こんにちは、株式会社アップリメイク代表取締役の齋藤直樹です。
ご自宅の周りを歩いているときに、雨樋の金具が外れていたり、縦に伸びるパイプの一部が割れていたりすることに気づくと、不安になりますよね。
「壊れているのは一部分だけなのに、雨樋を全部交換しなければいけないのかな」
「金具やエルボだけなら、数千円くらいで直せるのでは?」
「業者に見積もりを頼んだら、部品交換なのに十数万円と言われた。これは高すぎない?」
こうした疑問をお持ちの方は、とても多いと思います。
先に結論をお伝えすると、雨樋は金具、ジョイント、エルボ、集水器、縦樋、ジャバラなど、壊れた部品だけを交換できる場合があります。
ただし、部品そのものが数千円であっても、作業場所の高さ、足場の必要性、既存部品の規格、周囲の劣化状態によって、見積もり総額は大きく変わります。
雨樋は、屋根に降った雨水を受け止め、外壁や基礎に大量の水が流れ落ちないよう、安全な場所まで排水するための大切な設備です。
小さな割れや金具の外れであっても、放置して雨水が同じ場所へ流れ続けると、外壁の汚れやコケだけでなく、軒天、鼻隠し、外壁材、シーリング、基礎まわりなどの劣化を早める原因になります。
とはいえ、少し壊れただけで、すぐに雨樋全体を交換する必要があるわけでもありません。
大切なのは、目に見えている部品だけを見て決めるのではなく、雨樋全体の勾配、金具の固定状態、ほかの継ぎ目の劣化、部品の適合性まで確認したうえで、部分交換と全交換のどちらが適切かを判断することです。
この記事では、雨樋の部品ごとの交換費用をはじめ、部分交換で済む条件、全交換を検討した方がよい症状、足場代で総額が高くなる理由、見積書の確認方法まで詳しくお伝えします。
「今すぐ直すべきなのか」「外壁塗装まで待っても大丈夫なのか」についても解説しますので、ご自宅に合った修理方法を判断するためにお役立てください。
記事のポイント
- 雨樋の部品だけを交換できる条件と、部分交換では直りにくい症状
- 金具、ジョイント、エルボ、集水器、縦樋、ジャバラの交換費用目安
- 数千円の部品交換でも見積もり総額が高くなる理由
- 足場が必要な工事と、部分足場などで対応できる可能性がある工事の違い
- 部分交換と全交換で迷ったときに確認したい判断基準
- 外壁塗装との同時施工や火災保険で負担を抑える際の注意点
雨樋は壊れた部品だけを部分交換できる
まず、お客様からよくご相談いただく「壊れた部品だけを交換できるのか」という疑問からお答えします。
結論として、破損している範囲が限定され、既存の雨樋に適合する部品を用意できる場合は、金具やパイプなどの壊れた部分だけを交換できます。
例えば、次のような症状です。
- 自転車や物がぶつかり、1階の縦樋だけが割れた
- 金具が1個だけ外れたものの、周囲の金具や雨樋本体には大きな劣化がない
- ジョイントの接着が外れ、一箇所から水が漏れている
- 飛来物によってエルボだけが割れた
- 集水器に局所的な割れがあり、軒樋や縦樋は使用できる
地上から安全に作業でき、適合部品も入手できる軽微な修理であれば、1万円〜数万円程度で対応できることがあります。
ただし、ここで注意していただきたいのが、「部品が1個壊れているように見えること」と「本当にその部品だけ交換すれば直ること」は同じではないという点です。
雨樋は、軒樋、縦樋、集水器、継ぎ手、金具が一つにつながり、屋根全体の雨水を排出しています。
金具が外れたことで軒樋の傾きが変わっていたり、ほかの継ぎ目にも紫外線による劣化が進んでいたりすれば、壊れた部品だけを交換しても水漏れやあふれが再発するかもしれません。
目の前の破損だけでなく、雨樋全体を見て判断することが大切ですよ。
部分交換で済みやすいケース
次の条件がそろっている場合は、全交換をせず、部分交換で対応できる可能性が高くなります。
| 確認する項目 | 部分交換で済みやすい状態 |
|---|---|
| 破損している範囲 | 金具1個、エルボ1個、縦樋の一部分など、破損箇所が限定されている |
| 周囲の雨樋 | 触れても極端に硬化しておらず、割れや変形が広がっていない |
| 水の流れ | ほかの場所に水たまりや逆勾配がなく、集水器まで流れている |
| 既存部品の規格 | 同じメーカーや同じ形状の適合部品を入手できる |
| 支持金具 | 周辺の金具に著しいサビ、曲がり、脱落がない |
| 作業場所 | 1階など、安全な作業方法を確保しやすい場所にある |
こうした状態であれば、必要な範囲だけを直すことで、費用を抑えながら雨樋の機能を回復できるでしょう。
