規定の釘打ち本数と位置の厳守

アスファルトシングルは1枚約10kg〜13kg/㎡と非常に軽量であるため、そのメリットの裏返しとして、下からの強風による「煽り(負圧で持ち上げられる力)」に弱いという側面を持っています。

そのため、屋根の野地板(下地)に対するシートの固定方法が文字通り「命綱」となります。

固定は、「専用の釘(ルーフィングネイル)」と「接着剤」の併用によって行われます。

メーカーの標準仕様では、幅約1メートルのシングル材1枚に対して、通常は均等に「4本の釘」を打ち込みます。

しかし、海岸沿いの地域や、高台、あるいは台風の通り道となる強風地域(静岡県などもこれに該当します)においては、この標準仕様では不十分です。

必ず1枚に対して「6本の釘」を打ち込む『耐風強化工法(6本打ち)』で施工しなければ、メーカーの耐風圧基準を満たすことができません。

さらに重要なのが「釘を打つ位置」です。

シングル材の表面には「ネイルライン」と呼ばれる、釘を打つべき指定の線が引かれています。

職人は必ずこの線上に、ミリ単位の精度で釘を打ち込む必要があります。

もし釘の位置が高すぎると、重なり合っている下のシートを一緒に貫通して共締めすることができず、強風で簡単にペラッと剥がれてしまいます。

逆に釘の位置が低すぎると、上のシートで隠れるはずの釘の頭が露出してしまい、そこから雨水が侵入して雨漏りの直接的な原因となります。

また、エアネイラー(自動釘打ち機)の空気圧調整を誤り、釘がシートに深くめり込んで突き破ってしまうのも厳禁です。

このように、釘打ち一つとっても職人の確かな技術とモラルが問われるのです。

シングルセメントの正しい使用法

アスファルトシングルの裏面には、「セルフシーラント(自着層)」と呼ばれる特殊なアスファルトのラインがあらかじめ塗布されています。

これは、施工後に太陽光の熱を吸収してドロドロに溶け、上下に重なり合ったシート同士を強力に接着して一体化させるための画期的な仕組みです。

このセルフシーラントがしっかりと機能すれば、強風に煽られてもシートが持ち上がることはありません。

しかし、この自然の熱を利用する仕組みには限界があります。

例えば、気温が低い冬期の施工では太陽の熱が足りず、接着するまでに数ヶ月かかってしまうことがあります。

また、日当たりの悪い北面の屋根や、風が強く吹き抜ける場所、あるいは勾配が急な屋根では、セルフシーラントの力だけでは密着が不十分なまま強風に晒される危険性があります。

そのようなリスクを防ぐために必須となるのが、「シングルセメント」と呼ばれる専用の強力なアスファルト系接着剤による補強です。

軒先やケラバ(屋根の端部)、棟などの風圧を強く受ける場所には、規定の量のシングルセメントを等間隔で点付けし、強制的にシートを圧着させます。

ここで極めて重要なプロの技術は、「接着剤を絶対に塗りすぎない」ということです。

接着剤の量を多くすれば強いと思われがちですが、それは大きな間違いです。

過剰に塗布すると、接着剤に含まれる溶剤の油分がシートのアスファルト成分を溶かし出し、表面にブクブクとした「ブリスター(膨れ)」を引き起こしたり、黒いシミとなって美観を著しく損ないます。

適材適所に「適量」を見極めて塗布する技術こそが、本物の職人の証です。

防水の要となる下葺材の選定

屋根リフォームにおいて、一般の施主様が最も誤解しやすいポイントがあります。

それは「屋根材そのものが雨を防いでいる」という思い込みです。

実は、アスファルトシングルや瓦、金属屋根などの表面の屋根材は「一次防水」に過ぎず、強風を伴う雨や毛細管現象で侵入した雨水を最終的にブロックしているのは、その下に敷き詰められた「ルーフィング(下葺材・防水シート)」と呼ばれる「二次防水」なのです。

つまり、どんなに最高級のアスファルトシングルを選んでも、ルーフィングが粗悪品であれば、数年で必ず雨漏りが発生します。

安価なアスファルトルーフィング940は絶対に避けるべき

アスファルトシングルは、数百本、数千本という無数の釘を屋根に打ち込んで固定する工法です。

そのため、釘が貫通した穴の隙間を塞ぐ「シール性」がルーフィングの品質として絶対に不可欠になります。

見積もりを安く見せるために、昔ながらの安価な「アスファルトルーフィング940」を使用する業者が未だに存在しますが、これは温度変化で硬化して破れやすく、釘穴に密着するシール性も皆無です。

葺き替えの際は、アスファルトにゴムや合成樹脂を配合して柔軟性と止水性を飛躍的に高めた「改質アスファルトルーフィング(通称:ゴムアス)」以上の等級を必ず指定してください。