部分交換より全交換を検討した方がよいケース
一方で、次のような症状がある場合は、一箇所だけを直し続けるよりも、一面交換や全交換を検討した方が結果的に負担を抑えられることがあります。
- 軒樋が広い範囲で波打っている
- 複数のジョイントやコーナーから水が漏れている
- 金具のサビや曲がりが何箇所にも見られる
- 雨樋を軽く押しただけでパリッと割れそうなほど硬化している
- 適合する部品が廃番で入手できない
- 一箇所を直しても、別の場所から短期間で水漏れが起きている
- 雨水が集水器とは反対方向へ流れている
- 外壁塗装や屋根工事のために足場を設置する予定がある
特に、雨樋全体が紫外線で硬くなっている場合は注意が必要です。
古い部分に新しい部品をつなごうとした際、接続作業の力で周囲の雨樋まで割れてしまうことがあります。
その場合、当初予定していた一箇所の修理だけでは済まず、交換範囲が広がる可能性もあります。
部分交換か全交換かで迷ったときは、金額だけではなく、「修理後にあと何年使えそうか」まで確認して判断すると、後悔しにくいかなと思います。
雨樋の部品交換費用を一覧で確認
雨樋は、一本の長い筒だけでできているわけではありません。
屋根から雨水を受ける軒樋、地上へ流す縦樋、方向を変えるエルボ、水を集める集水器、雨樋を固定する金具など、さまざまな部品が組み合わされています。
まずは、主な部品の交換費用を一覧で見てみましょう。
| 部品 | 部分交換費用の目安 | 注意点 |
|---|---|---|
| 支持金具・でんでん | 1箇所2,000円〜5,000円程度 | 外壁や鼻隠し側の補修、防水処理が必要になる場合があります。 |
| ジョイント・継ぎ手 | 1箇所3,000円〜5,000円程度 | 周辺の雨樋が硬化していると、交換範囲が広がることがあります。 |
| コーナー・曲がり | 1箇所3,000円〜1万円程度 | 周辺部材も含めると、5,000円〜2万円程度になる場合があります。 |
| エルボ | 1箇所3,000円〜5,000円程度 | 内部の詰まりや接続先の縦樋も確認する必要があります。 |
| 縦樋・パイプ | 1mあたり3,000円〜7,000円程度 | 控え金具、接続部、撤去処分費が加わる場合があります。 |
| 集水器 | 1箇所3,000円〜8,000円程度 | 詰まりが原因の場合は、軒樋や縦樋内部の清掃も必要です。 |
| 角ジャバラ・丸ジャバラ | 1箇所数千円〜1万円程度 | 形状、サイズ、色、接続方法によって適合部品が異なります。 |
上記は、部品とその周辺の交換作業を想定した一般的な目安です。
実際の見積もりには、現地までの出張費、最低工事費、既存部品の撤去処分費、養生費、周辺の補修費などが加わることがあります。
そのため、「金具1個が2,000円なら、見積もりも2,000円で済む」というわけではありません。
また、2階以上の高所で足場が必要になれば、部品交換費とは別に15万円〜30万円程度の足場代が発生することがあります。
雨樋全体を交換する場合の費用やm単価については、雨樋交換の費用とm単価を詳しく解説した記事も参考にしてください。
雨樋金具・でんでんの交換費用と役割
雨樋を支えているのが「支持金具」です。
屋根の軒先に取り付ける軒樋には、上から吊るす吊り金具や、下側から支える受け金具があります。
外壁に沿って縦方向へ伸びる縦樋には、パイプを固定する控え金具が使われます。
縦樋の周囲をリング状に囲み、外壁へ固定する金具は、現場で「でんでん」と呼ばれることもあります。
| 費用相場の目安 | 1箇所あたり2,000円〜5,000円程度 |
|---|---|
| 主な劣化原因 | サビ、経年劣化、積雪、強風、雨樋への衝撃、固定部分の緩み |
| 確認したい周辺部分 | 鼻隠し、外壁、ビス穴、雨樋の勾配、隣接する金具 |
金具が曲がったり外れたりすると、雨樋が本来の位置よりも下がり、水の流れが変わります。
雨樋は見た目には水平に近く見えますが、集水器へ水を流すため、わずかな傾きを付けて設置されています。
金具が1個外れただけでも、その周辺に水がたまり、雨樋が重くなって隣の金具に負担が移ることがあります。
そのままにすると、金具が順番に曲がったり、軒樋が大きく変形したりすることもあるため注意が必要です。
外壁に固定されている控え金具が抜けかかっている場合は、固定穴まわりも確認しなければなりません。
穴から雨水が入り込めば、外壁材や下地を傷める一因になります。
金具だけを交換する場合でも、新しい金具を取り付けて終わりではなく、固定部分の状態を確認し、必要に応じて適切な防水処理を行うことが大切です。
また、金具の材質は、ステンレス製、亜鉛めっき製、樹脂被覆されたものなどさまざまです。
耐食性の高い金具が向いていることもありますが、既存の雨樋、鼻隠しの材質、海沿いかどうか、積雪の影響を受けるかどうかによって適した製品は変わります。
単に「一番高い金具」を選ぶのではなく、住宅の条件に合ったものを選びましょう。
◆齋藤のワンポイントアドバイス
金具が1個だけ外れている場合でも、その金具だけを見て判断しないことが大切です。
周囲の金具が同じ時期に取り付けられているなら、ほかの部分も同じように劣化している可能性があります。
現地調査では、金具のサビ、固定の緩み、軒樋の高さ、雨水の流れる方向まで一緒に確認してもらってください。
ジョイント・コーナーの交換費用
雨樋は、工場で作られた一定の長さの部材を、住宅の形に合わせて現場でつないで施工します。
直線同士をつなぐ部品が「ジョイント」や「継ぎ手」、建物の角で方向を変える部品が「コーナー」や「曲がり」です。
これらの接続部分は、雨樋の中でも水漏れが起こりやすい場所です。
| 費用相場の目安 |
ジョイント:1箇所3,000円〜5,000円程度 コーナー:1箇所3,000円〜1万円程度 周辺部材の交換を含む場合:5,000円〜2万円程度 |
|---|---|
| 主な劣化原因 | 紫外線、温度変化、接着剤の劣化、雨樋の伸縮、台風や積雪による変形 |
住宅でよく使われている塩化ビニル製の雨樋は、気温によってわずかに伸び縮みします。
夏の強い日差しで温められ、冬の冷え込みで収縮する動きを何年も繰り返すうちに、接続部の接着が弱くなったり、部品にひびが入ったりします。
そこへ、雪の重み、強風、雨樋の勾配不良などによる負荷が加わると、ジョイントが外れ、水が漏れることがあります。
継ぎ目からポタポタと落ちる程度であっても、同じ場所へ水が流れ続けると、外壁に泥が跳ね、コケやカビが発生しやすくなります。
玄関付近や通路の上で漏れている場合は、雨の日に足元が滑りやすくなることもあります。
ジョイント交換では、既存の雨樋と同じ形に見える部品なら何でも使えるわけではありません。
メーカー、商品シリーズ、サイズ、接続溝の形などが合わなければ、十分な水密性を確保できないことがあります。
ホームセンターで似た部品を購入し、無理に接着するのは避けた方が安心です。
縦樋のエルボ・パイプ交換にかかる費用
屋根の軒先で集めた雨水を、外壁に沿って地上へ流すパイプが「縦樋」です。
軒先から外壁側へパイプを近づけたり、建物の形に合わせて方向を変えたりするL字型の部品を「エルボ」といいます。
| 費用相場の目安 |
エルボ:1箇所3,000円〜5,000円程度 縦樋:1mあたり3,000円〜7,000円程度 短い区間の交換:1万円前後からになる場合があります |
|---|---|
| 主な破損原因 | 飛来物、自動車や自転車の接触、強風、固定金具の緩み、内部の詰まり、凍結 |
縦樋は、軒樋よりも低い位置まで伸びているため、自動車、自転車、物置、庭道具などが接触して割れることがあります。
台風時に飛んできた枝や物がぶつかり、パイプがへこんだり、縦に亀裂が入ったりするケースもあります。
縦樋が割れると、大雨の際に亀裂から水が噴き出し、外壁の一部分だけが集中的に濡れ続けます。
1階の手が届く場所にある破損で、上下のパイプが使用できる状態なら、割れた区間だけを切り取り、新しいパイプへ交換できることがあります。
ただし、縦樋の交換では、パイプだけでなく、外壁へ固定する控え金具も確認してください。
金具が緩んで縦樋全体が揺れている場合、パイプだけを新しくしても再び接続部へ負担がかかります。
エルボは、水と一緒に流れてきた落ち葉や泥が引っかかりやすい部分です。
内部が詰まると、水が流れにくくなり、接続部からあふれたり、縦樋の上部へ逆流したりします。
寒い時期に内部へ水が残れば、凍結と膨張によって部品が割れる可能性もあります。
エルボを交換するときは、割れた部品だけでなく、上流側の集水器と下流側の縦樋に詰まりがないかも確認してもらいましょう。
集水器の交換費用と詰まりの危険性
集水器は、軒樋を流れてきた雨水を一箇所に集め、縦樋へ送り込む部品です。
「じょうご」と呼ばれることもあり、雨樋全体の水が集まる重要な場所です。
費用相場の目安:1箇所あたり3,000円〜8,000円程度