ゴムアスであれば、釘が刺さった瞬間にギュッと穴の周囲にまとわりつき、水の侵入を強固に防ぎます。

また、カバー工法(重ね葺き)を行う場合は、既存の屋根材にタッカー(ホッチキスのようなもの)で穴を開けて固定することは大変危険です。

裏面全面が強力なシール状になっており、下地にピタッと密着して一切の穴を開けない「粘着層付き改質アスファルトルーフィング」を選ぶことが、製品保証を受けるための必須条件となります。

見積書に潜むリスクと保証の確認

屋根リフォームの見積もりで確認すべき、材料の適切さ、下地(防水シート)の品質、施工後の保証書の3項目をまとめたスライド

これまでの解説でお分かりいただけたように、アスファルトシングルの葺き替え工事で失敗しないためには、業者選びと見積書の見極めが全てと言っても過言ではありません。

単なる「価格の安さ」という目先のメリットだけで業者を選んでしまうと、不誠実な業者や、この屋根材特有の施工ノウハウを持たない業者の見積もりに潜む「隠れたリスク」に気づかず、10年も経たずに高額な再工事を強いられる羽目になります。

まず見積書を受け取ったら、「屋根工事一式 〇〇万円」という大雑把な記載をしていないか確認してください。

優良な業者であれば、必ず使用する材料のメーカー名と製品名、そして数量(㎡数)を明記します。

特に、前項で解説した「ルーフィングの銘柄と等級(改質アスファルト以上か)」が明記されているかは、その業者の防水に対する意識レベルを測る重要なリトマス試験紙となります。

また、屋根を剥がしてみないと分からない「野地板(下地の木材)の腐朽」が見つかった場合の対応についても、事前に確認が必要です。

誠実な業者は、万が一補修が必要になった場合の予備費の単価をあらかじめ提示してくれます。

さらに、既存の棟板金やケラバ板金といった金属の「役物(やくもの)」を、錆びた古いまま再利用するのではなく、新しくガルバリウム鋼板等で交換する費用が含まれているかも重要です。

そして最後に、最も確実な安心の担保となるのが「メーカーの認定施工店制度」です。

例えばオーウェンスコーニング社などは、独自の技術研修を修了した業者にのみ認定証を発行しています。

このような認定施工店に依頼することで、正しい工法(6本打ちや適切な接着剤の使用)が遵守されるだけでなく、万が一製品に不具合があった場合でも、メーカーが約束する数十年の長期製品保証を確実に受けることができます。

見積もりの段階で、「メーカーの認定施工店ですか?」「メーカー保証はつきますか?」と必ず質問するようにしてください。

アスファルトシングル屋根の葺き替えに関するよくある質問(FAQ)

Q1. アスファルトシングルとガルバリウム鋼板、プロから見て結局どちらが良いのでしょうか?

A. 結論から申し上げますと、お客様が「日々の暮らしの中で何を最も重視されるか」によります。

屋根材としての絶対的な耐久性の長さ(サビさえ防げば40年持つ)や、究極の軽さを求めるのであればガルバリウム鋼板が優位です。

しかし、「大雨の日に天井からパラパラと雨音が響くのがどうしても嫌だ」「夏場、金属屋根特有の焼け付くような熱気を避けたい」「洋風住宅の雰囲気に合わせた、温かみのあるおしゃれな質感が良い」という快適性やデザイン性を重視する方には、石粒が雨音を吸収し、断熱効果も期待できるアスファルトシングルを強くおすすめします。

Q2. シート状なので、台風などの強風でビリビリに破れて飛んでいってしまうという話を聞いて心配です。

A. そのご心配は非常によくわかります。

確かに、ひと昔前の粗悪な製品や、知識のない業者が標準仕様のまま(釘の本数が足りない等)手抜き工事を行った屋根では、強風で剥がれる事例が存在しました。

しかし現在では、製品裏面のセルフシーラントの性能向上に加え、専用の強力な接着剤(シングルセメント)の適切な箇所への塗布、そして強風地域向けの「6本釘打ち工法」を徹底することで、風速50m/sの過酷な試験にも合格する非常に高い耐風性能を発揮します。

つまり、「素材が風に弱い」のではなく、「正しい施工をしていないから飛ぶ」のです。

適切な施工知識を持つ認定施工業者を選ぶことが、風害を防ぐ全てと言えます。

Q3. 今回アスファルトシングル屋根に葺き替えたとして、20年後や30年後に寿命が来た際、その上から将来またカバー工法はできますか?