集水器は上部が開いているため、雨水だけでなく、落ち葉、土、砂、小枝、鳥が運んだ草なども集まりやすくなります。
集水器や、その直下にあるエルボが詰まると、雨水を縦樋へ流せなくなり、軒樋から大量の水があふれるオーバーフローが起こります。
雨の日に、集水器の周辺から滝のように水が落ちている場合は、詰まりや破損を疑ってください。
あふれた水が軒天や外壁に繰り返し当たると、塗膜、シーリング、外壁材の劣化を早めます。
地面へ大量の水が落ち続ければ、泥はねや基礎まわりの湿気も増えてしまいます。
集水器が割れている場合は交換が必要ですが、詰まりだけであれば、清掃によって改善できることもあります。
そのため、いきなり交換を決めるのではなく、まず内部の状態を確認することが大切です。
周囲に落葉樹が多く、毎年詰まりが起きる住宅では、落ち葉よけネットを検討する方法もあります。
ただし、ネット自体に落ち葉が積もると水の流れを妨げる場合があるため、設置後も点検や清掃は必要です。
角ジャバラ・丸ジャバラの交換費用
外壁に凹凸がある住宅や、1階と2階の間に段差がある住宅では、硬いエルボだけでは縦樋をつなげにくいことがあります。
そのような場所で使われるのが、曲げたり伸ばしたりできる蛇腹状の接続部品です。
費用相場の目安:1箇所あたり数千円〜1万円程度
雨樋には、断面が丸い丸樋と、四角に近い形状の角樋があります。
接続するジャバラも、既存の雨樋に合わせて丸型と角型を選ばなければなりません。
同じ角型でも、メーカーや商品シリーズによって縦横の寸法や接続方法が異なります。
角樋は排水容量の大きい製品もありますが、「角樋だから必ず丸樋より多くの水を流せる」とは限りません。
実際の排水能力は、雨樋の幅や深さ、縦樋の太さ、集水器の数、屋根面積などによって決まります。
ジャバラは柔軟に動かせる一方、直射日光を受け続けると硬くなり、蛇腹の谷部分から裂けることがあります。
裂けた部分から水が噴き出している場合は、補修テープで長期間持たせるのではなく、適合する部品への交換を検討しましょう。
部品代が数千円でも見積もり総額が高くなる理由
ここまでの費用表を見ると、「部品が数千円なら、1万円くらいで直せるのでは」と思いますよね。
ところが、実際に業者へ見積もりを依頼すると、数万円、場合によっては15万円以上になることがあります。
その差は、部品代以外に必要となる費用から生まれます。
高所作業では足場などの安全設備が必要になる
雨樋の部品交換費用を大きく左右するのが、作業場所の高さです。
1階の低い位置にある縦樋で、安全に作業場所へ近づける場合は、建物全体を囲う足場を設置せずに対応できることがあります。
一方、2階の軒先、屋根の近く、建物の角などで作業する場合は、職人の安全と施工品質を確保するため、足場が必要になるケースが多くなります。
労働安全衛生規則では、高さ2メートル以上の場所で、墜落によって労働者へ危険を及ぼすおそれがある場合、足場を組み立てるなどして作業床を設けることが原則とされています。
作業床を設けることが困難な場合には、防網や墜落制止用器具など、別の墜落防止措置を講じる必要があります。
法律上、どのような小工事でも必ず建物全体を囲う足場が必要というわけではありません。
ただし、雨樋の交換では、部品の取り外し、切断、接着、金具の固定、勾配調整などを両手で行う必要があります。
横方向へ移動しながら作業することも多いため、はしごに乗ったまま無理な姿勢で施工するより、安定した作業床を設けた方が安全性と施工精度を確保しやすくなります。
厚生労働省の規定について確認したい方は、労働安全衛生規則の関係法令資料もご確認ください。
一般的な2階建て住宅を囲う足場の費用は、15万円〜30万円程度が一つの目安です。
建物の大きさ、3階建てかどうか、敷地の狭さ、道路使用の有無、足場の形状などによって金額は変わります。
そのため、2階のジョイント1個を交換する工事でも、足場が必要になれば、部品代より足場代の方が高くなることがあります。
これが、「数千円の部品なのに、なぜ見積もりが十数万円になるのか」という疑問の大きな理由です。
「足場代無料」という表示だけで判断しないでください
足場代無料と表示されているからといって、その業者が直ちに違法というわけではありません。
キャンペーンとして会社側が負担していたり、工事全体の費用に含めて表示していたりすることもあります。
ただし、足場の組み立て、解体、運搬、点検には実際の費用がかかります。
無料と表示されている場合は、別の項目へ費用が上乗せされていないか、必要な安全設備が省かれていないか、見積書の総額と工事内容を確認してください。
2階の雨樋修理と足場の考え方については、雨樋修理の費用相場と足場の有無を解説した記事でも詳しく紹介しています。
部分足場や高所作業車で対応できる場合もある
雨樋の一部修理だからといって、必ず建物全体へ足場を設置するとは限りません。
破損箇所が建物の一面だけにあり、周囲に安全な設置場所が確保できる場合は、その面だけに部分足場を設けられることがあります。
道路や駐車場から作業場所へ接近できる住宅では、高所作業車を利用できる場合もあります。
ただし、高所作業車には車両費、オペレーター費、道路使用や誘導員などの費用が必要になることがあります。
敷地が狭い、電線が近い、植栽やカーポートがある、道路から届かないといった条件では使用できません。
「部分修理だから足場は不要」と最初から決めつけるのではなく、全面足場、部分足場、高所作業車のどれが安全で費用にも無駄がないか、現地で比較してもらうとよいでしょう。
廃番部品では周辺の雨樋まで交換することがある
見積もり総額が上がるもう一つの理由が、既存部品の廃番です。
雨樋には、メーカー、商品名、形状、幅、深さ、色など、多くの違いがあります。
古い住宅では、現在使われている雨樋と同じ部品がすでに製造されていないことがあります。
見た目が似ている部品でも、接続部分が数ミリ違えば、しっかりとはめ込めず、水漏れにつながる可能性があります。
接着剤やコーキング材を大量に使い、異なる規格の部品を無理につなぐ方法は、長期的な修理として適切とはいえません。
適合するジョイントやコーナーが見つからない場合は、その部品につながる一面分の軒樋を現在の製品へ交換しなければならないことがあります。
一面だけ現在の規格へ変えることで、将来の部品交換がしやすくなる場合もあります。
見積もりを確認するときは、「部品が廃番だから全交換です」という説明だけで終わらせず、次の点を聞いてみてください。
- メーカーと商品名を確認したか
- 代替部品や後継品がないか調べたか
- 一面交換では対応できないのか
- 全交換が必要となる具体的な理由は何か
- 既存部材を残す場合、どの程度使用できそうか
調査の根拠を写真や部品の寸法と一緒に説明してくれる業者なら、納得して判断しやすくなります。
雨樋全体の勾配調整が必要になることがある
雨樋は水平に取り付けられているように見えますが、雨水を集水器へ流すため、わずかな勾配を付けています。
必要な勾配は、雨樋の製品、長さ、集水器の位置、屋根面積などによって異なります。
一般には、長い距離の中で数センチ程度の高低差を設けるため、目で見ただけでは判断しにくいほど小さな傾きです。
雪の重みや強風によって金具が曲がると、軒樋の一部分だけが下がり、そこへ水がたまります。
壊れた金具を新品へ交換しても、周囲の金具の高さがずれたままでは、正常な水の流れに戻らないことがあります。
その場合は、水糸や水平器などを使い、複数の金具の高さを調整し直す作業が必要です。
部品交換の見積もりに「勾配調整」や「金具調整」が含まれている場合は、どの範囲を調整するのか確認してください。
作業範囲が明確であれば、単に部品代を高く請求されているのではなく、再発を防ぐための施工費であることがわかります。
最低工事費や撤去処分費も総額に含まれる
小さな部品交換でも、職人が現地へ移動し、道具を準備し、安全確認を行って施工する必要があります。
そのため、施工会社によっては「最低工事費」や「出張費」が設定されています。
古い部品を取り外した場合は、撤去した雨樋や金具を持ち帰り、適切に処分する費用も必要です。
見積書に次の項目がある場合は、金額だけを見るのではなく、何が含まれているかを確認しましょう。
- 現場調査費
- 出張費
- 最低工事費
- 既存部品の撤去費
- 廃材の運搬・処分費
- 養生費
- 諸経費
項目があること自体が問題なのではありません。
「諸経費一式」とだけ書かれ、内容を尋ねても説明してもらえない場合には注意が必要です。
雨樋の見積書で確認したい7つの項目
雨樋修理は、同じ「部品交換」という名前でも、施工範囲によって金額が変わります。
複数社から見積もりを取ったときは、総額だけではなく、次の7項目を比較してください。
| 番号 | 確認項目 | 見るポイント |
|---|---|---|
| 1 | 交換する部品名 | 金具、エルボ、集水器、縦樋など、具体的な名称が記載されているか |
| 2 | 数量と長さ | 何箇所、何本、何メートルを交換するのか明確か |