A. はい、可能です。

これはアスファルトシングルの隠れた大きなメリットの一つです。

アスファルトシングルは1枚が非常に薄く、かつ軽量であるため、将来的に経年劣化が進んだ際でも、既存のアスファルトシングルを剥がすことなく、その上からさらに新しいアスファルトシングルを重ねて張る「カバー工法(重ね葺き)」が容易に行えます(※建物の構造や下地の状態によります)。

これにより、将来のメンテナンス時にも莫大な解体・処分費用を削減でき、ライフサイクルコストを大幅に抑えることができます。

将来の不確実性に対する備えとして、非常に優れた選択肢です。

Q4. 表面がザラザラしているので、苔(コケ)や藻が生えやすいと聞いたのですが、防ぐ対策はありますか?

A. ご指摘の通り、日本の高温多湿な気候において、特に日当たりの悪い北面や、周辺に木々が多く風通しの悪い環境では、表面の石粒の隙間に湿気が滞留し、数年で苔や藻が発生してしまうリスクがあります。

これを防ぐための有効な対策として、葺き替えの材料選びの段階で、オーウェンスコーニング社の「オークリッジスーパー」のような、彩色石の表面に銅などの金属をコーティングして藻や苔の繁殖を化学的に抑える「対藻性能」を付与されたハイグレード製品を選ぶことを強くおすすめしています。

初期費用は少し上がりますが、長期的な美観の維持と劣化防止の観点からは、非常にコストパフォーマンスの高い投資となります。

専門家による屋根の無料診断へ

費用・耐久性・施工品質を丁寧に説明する専門業者選びを推奨し、無料相談を促すまとめのスライド

ここまで長文にお付き合いいただき、誠にありがとうございます。

本記事を通じて、アスファルトシングルという屋根材が、現代の日本住宅に求められる「耐震性(圧倒的な軽量化)」「耐久性(長寿命・割れない)」「デザイン性(美しさと静音性)」のバランスを極めて高いレベルで満たしている素晴らしい素材であることをご理解いただけたかと思います。

これから何十年にもわたって大切なご家族と住まいを守っていくために、初期費用を抑えつつ、将来の「割れ」や「錆」といったストレスから解放されるメリットは計り知れません。

◆斎藤のワンポイントアドバイス

しかし、どんなに優れた屋根材であっても、それを活かすも殺すも「事前の正確な診断」と「職人の確かな施工技術」次第です。

ご自身の家が、費用を抑えられるカバー工法に向いているのか、それとも下地の補修からやり直す葺き替えが必須なのか。

それは、地上から双眼鏡で眺めたり、ドローンで表面だけを撮影するような簡易的な調査では決して見抜くことはできません。

私たちアップリメイクでは、現場からのたたき上げであるプロの職人が必ず実際に屋根に上り、足の裏の感覚で下地の強度を確かめます。

さらに必要に応じて屋根裏まで入り込んで、雨漏りの兆候や野地板の裏側のシミまで徹底的に調査する徹底した屋根診断をポリシーとして行っています。

30倍スコープで微細な劣化を捉え、赤外線サーモグラフィーカメラで壁内部の異常を可視化し、難解な雨漏りには散水調査で侵入経路を特定します。

現状を正確に把握することこそが、無駄な工事を防ぎ、10年後、20年後に「アップリメイクに頼んで本当に良かった」と思っていただける唯一の道だと信じているからです。

「我が家の屋根は今どういう状態なのか」「アスファルトシングルでリフォームしたらいくらになるのか」「一度しっかり、本物のプロの目で見て判断してほしい」とお考えの方は、ぜひ株式会社アップリメイクの無料診断をご活用ください。

弊社には、豊富な知識と高度な技術を有することを証明する国家資格「1級建築塗装技能士」が11名(静岡県内トップクラス)在籍しております。

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あなたの大切な住まいの未来を、私たちが培ってきた確かな技術と、嘘のない誠意で全力でお守りいたします。

まずはお気軽にご相談いただき、お住まいの「本当の健康状態」を知ることから始めてみませんか。

※本記事に記載している費用相場や耐用年数は、あくまで一般的な条件下における目安となります。

お客様のお住まいの実際の劣化状況、屋根の形状や勾配、そして周辺の気象環境によって、最適な工法やプラン、最終的なお見積り金額は変動いたします。

ご自宅にとっての正確な情報と最善の選択肢を知るためには、必ず専門家による現地調査(無料診断)をご利用いただき、納得いくまでご相談の上で最終的なご判断をお願いいたします。

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齋藤直樹

(株)アップリメイク代表取締役で元職人、塗装という仕事が大好きです。人生の大きな挫折と数多くの出会いを経て今は大好きな地元・静岡で、お客様の笑顔のために仕事ができることに何よりの誇りを感じています。

▼保有資格▼
1級建築塗装技能士・2級建築施工管理技士・有機溶剤作業主任者・高所作業主任者・2級カラーコーディネーター・光触媒施工技能士・乙4類危険物取扱者・ゴンドラ特別教育・職長・安全衛生責任者・第2種酸素欠乏危険作業主任者・宅地建物取引主任者・2級ファイナンシャルプランニング技能士・AFP