| 3 | メーカーと製品 | 既存部品との適合性や、新しく使用する製品がわかるか |
| 4 | 足場の範囲 | 全面足場か部分足場か、メッシュシートを含むか |
| 5 | 付帯作業 | 撤去処分、詰まり清掃、勾配調整、防水処理が含まれているか |
| 6 | 追加費用の条件 | 施工中に劣化が見つかった場合、勝手に追加工事を行わない仕組みになっているか |
| 7 | 保証と確認方法 | 施工後の水漏れに対する対応や、完了確認の方法が明確か |
特に気をつけたいのが、「雨樋修理一式」とだけ書かれた見積書です。
一式表記がすべて悪いわけではありませんが、交換する部品や数量がわからなければ、ほかの会社と比較できません。
アップリメイクでは、お客様に後悔してほしくないという考えから、見積もりは3社以上から取ることもおすすめしています。
価格だけでなく、診断内容、工事範囲、使用部材、保証、説明のわかりやすさまで比べてみてください。
雨樋のDIY修理は作業する高さと内容で判断する
足場代が高いと聞くと、「ホームセンターで部品を買って自分で直そう」と考える方もいらっしゃるでしょう。
ただ、雨樋のDIYは、作業内容よりも「作業する高さ」が大きな問題になります。
地上から安全にできる範囲
地面に立ったまま確認できる場所であれば、次のような対応ができる場合があります。
- 縦樋の表面に割れやへこみがないか目視する
- 地上付近の排水口まわりにある落ち葉を取り除く
- 雨の日に水漏れしている場所を安全な位置から撮影する
- 外れた部品や破片を保管する
- 業者へ状況を伝えるため、メーカー名や形状を確認する
ただし、地上付近であっても、部品を切断したり、外壁へ穴を開けたりする修理は慎重に判断してください。
既存の保証へ影響する場合や、適合しない部品を使って水漏れを悪化させる場合があります。
専門業者へ任せた方がよい範囲
次の作業は、転落や施工不良の危険が高いため、専門業者へ依頼してください。
- 脚立やはしごに乗らなければ届かない場所の修理
- 2階以上の軒樋、集水器、エルボの交換
- 金具の高さを変える勾配調整
- 外壁や鼻隠しへ新しい金具を固定する作業
- 軒樋や縦樋を切断してつなぎ直す作業
- 複数箇所で水漏れや変形が起きている場合
はしごの上で両手を使う作業は、想像以上に危険です。
工具や部品を落とせば、ご家族、通行人、車、窓などを傷つける可能性もあります。
また、勾配を誤って水が途中にたまると、泥や落ち葉が堆積しやすくなり、雨樋にかかる重量も増えます。
市販の補修テープやコーキング材で一時的に水を止められることもありますが、雨樋の素材や劣化状態によっては、短期間で剥がれることがあります。
応急処置をした場合も、それで完全に直ったとは考えず、早めに専門家へ確認してもらいましょう。
DIYでできる範囲をさらに詳しく確認したい方は、雨樋交換をDIYで行う危険性と業者依頼の境界線もご覧ください。
外壁塗装と同時に雨樋を直すと足場代の重複を防げる
「部品交換でも足場代がかかるなら、雨樋が壊れるたびに十数万円を払わなければいけないの?」と心配になりますよね。
そこで考えていただきたいのが、外壁塗装や屋根工事と雨樋工事のタイミングです。
外壁塗装、屋根塗装、シーリング工事、屋根のカバー工法などでは、一般に足場を設置します。
その足場を利用して雨樋の点検や交換を行えば、雨樋工事だけのために別の時期に足場を組む必要がありません。
例えば、先に雨樋だけを修理して足場代を払い、数年後に外壁塗装で再び足場を設置すると、足場にかかる費用が二重になります。
一方、外壁塗装と雨樋工事を同じ時期に行えば、足場の設置回数を1回にまとめられます。
ただし、「足場代がもったいないから」という理由だけで、まだ必要のない外壁塗装まで前倒しする必要はありません。
外壁のチョーキング、ひび割れ、シーリングの劣化、屋根の状態、前回の塗装時期などを確認し、本当に同じ時期に工事するメリットがあるか判断してください。
雨樋は部分交換で数年使えそうで、外壁塗装もまだ先でよい状態なら、無理に全交換を行わない選択もあります。
反対に、外壁塗装を1〜2年以内に予定していて、雨樋の破損も緊急性が低い場合は、応急的な安全対策を行ったうえで工事時期を合わせられる可能性があります。
判断に迷う場合は、次の3つのプランを出してもらうと比較しやすいですよ。
- 今すぐ部分交換するプラン
- 外壁塗装まで持たせるための応急処置プラン
- 外壁塗装と同時に一面交換または全交換するプラン
それぞれの費用と予想使用年数を比較すれば、ご家族の予定に合った方法を選びやすくなります。
◆齋藤のワンポイントアドバイス
足場があるからといって、雨樋を必ず全交換しなければならないわけではありません。
まだ十分な強度があり、水漏れや変形もない雨樋なら、清掃、金具の調整、適切な塗装などで維持できることもあります。
反対に、表面だけを塗っても、割れや勾配不良は直りません。
雨樋の塗装で済む状態と交換が必要な状態については、外壁塗装のとき雨樋を交換すべきか解説した記事でも詳しくお伝えしています。
自然災害による雨樋の破損は火災保険の対象になる可能性がある
雨樋が壊れた原因が、経年劣化ではなく、台風、大雪、雹などの自然災害である場合、ご加入中の火災保険が使える可能性があります。
火災保険という名前ですが、契約内容によっては、火事だけでなく風災、雪災、雹災などによる建物の損害も補償されます。
例えば、次のような破損です。
- 台風の強風で雨樋や金具が外れた
- 強風で飛んできた物が縦樋へ衝突した
- 大雪の重みで軒樋や金具が曲がった
- 雹が当たり、雨樋に割れや穴が生じた
ただし、同じような破損に見えても、保険金が支払われるとは限りません。
補償内容、免責金額、損害が起きた時期、経年劣化との関係などをもとに、保険会社が判断します。
施工業者が「必ず保険で全額直せます」と保証することはできません。
保険金だけで修理費用の全額を賄える場合もあれば、一部のみが認定される場合、対象にならない場合もあります。
火災保険を確認するときの重要なポイント
1. 修理する前に破損状況を記録する
破損箇所の全景、近接写真、周囲の状態、落下した部品などを残しておきましょう。
安全上すぐに応急処置が必要な場合も、可能な範囲で処置前の状態を記録してください。
2. 壊れた部品をすぐに処分しない
外れた金具や割れた部品が、破損原因を確認する資料になることがあります。
3. 加入中の保険会社または代理店へ連絡する
風災、雪災、雹災が補償に含まれているか、必要書類、免責金額、申請手順を確認してください。
4. 経年劣化を災害被害として申請しない
長年の紫外線やサビによる劣化は、一般に火災保険の補償対象になりません。
5. 「保険を使えば無料」と契約を急がせる業者に注意する
保険の認定前に高額な違約金を伴う工事契約を結ばせる業者や、事実と異なる申請を勧める業者には注意してください。
「工事をした後では、必ず申請が却下される」というわけではありません。
ただし、修理前の写真や破損部品が残っていないと、災害による損害だったことを確認しにくくなり、保険会社の判断に必要な資料が不足する可能性があります。
被害を見つけたら、まず安全を確保し、写真を残し、保険会社と専門業者へ相談する順番が安心です。
火災保険の条件や申請の流れについては、火災保険を使った雨樋交換の費用・条件・申請方法もご確認ください。
雨樋の部品交換に関するよくある質問
Q1. 金具が1個だけ外れています。それだけでも修理を頼めますか?
A. 金具1個だけでも、専門業者へ相談して問題ありません。
ただし、最低工事費や出張費があるため、金具の単価だけで施工できるとは限りません。
外れた金具の周囲、雨樋の傾き、固定穴、ほかの金具の状態まで一緒に確認してもらいましょう。
部分交換で十分なら、必要のない全交換を行う必要はありません。
Q2. ホームセンターで部品を買い、取り付けだけお願いできますか?
A. 持ち込み部品へ対応するかどうかは、施工会社によって異なります。
雨樋は、見た目が似ていてもメーカーやシリーズごとに寸法が異なります。
適合しない部品による水漏れが起きた場合、施工保証を付けられないこともあります。
購入前に業者へ相談し、既存雨樋に適合する部品を確認してもらう方が、買い直しや再施工を防ぎやすいでしょう。
Q3. ハウスメーカーで建てた家を地域の専門店へ頼んでも大丈夫ですか?
A. 地域の塗装店や外装リフォーム会社でも、雨樋修理に対応できる場合があります。
ただし、ハウスメーカー独自の雨樋や特殊な外壁材を使用している住宅では、専用部品や施工方法の確認が必要です。
また、建物の保証期間中に外部業者が金具を打ち直したり、外壁へ穴を開けたりすると、保証へ影響する可能性があります。
築年数が浅い住宅や、長期保証が残っている住宅は、工事を依頼する前にハウスメーカーへ確認してください。
積水ハウスのベルバーンなど、外壁材自体の塗装が基本的に不要とされる住宅でも、目地や雨樋、付帯部には点検が必要です。
Q4. 雨樋の塗装と交換は、どう見分けますか?
A. 色あせだけで、雨樋本体に柔軟性があり、割れ、変形、水漏れがない場合は、塗装による保護を検討できます。
一方、雨樋が硬くなっている、複数箇所に割れがある、金具が曲がっている、勾配が崩れている場合は、塗装では機能を回復できません。
塗装は表面を保護する工事であり、割れや変形を直す工事ではないためです。
Q5. 雨樋の一部が壊れていますが、外壁塗装まで待っても大丈夫ですか?
A. 破損状況によって異なります。
雨水が外壁や軒天へ大量に流れている、部品が落下しそう、金具が外れて雨樋が垂れ下がっている場合は、外壁塗装まで待たずに対応してください。
軽いひび割れで、水の流れや安全性に大きな問題がなく、外壁塗装を近いうちに予定している場合は、応急処置をしたうえで工事時期を合わせられることがあります。
ご自身だけで判断せず、写真や現地調査で緊急性を確認してもらいましょう。
Q6. 調査や見積もりだけでも依頼できますか?
A. 株式会社アップリメイクでは、お住まいの診断とお見積もりを無料で承っています。
すぐに工事するか決まっていない方や、他社の見積もりが適正か確認したい方もご相談いただけます。
お見積もりを取ったからといって、契約しなければならないことはありません。
私たちは、他社へ依頼される場合であっても、後悔しない工事を選んでいただきたいと考えています。
雨樋の部分交換で後悔しないために現地診断を受けましょう
雨樋の金具、ジョイント、エルボ、集水器、縦樋、ジャバラは、条件が合えば壊れた部品だけを交換できます。
しかし、部品の交換費用が数千円だからといって、工事総額も必ず数千円で済むわけではありません。
雨樋の部品交換で覚えておきたいポイント
破損範囲が限定され、適合部品を用意できれば部分交換が可能です。
部品代のほかに、出張費、最低工事費、撤去処分費、勾配調整費などがかかることがあります。
2階以上の作業では、安全性と施工品質を確保するため、足場が必要になるケースが多くあります。
廃番部品、広範囲の変形、複数箇所の劣化がある場合は、一面交換や全交換も比較してください。
外壁塗装や屋根工事が近い場合は、足場を共用できる同時施工も検討しましょう。
自然災害が原因の破損は火災保険の対象になる可能性がありますが、最終判断は保険会社が行います。
一般的な2階建て住宅で雨樋全体を交換する場合、雨樋工事そのものは20万円〜40万円程度が一つの目安です。
足場代は15万円〜30万円程度が目安となり、足場込みの総額では30万円〜60万円程度になることがあります。
一方、1階部分の軽微な破損で、安全に作業でき、適合部品が用意できる場合は、1万円〜数万円程度で済む可能性もあります。
正確な金額を知るには、破損箇所だけでなく、雨樋全体の長さ、勾配、金具、部品規格、作業場所を現地で確認しなければなりません。
株式会社アップリメイクは、1973年の創業以来、静岡で屋根・外壁塗装や外装リフォームに携わってきました。
国家資格保有者を含む経験豊富なスタッフが、お住まいの状態を確認し、今すぐ必要な工事と、まだ行わなくてよい工事をわかりやすくお伝えします。
雨樋だけでなく、外壁、屋根、軒天、鼻隠し、シーリングなども一緒に確認できるため、足場を組む工事をまとめるべきかどうかも判断できます。
診断結果をもとに、部分交換、一面交換、全交換、外壁塗装との同時施工など、住宅の状態と今後のライフプランに合わせた方法をご提案します。
「金具1個だけで相談するのは申し訳ない」と遠慮する必要はありません。
小さな不具合の段階で確認した方が、修理範囲を抑えられることもあります。
実際の工事内容や仕上がりを確認したい方は、アップリメイクの施工事例をご覧ください。
担当者や職人の対応、工事後の感想などを知りたい方は、お客様の声も業者選びの参考になると思います。
診断とお見積もりは無料です。
他社のお見積もりと比較したい方、工事時期をまだ決めていない方、火災保険が使える可能性を確認したい方も、お気軽にご相談ください。
大切なのは、不安なまま放置することでも、急いで高額な契約をすることでもありません。
まずは現在の状態を正しく知り、部分交換で十分なのか、全交換まで考えるべきなのかを見極めることです。
雨の日に水があふれる、金具が外れている、パイプが割れているといった症状がありましたら、大切なお住まいを守るため、地元静岡の外装リフォーム専門店である株式会社アップリメイクへご相談ください。
※本記事で紹介している費用は、一般的な住宅を想定した目安です。建物の大きさ、階数、部品の種類、施工範囲、足場条件、劣化状態によって実際の費用は変わります。
※火災保険の補償内容や認定結果は、ご加入中の契約と保険会社の判断によって異なります。工事契約を結ぶ前に、保険会社または代理店へご確認ください。








